5話 称号とスキル
俺の意識は突然に覚醒した。
…………って、え?
俺は死んだ…否、死んだはずだ。
であればこの体は何なんだ?
天国や地獄ではないな。それは俺が体験してないからだ。
しかも、この体…触った感覚でしかないが、尻尾や獣耳がある。
ならばここはどこだ?辺りを見回してみると木が沢山…林か森だろうか。
とりあえず位置を確認しようと思い立ち上がった、すると目線が今まで見たことない位置まで上がった。
少々驚いたものの、よく見てみると自分の体が成長している。
とりあえず歩こうとした時、後ろからあの声がした
《あ、ちょいまって!あまり動かないで!》
いきなりの声に驚き後ろを見ると、青色の髪と黄色の目をした少女が立っていた。年齢は13歳くらい。
「あなた、誰ですか?」
この人が俺の前世の時に俺に知識箱を与えたのだろうとは思う。
だが、この人は俺からしたら"スキルをくれた正体不明の少女?"なのだから。
《あー、そういえば自己紹介がまだだったね。私は神の1人、フクワエだよ。敬語いらないから気楽に会話していいよ》
「神様…?え、そんな存在いるの?」
《そりゃあいますとも!》
「…それで、聞きたいことは沢山あるんだけど…俺はなんで生きてるの?シュリカはどうなったの?ここはどこなの?」
《ちょ、ちょ、1度に何個も質問しないで!
まずはここはどこかだけど、君が一度死んだ場所から少し離れた場所だよ》
「やっぱり俺はあの時死んだのか」
《うん、だけど私が蘇生したの。やってもらわなきゃならないこともあるしね》
「やってもらいたいこと?」
《そう。この世界へ君を転生させた理由がこれだからね》
やってもらいたいことってなんだろうか?
《やってもらいたいことってのは、神を封じる、または殺してほしいんだ》
……は?
《いやいや、私を殺してってことじゃないんだ。ほかの神様を殺してほしいんだ》
「な、なぜ神を?しかも殺し方わからないし」
《理由は暴走だね。神の世界にも善も悪もあるんだよ。善も悪もどちらが悪いなんて決められない。だってどっちも自分が正しいって思ってやってるんだから。
それで、私がやってほしいのは酷いくらいに度合いを過ぎてる神の封印、または殺害。
ちなみにだけど、2人を殺した張本人を召喚した国の信教とされてる神も殺してほしい神のひとりだよ。この神の理由は『善をやれば悪を見逃す』っていう行動を取ってるから。
あの人は、一度災厄で活躍した。それをあの神は善なる行いとした。そのため、人殺しっていう悪も見逃してる。少しならいいが、町の全壊・全殺。しかもここ5年で20を超える村や町を地図から消した。最近は自重してるらしいけどそれでも意味無い。
それで、その神様は『災厄を清掃する善をしたため全ての悪を見逃します』とか言って──》
「もういい、話を聞いてるだけでうざくなった。わかった。俺は協力するよ」
《…ありがとう》
なんだよそれ、災厄を撃退したからってなんでもしていいっておかしいだろ。
《まあ、協力してくれるということだから加護を与えるよ》
すると、少し自分の中で何かが入った気がした。
《──よし、終わったよ。君は私が与えた知識箱が進化した無限の記録があるんだよね。今の自分を鑑定してみ?》
ということなので鑑定してみた。
ヒューリ(半獣人)
年齢
-15
称号
-魔力の限界を超えし者 -復讐者 -加護を受けし者
スキル
-無限の記録1 -フルマジック1 -魔力の暴走1
-復讐の心力1 -心の武1 -技能吸収1
-神の加護(大)10 -身体強化10 -共通強化10 -通神10
-変化10
!?!?
「え!?色々とおかしくない!?」
《んーと、まずは説明するよ》
フクワエによる説明が始まった。
魔力の限界を超えし者はあの風魔法でぶっ飛ばした時にしゅうとく。称号は、復讐者については死んだ後蘇生され、その時に復讐の念が強く残っていたため習得。加護を受けし者はフクワエ(神)に加護をもらったためだ。
次にスキル、まあ無限の記録はいいだろう。
フルマジックと魔力の暴走は吹き飛ばす時に俺が魔力を膨大に使用したために習得。
効果はフルマジックは全属性の魔法が使用可能になる。魔力の暴走は魔力が多くなるという魔法チート能力だ。なんて壊れな存在。
これらはパッシブスキル。
復讐の心力、心の武、技能吸収は復讐者の称号取得と同時に取得。
効果は復讐の心は復讐の念を抱いた種族に対し強い特攻を得る。俺は五大種族全部が特攻に入ってるようだ。とんだPK野郎に見えるがあいつらが最初にしてきたのが悪い。
心の武は簡単に言えば武器が出てくる。例えば剣が欲しいと思えば剣が出てきて、杖が欲しいと思えば杖が出てくる。ただし同時に出せるのは一種類のみ。自分の意思により消滅可能。
技能吸収は対象の取得しているスキルをポイントとしてもらうことが可能。奪ったポイントは自分のスキルの習得、またはスキルレベルの上昇に使える。
スキルごとに違うが、例えばもらう対象が○○1と□□3のスキルを持っていたとする。技能吸収が3以上だとして○○1のスキルを貰えばスキルポイント1貰え、□□3のスキルを貰えばポイント3貰える。この貰ったポイントで自分や他者のスキルを習得させたりレベルを上げさせることが可能。ただし、互いの承諾が必要な上、技能吸収のレベルを超えるスキルは吸収できない。
なんだろう、十分チート。
これらはアクティブスキル。
神の加護(大)、身体強化、共有強化、通神は祝福を受けし者の称号と共に取得。
神の加護(大)は神からの加護を受けることにより身体を強化したり、光属性の魔法が使えるようになるなどを始めとした様々な効果がある。
ちなみにだが小でも貰えたらその宗教の上位に立てる。中になれば上から数えて片手にはいる位まで上がることが可能。それが上…しかもこのスキルは神様でしかスキルレベルをあげることができない。これまたチート。
身体強化は読んで時の如く身体を強化する。誰にでも習得できるスキル。多分だが今もってるスキルでこれが一番まともなスキルだと思う。
共通強化は、共通スキルを共通強化のスキルレベルの値まで上昇させる。最大+9なのでレベルは9でも10でも変わらない。
通神は姿が見えなくても神と会話することが可能。レベル1でも持っている人は世界を数えても片手だと少なくて両手だと多いっていうくらいの人数しかいない。
これらもアクティブスキル
そして最後に変化、狐の獣人の共通スキル。
共通強化の影響でレベルが10になった。
10になったため、見た目だけだったのが声を真似ることも出来るしその生物に限りなく近くなる。例えば鳥をベースにして変化すると飛べるようになる。
そしてとうとう対象になった人のスキルまで真似ができるようになったり、鑑定観をも欺けるようになる。
無論アクティブスキル。
パッシブスキルとアクティブスキルを知らない人のために説明。
パッシブスキルとは常時、または一定の条件下により自動発動するスキル。俺のパッシブスキルは無限の記録、フルマジック、魔力の暴走がこれにあたる。
アクティブスキルとは任意発動型で、使いたいと思わないと使えない。パッシブスキル意外のスキルがアクティブスキルとなる。