17 イケメン超能力者(1)
ものの見事にラーメン事件を解決したプリンセスは、再び平穏な日々を送っていた。彼女は特に仲が良い友達はいなかったが、学校の勉強が好きだし、管弦楽部での練習及び演奏会がとても楽しんでいた。
ヴァイオリンというのは不思議な楽器だ。普通、物は最初買った時に新しくてだんだん老朽化し、劣化して使えなくなってしまうものだが、ヴァイオリンは古ければ古いほど、弾けば弾くほどいい音が出るようになると言われている。
プロも300年前とか400年前に製作され、幾人もの演奏家によって弾かれた楽器を演奏している人が多い。
また妹のマーガレットも楽しく学校生活を送っていて、ただ彼女の場合は部活動には入っていないので、授業が終わると下校し、ボランティア活動をするという日々が続いていた。
そんなある日、そう、それは日曜日で学校が休みの日のことだった。プリンセスは首にお気に入りの赤いネッカチーフをつけ、タイトミニを穿いて喫茶店で読書をして過ごしたり、ウインドウショッピングをしたりしてのんびりと休日を楽しんでいると、すぐそばに白いスーツにピンクと青の派手なネクタイをしたイケメン男が歩いてきた。
その男は急にプリンセスに近づいて話しかけてきた。
「よおー、姉ちゃんイカしているじゃん。超イケメンの俺とお茶しようぜ。」
「お断りします。」
「ちょっと、俺のことをよく見てから物を言えよ。俺は今までに何百人もの女の子とお茶して来たのさ。もちろん一度も断られたことはない。
何百人も振って泣かしてきたから罪の意識に苛まれてる、なんちゃって。まともな女ならこれほどの超イケメンの誘いは神からの授かりものとしてありがたく受け取るはずだ。
さあ、今の無礼はあんたの可愛さに免じて特別に許してやるからさ、すぐそこのカフェ、なかなかおしゃれでいいと思わない?」
「しつこいわね。私は男の人とはおつき合いしない主義なの。」
「ウッヒョー、この俺の誘いを拒否るとは。こんな屈辱は初めてだ。絶対許せん。喰らえ、エネルギー衝撃波だ。」
プリンセスはこの男は単なる遊び人だと思っており、まさか超能力者だとは夢にも思っていなかったので、咄嗟のことでバリアーを張ることができず、衝撃波をぎりぎりで避けるとそのまま道路に倒れ、転がってしまった。
タイトミニスカートはすぐに伸びてパンタロンに変えたが、倒れたままの姿勢ではフラワーバリアーを張り巡らすことはできないのだ。
「フハハ、よく避けたな。しかし地面に倒れたままの状態で次の光線を避けるのは難しいよん。おっ、いつの間にかズボンになってるな。
女はミニスカートじゃなくちゃ。泣いて許しを請え、そしてミニスカートに穿き替えてお茶してくださいと懇願すれば今からでも許してやってもいいぞ。俺は海のように心が広い男だからな。超特別のお慈悲だ。」




