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静電気マスター

作者: るい
掲載日:2026/01/05

1/8 日間ハイファンタジー部門で59位ありがとうございます!


そしてレビューを書いて下さった方も本当にありがとうございます!




静電気。冬場の乾燥した時期に発生しやすいパチッとするもの。対処法は様々だが不意に訪れるので、対処を忘れることも多いだろう。


そして何故この話を始めたかと言うと、授かったスキルが『静電気マスター』だからだ。


街の教会で15歳の洗礼と共に神様より授かるスキル。


産まれてからの両親の血筋や経験、行動などに関わらず皆何かしらのスキルを授かる。


スキルは試行錯誤しなければうまく使えず、授かったスキルを殆ど使うこと無く一生を終える人が大多数だ。


中には優秀なスキルもあるが数百人に一人で、使いこなせるのはその内の限られた人数だけらしい。


そんな中で俺の授かったのは使い道が静電気を受けない、発生させるしか思い付かない前述通りの『静電気マスター』だ。


それなのに『◯◯マスター』系統のスキルは優れたスキルの可能性が高いと言う理由で国営のスキル研究所に三年間通うことが決まった。


一応国営と言うことで協力費と言う名目でお金を貰えるが貢献すれば増えるが、貢献できなければ貰える額は庶民の月収の1/3だ。過去には貢献著しく貴族や王族に雇われたなんて話もあるが俺の場合は三年間1/3を貰い続けて一日の半分を研究所で過ごすことになるだろう。


その間に出来る日雇いの仕事をして食い扶持を稼がなければ行けない。スキルを上手く使いこなす自信も無ければ、スキルを上手く使いこなそうと思う熱意もない。


そんな俺が研究所で役に立つのかと不安しかない中、研究所に入っていった。


研究所は様々な建物が密集しており、初等学校の数倍規模で建っている。


案内に有った通りの場所へ行き、指定された建物へ向かう。


建物の前の看板には[電気系統総合研究所]と書かれており、間違いがないことを確認して入った。



~数ヶ月後~


俺はこの研究所で早くも持て余されている。


最初の七日間はスキルの発動を促すもの。


何とか使えはしたがやはり静電気が出ただけだった。


そして強弱や持続時間を操ることを目標にされた。


強弱は変更できず、時間は短くすることは出来ても長くすることは無理だった。


そしてそれからも様々な課題を設けられたがスキルが自在に使えるとは言えず、ただ発動させることが出切るだけだと判断された。


そして研究員達が言うにはどうやらハズレスキルの可能性が高いらしい。


まぁ、だからと言って落ち込んだりすることもなくこれからの就職先を考えるようになっていた。



~一年後 ~

研究所に行く時間も減り日雇いの仕事をこなしていると、研究所を出た後良かったらうちに来ないかと誘われたので二つ返事をした。


日雇い仕事が段々と増えてきた中で研究員から[スキル総合研究所]へと向かうようにと指示され、そちらへ向かう。


ここでも何も成果が無ければ研究所へ通うことは無くなるだろう。


そして事実、半年を経たずして最後の研究協力費を貰い研究所を出た。






~数年後~


研究所を出てからは日雇いでお世話になった宿屋で住み込みで働かせて貰っていた。


研究所に通っていた時は何で通わなきゃ行けないのかと不満だらけだったが、行く必要も無くなって日々仕事に励んでいた。


そんなある雪の降る日、憲兵がやって来て不審火や火の消し忘れには気を付けるようにと言ってきたので宿屋の夫婦と俺は気を付けることを伝えて憲兵は去っていった。



~二十年後~


俺は四十歳になり、宿屋の夫婦から宿を受け継いだ。


二人の間には子供は出来ず、長年働いてくれた俺に継いで欲しいとの事だった。俺は二人が今後のんびりと余生を過ごせるようにと今まで貯めていた貯金の半額を渡すと額の多さに驚いていたが、今までここで働かせて貰った恩と、宿を受け継ぐ俺なりのけじめだと言い受け取って貰った。


それからも俺は仕事に励み続けた。冬場には恒例となっている憲兵の火に対する警戒も今では顔馴染みになり非番の憲兵に街で会えば雑談をする仲になっていた。






俺は六十歳となり、宿は増築・改装をしているので昔より広くなったが、若いのが良く働いてくれていて、後継者もいる。


流石に若い頃と同じように働くことが数年前から厳しくなり、洗礼を終えた子等を雇い働かせている。


宿屋の評判も良く、地元や遠方のお客さんが多く通ってくれるので潰れることは無さそうだ。


思えば洗礼で『静電気マスター』と言うスキルを授かったが本当に良いスキルを授かったものだと今更ながらに神へと感謝する。



俺の授かったスキルは単体では使えなくても組み合わせ、効果を増幅させることが出来ると知れたのは研究所にいた頃だった。だがそれを研究所の研究員達が知ることは秘匿した為無かった。



これ迄に殺した数はもう覚えていないが、これからは後継者が頑張ってくれるだろう。


あぁ、仕事を励んだかいがあった。

























ザマァ見ろ。糞国家。



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