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地獄の魔王転生者  作者: 雛森りす
序章
1/6

転生

 俺は、いつも諦めてばかりだ。


 いつも諦めて後悔する。今日もまた、一つ諦めた。


 まだ高校一年で諦めてばかりの人生に、文句を言いたくなる社会人など山ほどいるだろう。


 だが俺は知っている。諦めるのは一番優しい奴で、その優しさは誰にも理解されないことを。


 事が終わった後に何か言われて、僕が、私が、「諦めてやったのに。」といっても諦めたのが悪いと言われる。


 ならその「優しさ」とは一体何なのか。他人のための行為は「優しさ」ではないのか。


 愚痴のように皮肉が零れる。信頼も、関係も、事実も、虚言も、全てが手のひらから零れていく。





 この世界はまるで─────『地獄』だ。









××××××××××





「貴方は生き還りたい...?」


「俺は、死ねたのか?」


「...はい」


 そうか死ねたのか。


「俺は、もう生きるのは疲れた。」


「そうですか。ですが今、あなたには二つの選択肢があります。」


「それは、楽なものか?」


「いいえ。どちらも楽なものではありません。一つはこのまま現世に転生し、人生を一から始める。もう一つは...魔王となる。」


 転生か魔王か...


「...魔王?」


「はい。貴方は前世に憎悪しかなかった。何もなくただただ不幸に見舞われ、全てを失った。ならば次は、次くらいは全ての憎悪を世界に向ける力があってもいいでしょう」


 それは、本当にいいのだろうか。今の俺には全く想像できない未来だ。生きていた頃は確かに何もなかった。いや、何もかもを失った。恐らくそのほうが正しい。


「魔王か...それは死ぬのか?」


「それは貴方次第としか私には言えません」


「俺次第、か。」


「どちらを選びますか?」


 ここが恐らく俺の魂の分岐点なのだろう。この選択が今後の新しい人生に影響してくる。世界の破壊か、一から始める人生か。正しいほうなんて分からない。今の俺にはもう何一つとして信じる物はなかった。

 だが、このまま新しく人生を始めて本当に何かが変わるだろうか。恐らく記憶はなくなるだろう。しかしまた俺のような人生を歩むものが生まれてしまうとしたら。そんなことは許せない。俺が断じて許さない。そもそも俺はこの絶望を抱えたまま転生するのか。そんな地獄のようなことがあってたまるものか。


「なら俺は...全てを壊してやる」


「分かりました。では、あなたを、『宵倉颯太よいくらそうた様』を魔王へと導きましょう。」


「ありがとう。今まで出会った人の中で、あなたの声が一番優しかったよ。その優しさは過信しすぎないほうがいい」


「警告ありがとうございます。心にとめておきましょう。」


 ここから始まるのか。俺の呪いの物語が。


 だが、それもいいかもしてない。


 果たして何か変わるだろうか。


 俺の心は、魂に取り付いた呪いは祓われるだろうか。


××××××××

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