3話。出会いと食事
ミミックは、ドラゴンミミックの特性と言うのを全く知らなかった。
ドラゴンミミックとは、100年生きた物が慣れる特別な存在。
ドラゴンミミックになると、全ての魔法を吸収可能、全ての魔法道具、道具、防具を吸収可能。
要は、食べれない物が存在しないのだ。
どんなに巨大魔法だろうがなんだろうが、口に触れてその端でも口に入れば吸収が始まる。
そして吸収の特性として、ドラゴンミミックは吸収した物を改造出来る。
闇魔法や光魔法なんかは、本来交わることが不可能な魔法であるが、ドラゴンミミックはそれを可能とする。
他にも食べた魔法と防具は、体の中で合成でき、オリジナル防具となる。
ドラゴンミミックのオリジナル防具は、竜の業火でも耐えると言われ、重さも無いのが特徴だ。
魔法は全て、人体強化に使うことも可能、複数魔法展開は慣れると個数制限など無くなる。
だが、ここまで強いドラゴンミミックが何故絶滅危惧まで追いやられたかというと・・・
魔法などを吸収して強くなるまでは、剣で突つかれただけで死ぬほど弱い肉体と言うのがドラゴンミミックの特徴なのである。
当然剣も口に入れば吸収出来る。
後はドラゴンミミックの特性を各々が気づけるかどうかで、生死が決まる。
ドラゴンミミックになっても直ぐ死ぬので情報は皆無なのだ。
「妖刀を持ってるけどコレ禍々しいよーなんか気持ち悪いし・・・」
ドラミミ(ドラゴンミミックの略)は、今妖刀を背負いながら高空飛行をしていた。
意外に、冒険者が居なく、お腹も減って来た。
ドラミミの主食は主に、果物。
人間は殆ど食べない。食べてはいけないと教わっていた。
「あ⁉︎果物発見〜」
そう言いながら、下降すると幼女が1人赤い実を頬張っていた。
シャリッ
もぐもぐ
シャリッ
もぐもぐ
ごくんっ
その容姿は、ボロボロの服を纏い、足には手足に枷がはめてある。
髪はボソボソになり、美しい顔が台無し。
「幼いな・・・あれは子どもか?こんな子どもを・・・危ない危ない。子どもの容姿に騙されてはいけなかった」
ドラミミは、炭鉱族の長の言っていた事を思い出す。
ドラミミは、地上に降りて、宝箱の状態になる。
森の奥に入る道の方でドラミミは待つ。
赤い実を食べ終わった少女は、歩き出す。
ドラミミの方へ。
ドラミミはふと気づく。
血の匂いが充満している・・・
それは少女の方から・・・・
まさかっ⁉︎この少女‼︎と思った瞬間、後ろから血塗れの大男が大剣を振りかざし、少女に襲いかかる。
血塗れだが、観察すると全ては返り血。
少女は、自分以外の大きな影が出来たことに気づき、後ろを振り向く。
そして尻餅をつき、大男を見て怯える
だが、大剣の大男は攻撃を辞めない。
「いちいち手間とらせやがって!」
でも少女が目の前で殺されたら目覚めが悪い。
宝箱を揺らし、気をこちらに向かせる。
「あ?宝箱⁉︎珍しいじゃねぇか。ついてるぜ。」
ビンゴ‼︎と叫びたくなった。
大男は、攻撃を中止し、少女の枷を掴み引きづりながらこちらへくる。
「痛い痛いです!」
「うるせえガキだな!黙れ‼︎」
大男の剣の柄の部分で腹を殴られる。
ゲェェ⤵︎
少女は、吐いてしまう。
「きたねぇな‼︎」
ゴンッ
今度は、頭に柄の部分で叩く。
少女は静かになった・・・・。
脳が揺れたか、死んだかのどちらかだ。
「やっと、宝箱を静かに開けられる。何が入ってんのかなー?」
ギギギィー。
「ん?真っ黒?見えねぇな。」
グシャッ⁉︎
「あっ?・・・・俺の左側何処に・・・」
(中々旨い。
人間も捨てた物じゃ無いな。)
バリバリバリバリバリバリ
(でも骨が多すぎだ。)
パキッ⁉︎
(んんん???)
ドラミミは吐く。
そこには、剣が・・・。
短剣だろう、だが剣も何故か味が・・・
大男の大剣を齧ると、ほのかに人の味がする・・・。
短剣は甘い果実のような甘みが・・・
(美味しい・・・。)
(妖刀も喰べた・・・あれは弟のだ。兄貴がそんなことしちゃダメだな。まずは大男を全部食べるか)
むしゃむしゃむしゃむしゃ
バリバリバリバリバリバリ
もさっ⁉︎
(本?魔道書??まぁ齧じっちゃったから喰べるか・・・)
もさもさもさもさもさもさ。
これは、もさもさしてるが、香りが良い
とても良い。
芳醇な香りが鼻を抜ける・・・。
「えっ?」
ドラミミの中に魔法の知識が流れ込む。
ドラゴンミミックの特徴は吸収。
本を喰べれば知識を吸収する。
(ふむふむ)
(初級魔法ばっかり、魔法喰べれないかな?出せるかな?)
そう思い、炎の息吹をイメージすると、口に熱い物が・・・。
息を吐くと、風魔法と併用された火魔法が口から出る。
(なるほどー。併用可能なのかー)
今度は喰べるために、発動し、すぐさま喰べる。
ゴゴゴゴゴゴ、ゴクン‼︎
(柑橘系の酸味に、レモンのような酸味・・・美味しい‼︎)
それから、水、土、闇、光を発動。
水は、スイカのような味が
土は、枝豆のような味が
闇は、表し難い、ヌルッとした甘いジュースのような・・・
光は、さらさらした、甘いジュース。
魔法を喰べていると、闇魔法が力強く、かつ、力が蓄えられるような気がした。
「お腹いっぱい♪どうするかなこの女の子?枷は・・・喰べるか」
バリッゴリッカリッ
(人の味が・・・。でも良い香りがする。そして甘く、足枷は少し塩っぱい)
(うーん。これは女の子の味かな?)
ドラミミは、推測する。
この世の道具は、使う者の味が出る。
身につければ対象者の味が付き、剣など相手を斬れば、血の味が。
多分だが、包丁系は、色んな味がするのだろうとワクワクしていた。
ドラミミは、少女を背負い、落ちないように注意を払って高空飛行をする。
「あれ?翔ぶ速さの最高速度上がった気がするけど、気のせいかな?」
読んで頂きありがとうございます。
女の子の味かな?
関しては、他意が存在しますが、お気づきにならない方はスルーで‼︎
女の作者だからかけることもあるんです♪