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新山は、かなり前から海月を知っていた。
新山は放課後、毎日放送室に行っていた。
昼の放送で流す音楽と原稿をつくるのが、放送委員・新山の仕事だったからだ。
別に他の放送委員たちと交代制でも良かったのだが、
新山は自らそれを拒否していた。
放送室に行く途中の廊下には、図書室があった。
ガラス越しにカウンターが見えるのだが、新山はいつもそこに座る生徒を確認していた。
図書委員は放課後にしか仕事がないのに、
いつもカウンターにいるのは同じ生徒だった。
毎日放送室に行く途中、横目に見ていた。
最初は週毎に交代なのかと、次は月毎に…?
彼は毎日毎日、そこに座っていた。