表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大天使の初恋を、妖精王が台無しにする物語。 〜永遠の恋人は、まだ恋人未満〜  作者: 久茉莉himari


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/7

【5】純情大天使、妖精王に暴かれる。〜FIRST LOVEは浄化できない〜

「アンジュちゃん……!」


ロクシーが涙交じりに叫ぶ。


「アンジュよ!良かったのう……!」


アーチーボルトも喜びの声を上げた。


だが――次の瞬間、空気が静まり返る。


ルシアンが騎士のように跪き、アンジュの右手を取ったのだ。


アンジュは、その手に感じる温もりと、ルシアンのヘイゼルグリーンの瞳に浮かぶ涙を見つめ、柔らかく微笑んだ。


すると――


「イテッ……なんじゃ!?」


突然、アーチーボルトがロクシーの肘鉄を食らった。


「部屋を出ろ!」


ロクシーの鋭い囁き。

――さっきまで死にかけて、泣いていたとは思えないほどの迫力だ。


「……へ?」


「いいから!行くよ!」


「……な、なぜじゃ!?イテッ……!」


ロクシーに引き摺られ、アーチーボルトは廊下へ追い出された。


ドアが閉まると同時に、アンジュが静かに口を開く。


「……天界で倒れた私を見たか?」


「滅相もございません……!

大天使ミカエルさまがご確認され、神の命により、私が地上に降り立ちました」


「……良かった……」


アンジュが安堵の息を吐く。


ルシアンが見上げると、アンジュの真っ白な頬がほんのりと赤く染まっていた。


「あの……アンジュさま……?」


アンジュがぷいっと横を向く。


「……私は、さぞかし酷い状態であったであろう……!

それに私は先ほど、分身が清められ……天界にて意識を取り戻し、穢れた手も治った。

そして……神の命にて……」


ルシアンの無表情の顔がパッと明るくなる。


「地上に降りられたのですね!」


「違ーう!!」


アンジュが右手をルシアンからパッと放す。


「私は“地上の異変をこの目で見届けよ”としか言われていないし……恩寵も無いのだ……!!」


ルシアンが音もなく立ち上がり、真っ直ぐにアンジュの瞳を見つめた。


「私がお守り致します」


「しかし、妖精王は――」


その時――


「ギャー!!何してんのよリオ!」


「リオ!刺せ!刺すんじゃー!!」


というロクシーとアーチーボルトの叫び声が同時にしたと思うと、二人がドアから部屋になだれ込んで来た。


ルシアンがドアを見て、アンジュの前に立ち塞がる。

その間、1.3秒。


ドアの向こう側には、大天使の剣を持ったリオと妖精王が並んで立っていた。





ルシアンの眼が、瞬時に戦士のそれに変わる。


そして、厳しく問う。


「リオ、なぜ、妖精王を連れて来た?」


リオはきょとんとして答える。


「……えーと。

もう、清めの儀式も、話も終わったかな、って思って。

何時間も経ってるし……。

この妖精王もそう言ってるし!」


ルシアンの片眉が思わず上がる。


――リオの性格を失念するとは……!


リオの筋肉なら大天使の剣も持てると思ったが――

中身は、すくすく育った大根みたいに素直過ぎるのだ……!


すると――

妖精王が言った。


「みんな、大丈夫〜!?

なんか……俺のせいでメンゴ☆」


ルシアンが静かに告げる。


「清めの儀式は終わった」


妖精王がニパッと笑う。


「んじゃ☆お詫び、しないとね!

そうだ!

俺のいた空間を全部浄化する方法ってないかなあ……」


その瞬間だった。


突然、夜の虹が現れ、空間を駆け抜けて行く――存在そのものが、世界に反射した。


血の跡も“いつの間にか”消え去り、空気は“少し軽く”なった。


肌に触れる温度も“柔らかい”。


誰も声を出せず、ただ、夜の虹が去る方向を見つめていた。


ルシアン以外は。


妖精王が心底驚いた声を出す。


「……え?何これ?

俺こんな演出してないんだけど〜?」


ルシアンが即座に重々しく説明する。


「セレニスは魔術無効の州。

だが王の“存在情報”が反射して、夜の虹という自然現象が起きた。

力が封じられた現象なのだ」


すると、ロクシーがルシアンに向かって叫んだ。

感動――ではなく、怒りに満ちた声で。


「ルシアン!

こんなことが起きるなら……あんな拷問みたいな清めの儀式いらなかったんじゃない!?」


ルシアンが一瞬黙ると、妖精王がしみじみと言った。


「でもさあ……マジ感動もんよ?


俺は妖精王じゃん?

つ・ま・り!

天界のヒエラルキーでは普通の天使さま以下なワケ!


大天使さまの“清めの儀式”☆

リオから聞いて、超絶感動した〜!!


大天使さま、容赦なーい!

あれ、芸術じゃん?


もう、妖精界に持ち帰りたいレベル!」


すると、アンジュがルシアンの前に出て、高らかと告げる。


「ルシアンは素晴らしい大天使なのだ!」


妖精王はにっこり笑って答える。


「それな☆」


その瞬間――

リオの手から、ルシアンの手に大天使の剣が戻った。





リオが腹が減ったと言い出し、ロクシーもそう言えば……ということになり、アーチーボルトが即席で料理を作ってやった。


もちろん、アンジュのぶんも。


そして、妖精王を引き離し、ルシアン、アンジュ、ロクシー、アーチーボルト、リオの五人で固まり、ダイニングテーブルにつく。


妖精王は好奇心いっぱいの様子で、ダイニングルームを見て回っている。


ルシアンが低く問う。


「なぜ、貴様は血塗れで倒れていたのだ?」


妖精王は金色の長い髪を揺らし、笑顔で答える。


「あ、あれねー!

あれは、自分で採血した血❤️


妖精の国の決まり事!

やっぱさ〜華々しく登場したいじゃん?


俺、地上に初めて来た妖精王だし☆

ウィッス☆☆☆


でもさあ……なんかエネルギー?使い切っちゃったみたいで、寝ちゃってた❤️


アンジュちゃん、ロクシーちゃん、マジごめんねー!!」


ロクシーはこめかみに青筋を立て、無言でスマホをフリックしている。


アンジュは熱々のグラタンに夢中で聞いていない。


すると――

妖精王が、すすっとルシアンに近づいた。


即、戦士の眼になるルシアン。

そして、大天使の剣を隠し持つと――


妖精王が光り輝くような笑顔で言った。


「YOU!イケメンが台無しだぞ!大天使ルシアン!


あとさ〜あの神がかってるカワイイ子……アンジュちゃんって君の彼女?」


ルシアンが戦士の眼で妖精王を睨み付ける。


だが、自分の意思に反して、顔がだんだんと赤くなっていく。


すると、妖精王がウンウンと頷いた。


「やっぱし〜♪で?どこまでのお付き合い!?」


次の瞬間――

なぜか、地獄の王、ルチアーノの大声が響いた。


「お前……俺様のズッ友ルシアンの初恋を軽々しく聞くな!!」


妖精王が完璧なアーモンドアイを見開く。


「……初恋……?

FIRST LOVEなの!?


イケオジなのに……!?純情☆

俺、好きだよ、そーゆーの♪」


アーチーボルトとリオが唖然とし、突然現れたルチアーノを見ていると――

妖精王がふわっと髪をかき上げ、続けた。


「初恋って俺もまだだけど、ワカル〜♪

長引くんだよね❤️」


ルチアーノも負けじと、ふわっふわっふわっと三回髪をかき上げ、叫ぶ。


「お前……なんと言うことを……!


初恋は長引くんじゃない!

初恋は結ばれにくいんだッ!

リリカルッ!!」


妖精王が、ルシアンにパチンとウィンクする。


「でも大天使なんでしょ?ルシアン♪


しかもイケメン!有能!

落ちない子いる!?


妖精の国ならモテモテだよ!?」


またも、ルチアーノが大声で妖精王を遮る。


「ルシアンは純情なんだよ!!

清らかな身なんだッ!!」


妖精王がルシアンの顔を覗き込む。


「……あ、そーゆーこと!ユニコーンだネ☆」


すると、アンジュがガタンと立ち上がった。


そして高らかに告げる。


「ルシアンはユニコーンではない!大天使だ!」


ルシアンはもう赤い顔をしていない。


彼の顔色は、火山のマグマ色になっていた。


そして、ルシアンがプールに向かって走り出す。


今度はアーチーボルトが叫ぶ。


「ルシアン!

泳ぐのは構わんが、うちのプールは長方形ではないぞ!」


ルシアンは無言で、完璧なフォームでプールに飛び込む。


そして始まるバタフライ。

それはオリンピック選手級のフォームと速さだった。


この夜、妖精王は地上に降り立ち――

真面目過ぎる大天使を、プールに落とした。

ここまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)

明日も17時更新です☆


Xはこちら→ https://x.com/himari61290

自作のキービジュアルやキャラクターカード貼ってます♪


〈ルシアンとガブリエルをもっと知りたいあなたに…〉


【完結】大天使と“ズッ友”になりたい地獄の王。 〜柄物スーツに一目惚れしてから、すべてが始まった件〜


https://ncode.syosetu.com/n5195lb/


【完結】大天使ガブリエル、地上に爆誕!〜神の命がふんわりすぎて、祈ろうとしたら迷子になりました〜


https://ncode.syosetu.com/n2322lc/


【完結】大天使たち、日本昔話に異世界転生する。〜初恋成就作戦を決行するポンコツ地獄の王に振り回されています〜


https://ncode.syosetu.com/n7024ld/


【完結】大天使ルシアン、最強捜査官になる〜神の沈黙と愛の証明〜


https://ncode.syosetu.com/n5966lg/


【完結】大天使と最強捜査官のクリスマス戦線 〜セレニスに集う者たち、愛か使命か〜


https://ncode.syosetu.com/n9868lk/


【完結】大天使と最強捜査官のクリスマス戦線〜聖夜の余白の物語〜


https://ncode.syosetu.com/n9097lm/


【完結】地上でいちばん可愛い正月旅行〜天使と悪魔も福来たる、温泉・TOKYO・バタフライ〜


https://ncode.syosetu.com/n5279ln/


【完結】大天使、悪魔のお見合いを阻止せよ!?〜地獄の王がお見合いを断ったら、大天使に婚約者が爆誕!〜


https://ncode.syosetu.com/n2903lp/


【完結】地上でいちばん難しいバレンタインの贈り物〜天使が天使に恋してます!?悪魔と軍師も混ざる秘密の奇跡〜


http://ncode.syosetu.com/n2458ls/


を読んで頂けるともっと楽しめます(^^)


こちら単体でも大丈夫です☆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ