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プロローグ4

あれ………気付いたらもうプロローグが4話目だ………(--;)

…………………………………………………………………………

はあ………はあ………はあ………


暗い森を少女は疾走していた。闇に紛れるように、見つからないように。


はあ…………はあ…………はあ…………っ〜〜〜!!


すぐ後ろには紅く光るものが二つ宙に浮いていて疾風のように右に左に動いていた。あまりの早さに、紅い光が筋を残して、さながら影分身のようだった。

そしてそれがあまりに不可解で恐ろしく悲鳴もあげられずにただがむしゃらに逃げていた。


グアアアアアアッ!!


光の主が咆哮して一気に躍動した。

すると少女は急に前のめりに転んだ。


逃げなきゃ………逃げなきゃ………


すぐに立ち上がろうと手足に力を入れ、転がるようにまた前に走りだした。前方に微かに見えた白い光に向かって。





「私に似て美人だもの。」

マリアが胸を張って堂々と宣言した時だった。


グアアアアアアッ!!


急に咆哮が轟き、家全体がビリビリと震えた。

「!!!」

「!!?」

二人が硬直して顔つきが変わる。

跳ね起きたのか、二階からドタバタと騒がしくディノとメリアが降りてきた。

「父さん!今の何!?」

ディノが血相を変えて慌てる。

「二人ともここから出るなっ!!」

必死の形相でバルハラスが叫んだ。

「マリアっ!二人を頼む!」

「わかってる!!」

バルハラスは瞬時に戸の傍らに立て掛けてあった両刃の剣を鞘から抜き放ち乱暴に戸を開けて飛び出した。

「父さんっ!!」

ディノが追おうとしたが、マリアが即座に止めた。

「ディノっ!!出ていってはダメッ!!危な過ぎる!!」

「母さん!?止めないでよ!!」

マリアの制止を振り切ろうと手足をバタつかせた。

「あなた一人が行った所でなんにもならないのよ!!」

「関係ないよ!!行ってみなければわかんないじゃんか!!」

「ディノ!!」

と、急にメリアが木刀を持って外に飛び出そうとした。

「!?メリアっ!!!」

慌ててメリアを止めに行った時だった。ディノがマリアの制止を振り切り窓を開けて飛び出してしまった。

「あっ!!」

マリアが慌ててディノの方を向いたが対応しきれず、更にはその一瞬の隙をついてメリアも飛び出してしまった。

「ああん!もうっ!!」

とうとうマリアも戸の傍らに置いてあった両刃の剣と、火の灯っていたランプを持ち暗闇の中に飛び出して行った。外に出ると辺りは月明かりが無い黒一色の暗闇だった。持ち出したランプでは全くといっていいほど役にたっていなかった。

森の奥の方であちこちに飛び回る二つの紅い点が異様に不気味に見えた。

「あなたっ!!」

マリアが暗闇に向かって叫ぶ。

「マリア!?ディノ達はどうした!!」

暗闇からバルハラスの声が返ってきた。

「二人ともあなたを追って飛び出したの!!ごめんなさい!!私の不注意なの!!」

「………そう言ってても何も変わらん!!出てきてしまったのなら仕方ない!!ディノ!!メリア!!お母さんから離れるんじゃないぞ!!」

「「はいっ!!」」

また暗闇から声が返ってきたが、前からではなく後ろからだった。

「ディノ!?メリア!??」

振り向くと二人が鋭い目付きで森の奥を睨んでいた。

「マリアっ!!こっちに来てくれ!!」

今度はバルハラスが大声で叫んだ。

急いで声のした方向に走っていくとバルハラスが10歳くらいの少女を抱えていた。

「追われて逃げてきたらしい!!とりあえず頼んだ!」

放り投げるようにマリアに手渡すと持っていた両刃をしっかり両手で持ち直した。

「あなたっ!!」

マリアが危険を感じて叫んだ。バルハラスのすぐ近くまで紅い両目が迫っていたのだ。

「ちいっ!!」

咄嗟に反応したバルハラスは剣を自分の真上に向けて振った。

ぢいいぃぃ、と何かが擦れる音がした。

「マリアぁ!!離れろぉっ!!こいつはその子供を狙っている!!」

動物的な異臭がすぐ近くあると感じ取れた。

「あああっ!!」

バルハラスが何かを押し返した。すると一気に先ほどの異臭が遠ざかった。

「…………っ!!」

マリアは家に向かって走りだすと同時に手に持っていたランプを地面に叩きつけた。


ランプの中には、すぐ燃やせるように気化が早い液状の油と、長く火を灯していられるように固形の油も使っていた。つまりは、何かを燃やすにはちょうどよい材料が揃っているのだ。


ガラスが割れる音が響き、一気に火が草木に燃え広がった。

炎によって辺りが明るく照らされた。

映し出されたのは、竜。

全身の鱗が炎の明かりが反射して鮮やかな黒色に彩られ、翼が火傷からか醜く縮み、鋭い爪が地に深く刺さりその不安定な四肢を支えていた。

異常だったのが両目が真っ赤に染まり、かなり荒々しい呼気を繰り返していた。

だがそれ以上に異常だったのが口元。血だらけで、竜の奥歯に人の腕らしきものが力なくただブランとぶら下がっていたのだ。

何かに引っ掛かっているのか、それとも何かが引っ掛かったのか。いずれにせよ、竜が人を食った可能性があるのだ。

「こいつぁ………参ったな………変異種で最近出るようになった異常な奴だよ………ついてないな…あっ!!」

バルハラスは両刃の剣を大上段に構えて竜との間合いを一気に詰めて降り下ろした。狙いは竜の頭。

ザンッ!!

(殺った!!)

はずだった。相手が無抵抗であったなら。

竜はバルハラスの一撃を尻尾で受け、左の前足で殴るように突き出した。

明らかな死角からの不意討ち。

なのに、バルハラスは瞬時に右足を前に出し、竜の前足を踏み台にして跳んだ。

更に跳ぶと同時に竜の尻尾を両刃の剣で切り落とし、竜の背に降り立ち、間髪入れずに額に確実にぶっ刺した。

「グルアオオオオオッ!!」

断末魔らしき悲鳴をあげて竜は力なく地に伏せた。

「よっ………と。」

ふわり、と地面にバルハラスは着地し、勝利のポーズをとろうとした時だった。

バシャアッ

何かの液体………いや、大量の水である。かけた人。いや人達は木で造られた桶を両手で持っていた。

「………。」

「………。」

「………。」

「…ディノ。メリア。それからマリア。火を消すことは良いんだが、なぜ俺にまでかけた…?」

「念のため。」

ディノが答え、

「一応。」

メリアが答え、

「嫌がらせ。」

マリアが答えた。

「うん。マリア、なんか俺に恨みでも??」

「だって………水に濡れてるあなた、凄くかっこいいんだもの。」

顔を少し赤らめて言った。

「………。」

「………。」(さすがに無理があったかな…?)

「マリア………。」

「はい……?」

「可愛いから許〜す!!」

「そっ、そんな恥ずかしいですよあなたっ!!も〜っ、そうことを言うのは子供が寝てからにしてくださいよ!!」

マリアが顔を真っ赤にしてバルハラスから目を背けるように後ろを向いてしまった。


その時ディノは思った。

(………イチャイチャすんなこのバカップルがぁっ!!)

と。

「ん?話は変わるけど、マリアさっきの子は?」

「あ、ああ。家の二階で寝かせてますよ。」

「………なら大丈夫だな。ディノ、メリア、今日はもう寝た寝た。あ、ディノは床で寝な。」

バルハラスは手で二人に寝るように合図をした。

「はい。」

「はーい………ってなんで俺が床で寝なきゃいけないんだ!!」

「ええッ!?前々から床で寝たいって言っていたじゃん!!」

「言うかーっ!!」

ディノは決めた。いつかこのバカ親父の平和そうな顔をブン殴ると。

するとマリアが横から口出しした。

「でも、ディノのベッドで女の子が寝てるから、一緒に寝ることになるわよ。つまり………添い寝??それとも妹と添い寝する??」

「ぶっ!!」

吹き出してしまった。

「私は別に気にしないよ、お兄ちゃん。お兄ちゃんが一緒に寝たいって言うなら構わないし、それとも私が床で寝る?」

特に気にしないと言った様子で淡々とメリアは言った。

「い、いやいや!!メリアが床で寝る必要はないよ!!」

「じゃあ一緒に寝る?」

メリアは相変わらず気にしない様子で言った。

「はははっ!!ディノそうしてもらえ。」

バルハラスがちゃかすようにニタニタ笑いながら言った。

「¥☆$□%△○〜っ!!」

ディノは顔を真っ赤にして言葉にならないような勢いで憤慨し、

「ゆっ、床で寝るっ!!」

それだけ言った後、全速力で家に入っていってしまった。

「あらら…つれないなぁ。」

バルハラスがつまらなそうに呟く。

「あなたが茶化すからでしょ。………ま、メリア。今日はもう寝なさい。」

「はい。」

メリアはゆっくりと家に帰っていった。

「………。」

「…はあ〜。やっぱり血、ね………。」

「…あ、説教すんの忘れた。」

「忘れましょ。もう私は寝るわ………。」

「あ〜あ……明日は緊急会議だよ………。」

バルハラスは気だるそうに家に帰っていった。マリアも続くように帰っていった。


はい、プロローグ4終了です。まあ言いたいことは大体わかります。


プロローグのくせに無駄に長え!!!


いや、作者もびっくりしているんです。まさかプロローグがこんなに長くなるとは………

実際、一番最初の竜は変異種を出すつもりじゃなくて、通常種の空を飛んでいる竜を先に出す予定だったんですが、予定は予定でした(^-^;)

え?ならさっさと飛ばせって?

いやいやとても重要なんですよ!ドラ○エVのパ○スとか、ナ○トの四代目○影ぐらい重要なんです!!

…………失礼しました。とりあえずとても重要なんです。長い長い目で見守ってください。

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