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―04― 鑑定結果、出口は前方です

「ん……」


 目を開ける。

 どうやら俺は気を失っていたらしい。

 って、どこだ、ここ?


「――――ッッ!!」


 周囲を見回した俺は飛び起きる。

 あろうことか俺はダンジョンの中で気絶していたらしい。

 え? いったいどういうことだ? こんなところで気絶していたら、モンスターに襲われたら確実に死ぬぞ。

 そもそもなんで気絶したんだ?

 確か、魔石を食べたんだ。

 そしたら、全身をとんでもない激痛に襲われて立てなくなってそのまま気絶をした。

 いや、魔石を食べたら気絶するなんて、鑑定スキルは教えてくれなかったぞ。こんなことなら安全な自宅に戻ってから、魔石を飲み込んだのに。


「おい、鑑定スキル。なんで魔石を飲んだら気絶するってことを教えくれなかったんだ?」


 俺は怒った口調でそう告げた。


『ワタクシはあくまでもご主人さまのスキルです。聞かれてないことまで答える機能を有していません』


 そう言われて、はっとする。

 人間のような口調だから勘違いしそうになるが、鑑定スキルはあくまでもただのスキルだ。スキルに気配りを求めるほうがおかしい。

 鑑定スキルに頼りすぎていたことに俺は反省する。

 自分で調べるくせをつけたほうがいいかもな。


 そう思った俺はスマートフォンを手にする。

 そして、まず魔石を食べる際に気をつけることを検索しようとした。


「あれ? ネットが繋がらない。なんでだ……?」


 しばらく色々と試すが、やっぱり検索できない。もしかして、ダンジョンの中だとインターネットが繋がらないのか?

 そういうことならいいが、スマートフォンが壊れたとかだったら嫌だな。さっき苛ついて壁に投げつけたし。


「なぁ、鑑定スキル。ネットが繋がらない原因とか鑑定できないか?」


『………………』


 反応がなかった。

 流石にダンジョンに関係ないことは鑑定できないか。おかしな質問をした自分が恥ずかしいな。


 ともかく、一回ダンジョンの外に出て自宅に帰りたいな。

 自宅ならネットが繋がるか気になるし、それに一度休みたい。

 と、思考を巡らせて気がつく。

 あれだけ変色して使い物にならなくなった左腕が元の状態に戻っていることに。そういえば、疲労感も抜けているし、これは魔石を飲み込んだ影響だろうか?

 どっちにしろ、色々と情報を整理するためにも、自宅に戻りたいな。


「えっと、帰り道ってどっちだったかな」


 前と後ろを見て困惑する。

 ダンジョンの中は特に目印とかないため、どっちから来たのかさっぱり覚えていないや。


『鑑定結果、前方に進めば帰り道です』


「おっ、そんなこともわかるのか」


 流石鑑定スキル。頼りになるー。

 そんなわけで、俺は前に進む。


 それからしばらく進み、俺の感覚があっているならば、そろそろ出口だなと思っていたときだった。

 踏んでいた地面が陥没したのだ。


「え?」


 気がつけば、そのまま俺は穴の中へと落ちていった。その穴は非常に長く、しばらくの中落ち続けることになる。


 ドスンっ、と尻もちをつく。

 どうやら俺はダンジョンのより下の層まで来てしまったらしい。

 聞いたことがある。

 ダンジョンにはこういうトラップが張り巡らせれていると。そのトラップに俺はまんまと引っかかってしまったらしい。


「もしかして、これってけっこうヤバい状況では!?」


 だって、俺は適正ランクFのクソ雑魚探索者だ。そんな俺がこんな深いところまできて生きて帰ることができるのか?


『鑑定結果、ここはF級ダンジョン中層。大した難易度ではありません。落ち着いて行動すれば帰ってこられるかと』


 鑑定スキルの言葉に俺はホッとする。

 そうだよな。俺にはなにもないが、頼りになる鑑定スキルがついているんだ。


「頼りにしているぜ、鑑定スキル」


『任せてください、ご主人さま』


 俺はその言葉と共に立ち上がった。


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