テクニカル牛丼
縦、横、斜めと降り注ぐ出汁を、うまい具合に回避する。
これは、そんな牛丼の夢物語の話である。
昔、昔、大きい器に熱々のご飯がたくさん乗せられておった。
それを羨ましそうに見つめる、出来立ての牛肉がそこにいた。
牛肉は、熱々のご飯に向かって一言話した。
「そこのご飯に乗せて貰えませんかね?」
すると、ご飯はいいました。
「出汁をもってこい!」
そんな辛辣な言葉に、牛肉は挫けず反論した。
「ただの残飯がっ!」
そう言い合ってる間にお客様は、ご飯と牛丼を全て混ぜ込ませ、ありったけの紅生姜を乗せて食べた。
ご飯、牛肉「ほとんど味が、紅生姜じゃねーか!」
そうして二つの存在は、胃という未空間の世界へと、仲良く旅立っていきましたとさ!