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7話 新しき街

あけましておめでとうございます

 フクワエの言ったとおり、森の先に大きな街を見つけた。


 街の入口には入場待ちの人がたくさんいる。俺はその列の最後尾に並んだ。

 貴族らしき人は見かけない。貴族専用の別の入口があるのだろう。



 ある程度列は進み、もうすぐ入れる所まで来た。


「おい、そこのお前!俺と変われ!」


 一体どんな街なのだろうか。

 街に入ったら情報を集めなくては・・・ここ2年間で起こったこととか、まあ他のことも。色々知らないことは多そうだしな。


「おい!無視すんな!」


 いきなり肩を掴まれた。

 振り返ると、ガラの悪そうなハゲ男が立っている。

 見た目からして冒険者やそれに類似した人だろうとは思うものの、いきなり肩を掴まれるようなことはした覚えはないのだが…


「何でしょうか?」

「『何でしょうか?』じゃねぇんだよ!そこ俺と変われっつってんだよ!」


 俺と変われ…?

 はぁ、自己中なめんどくさいやつもいるんだな。

 腰には剣を構えているが、いかにもチンピラって感じがプンプンする。めんどくさいやつに絡まれたもんだ。


「嫌です。」

「い、いいい、嫌だと!?」


 あ、キレた。当然なのになぜキレるのか、自己中の思考回路はわからん。

 彼の頭は血管が浮かび上がってる…あれ、これ脳内出血で死ぬんじゃね?


「序列5位の獣人の分際で!序列2位の人間様の言うことを無視するんじゃねぇ!」


 そうして腰にある剣を取り出し斬りかかってきた。

 だが俺はそれを回避し、背負い投げをした。

 男は見事にそれを喰らい、地面に叩きつけられた。


「いてぇな!何するんだ!」

「序列が何なのかわかりませんが、人間()ってのは相当弱い(・・)んですね。

「き、ききき、きさまああああああ!」


 と、その時だ。


「こらそこ!何をしているんだ!」


 門番らしき人が来た。

 ちなみにだが、入り口にいる受付専用の人はこちらを木にしつつもちゃんと列を捌いている。


「こ、この獣人が俺のいた場所に割り込みしてきたんだ!」

「なっ…!?」


 それはお前だろうが!

 周りを見てみると、みんなこちらを見ようとはしない。めんどくさいことはごめんってか。


「とりあえず、二人共来てもらおうか。」


 すごくめんどくさいことになった・・・最初っから無視していればよかった。攻撃も回避なんて余裕でできたし。



 業務室のようなところに来た。


「それで、あの騒ぎは何だったのかな?」

「さっき言ったとおりだ!この獣人が俺のいた場所に割り込みしてきたんだ!」

「…はぁ」


 こいつの嘘のウザさにため息が出た。


「それで、この人が言うことは本当なのかい?」

「いえ、違いますよ。この人が『俺と変われ!』とか言ってきたんです。」

「それはお前だろうが!」

「あれ?さっきと言ってること違いませんか?たしかあなたは『割り込んできた』ですよね。いま俺が言ったのは『変われ』であって『割り込み』とは違いますよ」


 割り込みはその人の前に入ることだが、変われは場所を入れ替える。つまりお前がそこに並ぶからお前は一番後ろに並べってことだ。

 しかも男は割り込みしてきた、と言った。つまり割り込んだ後なのだが、俺の言ったのは変われであってまだ実行されていない動作だ。


「そんなん些細な違いだろうが!お前が俺の並んでたところに来たんだろうが!」

「…はぁ…」


 あーうざい。使いたくないけど使うか。


 俺はポケットから卓球の玉ほどの一つの結晶を取り出した。


「それは?」

「録画結晶です」

「──!?」


 録画結晶、それは録画魔法または録画系スキルを使用した後にその記録が乗せられた結晶だ。

 この結晶を再生すると、結晶内に映像が再生される。


 そして再生する。

 結晶の表面には映像が流れた。さっきこの男が俺に突っかかってきたところからだ。



◆◆◆



 映像は終わった。


「さて、これがあっても俺が割り込んできたといいはりますか?」

「に、偽物だ!」

「…偽物が作れるわけがないでしょうが」


 映像の編集技術はあるものの、一部カットや映像と映像をつなげるというくらいしかできていない。といっても、2年前での状態でだが。


「わかった。男を連れて行け」

「「はっ!」」

「やめっ!はなせっ!あいつが!あいつが悪いんだ!」


 そして男は連れて行かれた。


「はぁ…疑って悪かったね」

「いえいえ、それがお仕事のようですし何も問題ありませんよ。それで彼はどうなるんですか?」

「最初だけであればすこしの罰金で済んだだろうけど、差別に殺人未遂。特にこの街では差別に対する罰が他より重くてね。最低2年近くの禁固刑+罰金になるだろうね」


 殺人未遂って・・・ああ、剣で斬りかかろうとしてたときか。

 でも地球よりは遥かに軽い。


「刑が軽いと思ったかい?殺人未遂の刑は1年なんだ。理由は未遂で終わったっていうのと『町の外に出るのなら死ぬ覚悟で』っていうのがこの街では言われててね。街の中では未遂でも15年、最悪は奴隷落ちまでするよ。差別はここの貴族が嫌っててね、とくに序列差別は厳しいんだ。『お前が戦ったわけでもないのになぜ序列が高いほうが偉いになるのだ!』という感じで厳しくなってるんだ。だからこの町では貴族も平民も差別はないよ」


 ほー、貴族が差別嫌いとは関心関心。

 よくあるファンタジーでは差別的なのが当たり前だがこの町では違うのか。


 だが、そのためか他の街の貴族からは『あそこの貴族は落ちぶれ貴族』とか言ってるらしいが、街の貴族からしたら『民居てこその貴族王族なのに民を無下に扱うとは何事だ』と言っている。

 個人的にはすごくいい貴族だと思えるし、領民からもここの貴族の人気は高いらしい。


「孤児院が多いからスラムも居ないし騎士は結構多いから治安もいいし」

「いい街なんですね」

「まあ、さっきみたいな人もたまにはいるんだよね、同族として恥ずかしい限りだよ。それでお詫びといってはなんだけど、街に入っていいよ」

「え、いいんですか?」

「ああ、多分身分証持ってないだろうけど君なら大丈夫そうだし。入ったらまずは身分証の作成をおすすめするよ」

「ありがとうございます」


 そしてめんどくさいことはおわり街へと入ることができた。

 あれ?なんでもってないってわかったんだろうか?



◆◆◆



 さて、身分証の作成だが、色んなパターンがある。


 まず1つめがギルド証

 これは冒険者ギルドや芸能ギルドなどのようなギルドで発行できる物。

 ギルドとはその道の専門機関のようなものだ。今挙げた芸能ギルドとは芸能界を収める団体みたいなものだ。といっても、どこに誰が所属しているとか、だれだれのいる団体はどこどこで芸能活動をするだとか、そういったものを管理しているだけだ。


 そして二つ目は住街書(じゅうがいしょ)

 これは私はこの街(村・町)にいますよといったことを書かれているものだ。

 基本的に家を持っている人はこれを持っていることが多い。と言うかみんな持っているだろう。


 この二通りだが、俺は家を持っていないため必然的に前者となる。

 そのため今は冒険者ギルドを探しているのだが・・・


「道に迷った」


 ふむ、結構やばい。ここはどこだ…

 と考えていると1人の男性が通り過ぎていった。

 よし、あの人に聞くか。


「すみません、冒険者ギルドまでの道のりを教えてくれませんか?」

「あ?ああ、冒険者ギルドならあそこのところを左に曲がった後真っ直ぐだ。なんなら一緒に行ってやろうか?」

「いえ大丈夫です。ありがとうございます」


 一瞬『あ?』ってところが怖かったけど優しかった。


 さて、言われたとおりに冒険者ギルドへ進む。その道の途中で変化を使ってステータスを偽装した。鑑定士の称号や鑑定視のスキルを持っているやつだとおれのステータスがわかってしまうからな。変化さんは実に有能。


 ステータスも狐の獣人としている。

 理由は半というのが個人的に好きではないからだ。

 一部の人からはハーフは『どちらの種族でもないためにどの種族の特徴もまともに引いてないやつ』と言われるのだ。


 この街の人達はする人はいないとは思うものの、完全にないとは言い切れない。


 まあ俺は半獣人の状態でも獣人に見えるだろうが、ステータスは別だ。

 よって念のためにステータス上にのみだが獣人にしておく。


◆◆◆



 色々と省略し、冒険者の証をもらった。

 省略しすぎだろって?だって何もなかったし。しかも受付嬢の説明はやたらと長いし。あれか?おばさんか?もしかして変化とかつかっておばさんなのを見た目若い人にしてるとか?


 さて、俺がかわりに説明すると、まずは冒険者にはランクがある。

 E~Sまであり、C以上になるには試験がある。寄生してランクを上げた奴らが多かったためにこのようなことにしたんだとか。

 そして定期的に依頼を受けなくてはならない。定期的にと言うのはEランクであれば月1に、それ以降はランクが1上がる度に2ヶ月まで延長される。Dランクであれば3ヶ月に一度のように。


 まあそれ以外は大した説明はなかったかな。魔物と戦う時は完全自己責任だぞとか、ギルド内部での争いごとはダメだとか・・・まあそんなところだ。

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