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「お疲れ様でした。ジュリさんも完璧でした。」

「私は人生で一番疲れたわ。猪原にほとんどの回答を任せちゃったわね。」

「こちらは大丈夫です。君の挨拶も良かったよ。」


 会見ゎスムーズに終ゎった。社長室に戻って来たゥチと猪ッチとジュリんは、三人でぉ互ぃを労ぃ合ぅ。

 ゥチの社長モードも終了。


「猪ッチこそ、ぁりがとぅ。ゥチ、皆のぉ陰で乗り切れた気がする。」

「あなたのアズマのマネも完璧だったわね。」

「君には演技の才能があるのかもしれません。」


 確かに他人を演じるのって楽しぃかも。アズマなんてテレビの中でしか見たコトがなかった。そんなアズマに自分がなりきってるコトが面白くて仕方がなぃ。


 本職の俳優でァィドルな猪ッチが教えてくれたんだから、演技が上手くなるのは当たり前なのだけど、演技するってのがゥチの性格に合ってる気がする。


「君が言ってたとおりの質問が出ましたね。お陰で全てに答える事ができた。」

「そうね。むしろ質問する方が驚いてたみたいだったわ。」

「でしょぉ。何回もテレビでゃってたから、けっこぅ覚えてたもん。ぇらぃでしょ?」

「お陰で助かったよ。」


 猪ッチにもジュリんにも褒めてもらって、ちょぉテンションぁがる!


「あれも良かったわね。『同じ質問はやめてください』っての。本当のアズマみたいで格好良かった。」


 ジュリんが褒めてくれたのゎ、質疑応答で他の人とそっくりな質問をしてきた自称ネット記者にゥチがキレた事だ。


『…について、どうお考えかお答え願いますか?』

『今の質問、さっきの、何新聞だったかな。エビス記者の質問と全く同じですよ。』

『いや、しかし……』

『他の人の質問もしっかり聴いてください。あなたも記者でしょ!』

『そうは仰られて…』

『時間ゎ限られてます。一つ一つの質問を大事にしてくださぃ。』


 イラっとしたからゥチの地がちょぃ出てしまった。まぁバレてなぃと思ぅけど。


「あの発言からグッと質問者が減りましたからね。素晴らしかった。」

「だって、ほとんどぉんなじ事ばっか聞ぃてゥザかったんだもん。ぁんなの店長に怒られるっしょ。」

「店長?」


 ジュリんの目が点になる。

 会社で社長の次にぇらぃ人って店長じゃなかったっけ? つぃつぃバイトの感覚で言ってしまった。


「ぇらぃ人のコトょ。ぁんな質問してたら、ぇらぃ人に怒られるっしょ。人のフリー見てワガママとぉせだね、全く。」

「もしかして、人の振り見て我が振り直せですか?」

「そぅそれぇー。さすが猪ッチ。」

「使い所も間違えてます。」


 ゥチと猪ッチのやり取りを見て、ジュリんがため息をつく。


「こんな子なのに、よくもあれだけの事をやりきったわ。奇跡としか言いようがないわね。」

「奇跡ウェーイ! でも、まだ終ゎりじゃなぃし、もっと奇跡起こしちゃぅょ!」

「そうね、そうなると良いわ。もう戻れない。後はどう報道されるか……。」


 もぅ、ゥチの知ってぃる未来じゃなぃ。これからゎ誰も知らなぃ未来になる。ゥザぃコトやェグぃコトが、ぃっぱぃ起きるのかもしれなぃ。


「でも、ゥチらが頑張れば何とかなるっしょ。」


***


 記者会見に関する報道は一時的に盛り上がった。しかし概ねが好意的な意見。何一つ隠さないで答えたのが良かったようだ。

 そしてメディアは中古車販売業者の問題を取り上げるようになり、ゥチの事務所の話題はすぐに消えていった。


 ホント、未来って、どう転ぶかわからないもんだな。


 それから二ヶ月。

 結局ゥチは、わりとしっかり社長をやっていた。

 はじめのうちは、いろんな人と会う時も軽い挨拶だけして、後は猪ッチたちに任せていた。疲れていると言えば、皆、気を使ってくれてあんまり構おうとしてこないので助かった。

 被害者との面談もコモンに任せっぱなしで、ゥチは話を聞いてるだけだった。

 でも今では、自分から話せるくらいには馴染んできた。まだ書類なんかはジュリん任せだけれど。


「もうこんな時間か。今日は忙しかったな。」


 腕時計はもう午前二時半を過ぎていた。

 帰りのタクシーは猪ッチと二人。運転席との間にはアクリル板があって、運ちゃんにはこっちの声が聞こえないようになっている高級なタクシーだ。

 だから本当のゥチに戻って喋っても良いのだけど、まだ社長モードのまま。最近は社長モード(こっち)の方が楽だとさえ思う時がある。


「お疲れ様でした。」

「これについては、一日でも早く解決しないといけない事だからな。」


 この二週間ほどは、今まで事務所に所属していたィヶメンァィドルたちと今後の契約について話をしてきた。何度もテレビで見たし、曲も買ったし、うちわ作ってライブに行った事のあるグループもいた。

 ィヶメンたちに囲まれてウハウハできるかと思っていたのに、どちらかというと深刻な話しかしなかった。


 彼らにもそれぞれに想いがあった。悩み、不安、焦り、恐怖。

 当然、そんなァィドルたちとは、楽しくお話しできるっていう雰囲気ではなかった。

 だからゥチはゥチなりに、できるだけ励ましてあげた。


『そこ、悩むとこじゃなくない? だって、自分ではどうしようもない事じゃん。自分でできる事以外まで考えなくても大丈夫だよ。』

『自分に自信があって、この世界に入ってきたんでしょ。じゃあ自分で決める事に自信持ちなよ。』

『親の反対か…。でも自分がまだ芸能界続けたいなら、親を説得しようよ。一人が無理なら、一緒に行ったげる。』

『普通は、やってみても出来ないから諦めるんでしょ。やる前に諦めるってのは、ただ逃げてるんだよ。』

『でも、逃げる事は悪くない。賢い事なんだ。昔、エラい人は危ない事に近寄らないって言われてたくらいだし。』


 アズマっぽくは無かったかもしれん。

 でも。事務所に残る人とも、事務所を出て行く人とも、芸能界を辞める人とも、一生懸命に話しする事ができたと思う。ィヶメン達から『社長としっかり話ができて良かった。』と言ってもらえたのは嬉しかった。

 ファンとしてではなく、社長として話ができた事に達成感を感じてる自分がいる。


「本当に、君は社長姿が(さま)になってきましたね。」

「猪ッチのおかげだよ。」

「今日なんか、本当のアズマさんが戻って来たんじゃないかと思う時がありましたよ。」

「なぜ、自分に社長ができてるのか…。芸能事務所って楽勝なの?」

「そんな事はありません! しかも、今やっている事は普通の社長がやること以上です。」


 猪ッチが全力で否定する。


「もしかすると、アズマさんの体が、君の魂に影響しているのかも知れないですね。」

「えっ。」

「つまり、君の魂がアズマさんの体に馴染んできたから、社長の仕事ができるようになったんじゃないかと。」

「えっ。」

「えっ。」

「変化してるって事ですか?」

「何がですか?」

「魂が。」

「ああ、変化というよりは、形だけが変わっているというか。」

「えっ。」


 猪ッチの言う事は専門的すぎる。


「水と一緒ですよ。水は容れ物によって形が変わるでしょう。君の魂もアズマさんの体に入る事で形が変わったのかもしれません。」

「なにそれ怖い。」

「そのお陰で、社長が板についてきたのかもしれません。」

「なに、それも怖い。」

「えっ。」

「えっ。」


 謎の沈黙が流れる。

 猪ッチは話題を変える。


「そう言えば、君が転生してきた日って、今日なんですよね。」

「そうだったかな? もう覚えてないよ…。疲れ過ぎかな。少し寝るよ…。」


 ゥチは座席に深く腰を掛け、少し上を向いて目を閉じた。


「着いたら起こしますね。」

「ぅん…。」


 もう、そこまでしか覚えていない。


***


 ピッピッピッと規則的に鳴る音で目が覚めた。

 ヤバぃ。マヂぐっすりと眠った気がする。なんかもぅ昼過ぎくらぃまで寝てたんじゃなぃかって直感が言ってる。絶対ヤバぃ。


「なんで起こしてくれないの、猪ッチ!」


 気付くと、ゥチゎベッドに寝てぃた。

 左腕にゎ点滴。

 口にゎ人工呼吸器。


 どこここ?

 まさか病院?


「患者さんの意識が戻られました!」


 看護師の声がする。

 えっ。どゅコト?

 もしかして、タクシーが事故ってヶガしたとか? ちょぉヤバぃじゃん。猪ッチ大丈夫かな。


 医者ょりも先に、見知ったぉばさんが病室へ飛び込んできた。


「あんた!」


 マミーだ。

 涙と鼻水で化粧が溶けてゾンビみたぃな顔になっとるのに、鬼の表情で怒ってるからマヂで怖ぃ。

 ぃゃ、一周回って最高に面白ぃ顔。


「マミー、何その顔。草生ぇる。」


 あぁ! ゥチの声だ。元々の声だ。

 手を見ると、指先にネイルつぃてる。体のぁちこちも触ってみる。


「戻ってんじゃん!!」


 本当のゥチに戻れたんだ。

 やっぱりこの体の方がしっくりくる。アズマみたいな顔も良くて手足も長ぃ体よりも、ゥチゎこのギャルの自分の方が好き。


「あんたが薬飲んで自殺なんかしようとするからっ!!!」


 マミーが泣きながら叫ぶ。


「自殺? なんで?」

「眠剤たくさん飲んだでしょ! お酒まで飲んで! 薬たくさん飲んで死のうとしたでしょ!?」


 ゥチの中でゎ二ヶ月前のコトなので忘れかけてた。確かに薬いっぱい飲んだゎ。自殺したコトになっとんの? だからゥチ病院にぃるのか。


「そんなんで死ぬの? マヂで? エグぅっ。次から気を付けょ。」


 ぁまりにも軽ぃノリで言ったから、マミーゎヘナヘナと座り込んだ。安心したょぅな泣き顔になる。


「あんた、そんな事も知らなかったの?」

「ぇーっと、ぁの日ゎなんでか眠れなくて。次の日バィトぁるから早く寝たかったのょね。だからマミーの寝る薬もらっちゃった。」

「あんたはバカよ。バカ!」

「そんなバヵバヵ言ゎんくても良いでしょ。」


 そぅ言ってゥチゎ爆笑する。マミーが呆れた顔をして一緒に笑ぅ。


 アズマとして過ごした二ヶ月間は疲れたけど、楽しかった。

 今、あの事務所はどぅなってるのかな? どぅなってぃくのかな?

 これからは、ぅまくィヶメンたちをマネージメントできるかな。


 ぁの夢みたぃな社長生活が終ゎってしまったと思うと、ちょっと淋しぃ。ぃゃ、ちょぉ淋しい。

 まぁ、ぁれだ……なんだか、戻ってこれたぉかげでホッとした。ゃりきったって気がする…。なんかもぅ、…どぅでもぃぃゃ。なんか気分がズンズン下がってきた。

 ぁれだな。「燃え尽きちまったぜ」ってヤツだ…。


「あんたが彼氏にフラれたくらいで自殺しようとするなんて思ってなかったから、お母さん、もうびっくりしちゃって……」


 マミーの言葉で、眠れなくなるくらぃにゥチの心が炎上してた理由を思ぃ出した。

 せっかく忘れかけてぃたのに、悲しみと怒りと辛さが燃え上がる。




 そぅ…彼ピとゎかれたんだった。ちょぉ大好きだったのに、ゥチのコトゎもぅどぉでもぃぃんだって。

 どぉせゥチゎ遊ばれてたってコト、ぃま手首焼ぃた。

  この身ゎ燻り、心焦がれる。

   一矢報いて巨悪を屠る。

    これこそが護帝十三代の総意と知れ。

     波動の集中力『一等火葬』!!


小文字を多用しておりますが、誤字ではなく表現です。

ラストが意味不明? 懐かしいコピペを見つけてニヤリとしていただけたなら幸いです。

実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

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