お出迎え
使用人たちの協力もあって、お出迎え準備はなんとか完了した。
お茶を終えたころに、スチュアートが到着を告げにきた。
僕とエリーは、連れ立ってエントランスでお出迎えをすることになった。
豪華な馬車からグレーの髪を撫でつけた紳士が下りてくる。
お義父上は長らく、軍の中枢にいらっしゃったが、エリーの将軍職への昇進と共に領地へ戻られたとお聞きしている。お年のせいか、細身ではあるが足腰は健在でお元気そうだ。
「お父様、おかえりなさいませ。」
「お義父上、遠路はるばるお越しいただきありがとうございます。」
「堅苦しいのはよしてくれ、婿殿。今回の滞在中、世話になる。」
「ご自由にお寛ぎください。」
「スチュアート、馬車に土産がある。あとで降ろしてくれ。」
「承知いたしました、大旦那様。」
スチュアートは一礼をして、人の手配に向かった。
僕はにこやかに笑いかけ、お義父上をサロンに案内する。
「晩餐はジョシュアが張り切るそうですよ。準備が整うまでサロンでお茶にいたしましょう。」
「それは楽しみだ。以前、見てみたいと言っていた領地の織物を持ってきた。後で見てみてくれないかね。」
「それはありがたいです。晩餐の後にでもぜひ。」
◇❖◇
ディナーを終えても話題は尽きることがなかった。
結婚式の後から先の遠征の報告。エリーの言葉を一つ一つ聞いて頷いていく。
「まだたくさんお話したいことがありますのに……わたくしは明日の帰還の儀のために、休みますね。いつもより早く出ますので、朝食は不要です。」
「では、ジョシュアにお弁当を頼んでおきますよ。ひと段落したら食べられるように。」
「まぁ!ありがとう。では、おやすみなさいませ、お父様。」
「あぁ、明日は努めなさい、エリューシア。」
エリーは僕に向き合って微笑む。
「フィエンもおやすみなさい。」
「うん、おやすみ。」
エリーは侍女を引き連れて自室に戻っていった。
明日は早めに紅茶を持って行こう。
部屋に残ったお義父上は、僕に向き合うと少し笑った。
「婿殿は酒はいける口だろうか?」
「たしなむ程度です。」
「じゃあ、少しこのおいぼれに付き合ってくれ。」
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ゆっくりですが連載していきたいと思います。




