7話。妖狐光・邪妖狐
目を開けると、雨が降っていた。
真紅の毛並みの猫の眼から大粒の雨が俺の顔を濡らす。
懐かしいこの風景。
いく度となく、挫折しそうになったこの風景。
そして、俺の右腕のモコ・・・。
夢に見た毛並みは、柔らかく、ツルツルとして居る。
もこもこしていると同時にもふもふもしている最高だった。
「いつまでその美しい顔を涙で濡らすんだ?モコ?」
「えっ?ぐすっ」
「ウダ様・・・・?」
「死の淵から蘇った。ただいま」
「うださまーーーーーーー!」
「大きいなモコは・・・。」
グハッ・・・。
「ウダ様・・・?」
「大丈夫だ、ただの成長だ・・・」
(思ったよりもデスペナが酷い。3日間の治癒力低下に体力低下か・・・
それに肉体の成長が思ったよりもハイスピードだ・・・
やっぱりギャンブルになったか・・・
だが今度は死なないよ・・・?)<PRB>
ゲホッゲホッゲェェェ。
「ウダ様!血を・・・」
「大丈夫だ、耐えなければいけないのだ・・・」
「ウダ様・・・」
「モコの白と黒の毛はもう見れないのか?残念だな。」
「・・・・」
「ははっ冗談だ。今のままでも美しいよモコは」
ゲホッゲホッ。
(肉体が悲鳴をあげている。
やはり、器が育っていないか・・・
だが無理にでも進化してもらうぞ
俺の肉体。
出なければ、全てが無駄になる!)
「あああああああああああ」<PRB>
ドラミミは、いつの間にか叫んで居た。
そして、ドラミミの口から大量の血が垂れ流れ、体を包み込む。
「ウダ様!」
包み込み終わると、その外装は割れ始める・・・
ドラミミは天を突き抜ける程の大きさの血を吐き出し、それを身に纏った。
割れて出てきたのは、縦に伸ばせば天界に届くのではないかと言う程の大きな龍が目の前に現れる。<PRB>
「やっと元の姿に戻ったか、そしたら肉体を縮めなければ・・・」
肉体を前のサイズに戻さなければ不自由だ。
天界では今のままでも問題は無いのだが・・・・。
「何をモコ驚いてる?」
「う、う、ウダ様?」
「あぁウダだ」
目の前に居るのは、龍。
だがそんな甘優しいものでは無い事をモカは、対面し感じ取る。
「すまんな、待ってくれ・・・」
「これでどうだ?」
ウダから感じていた、神の気迫がなくなった。
「えっ?」
「混乱するな。外見が少し変わったが、中身はおなじだ」
「はい・・・」
「それとな、妖狐光と邪妖狐は無しで良い。といっても今のモカなら出来るな」
「やってみます!」
そう言うと、モカは眼を閉じ集中を始める・・・・・。
そして口を開くと、白と黒の妖狐が出てくる。
尻尾が黒で、他が白。
尻尾が・・・1、2、3、4、5、6、7、8、9本・・・
しかも妖気が空狐と同じ・・・。
化け物を召喚するなよ・・・モコ
「直ぐにそいつをしまえ!モコ!」
「えっ?」
「うふふっ。あなたが、ご主人?弱そうやなぁ?私は空狐なのよ?あなたのような弱い猫ごときに作り出されるとわ、うちも落ちぶれたわぁ」
「貴様。あまり俺のモコを愚弄するなよ、核の違いを分かれ!小童が!」
ウダがそう言うと、空狐はモコの背後に隠れる。
「なんで今まで気づかなかったの!ありえない・・・なんでこのようなお方がここに・・・!?」
「モコが主人だ。逆らえば貴様を殺す。わかったな?もし一度でも逆らえば、お前は餌にし、新しい空狐を創る」
「そんな物騒な(ry」
「誰に口聞いてんだよ?空狐の分際で?」
「申し訳ございません・・・」
「ウダ様?」
「モコ大丈夫か?この糞狐が命令に逆らったら言ってくれ」
「大丈夫です♪すでに、9本の尾はむしり取りましたから」
ぎゃうん!くぅん・・・
「流石モコだ。」
空狐ともなれば、尻尾は命。それをむしり取られたということは、死よりも辛いことなのだ。
「このあまぁ!」
「尻尾意外に美味しいね?」
はむはむはむはむはむはむ
「お願いです!喰べないでください!」
「嫌だ」
「なんでもします!お許しを!」
「なら、命令遵守。」
「はい」
「モコは怖いなー。もう右腕の素質十分にあるな」
「そんな事は無いですよ?」
「尻尾返してあげなさい、でも一本ちょうだい?」
「どうぞ」
「やめてー!」
「旨いな・・・」
そのあとちゃんと9本尻尾を戻し、洞穴に向かうことにした。
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