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16 ミステリーラーメン

ある日プリンセスたちが通う学校の近くにラーメン屋ができた。看板には「ミステリーラーメン」と書いてある。厨房にはドクロのマスクをした男が二人いた。


「ふひひひ、儲かるぞ!」

その頃学校の時計塔の裏側にも同じドクロのマスクをした男がいた。


男のそばには箪笥ぐらいの大きさのマシンがあり、幾つもの小さなライトが点滅してカシャカシャと音をさせながら作動している。


「ふふふ、この集団催眠装置を使えば、学生たちは放課後になるとミステリーラーメンを食べたくなり、我々の店へ殺到するのだ。


まだこの装置を実際に使ったことがないのが少々気にかかっていたのだ。ちょっと試運転してみるか。対象は、と。」


たまたまそこにプリンセスのコパンである猫型アンドロイドのみーちゃんが歩いていた。プリンセスの近くには必ず1体か2体のコパンが、プリンセスの護衛とパトロールを兼ねて待機しているのだ。


「ふひひ、あの猫で試してみよう。スイッチオン!」

集団催眠装置はウイーンウイーンという音を出しながら作動し始め、先端の棒状のライトのようなところからブルーの光線が出てみーちゃんに照射された。


「うニャー」

その光線を浴びた途端、みーちゃんは全身が麻痺状態になってしまったが、次の瞬間急に空腹を感じ、何と猫型アンドロイドなのにラーメンが食べたくなってしまったのだ。


「ミステリーラーメンが食べたいにゃー、ミステリーラーメンが食べたいにゃー」

と叫んだ。


放課後で部活動に勤しんでいたプリンセスは、みーちゃんのテレパシーをキャッチすると、足早にやって来た。


「みーちゃん、どうしたの?」

「ミステリーラーメンが食べたいにゃー、ミステリーラーメンが食べたいにゃー」

「何言ってるの、あなた猫舌でしょ!」


「ミステリーラーメンが食べたいにゃー、ミステリーラーメンが食べたいにゃー」

「おかしいわね。」


プリンセスは周辺に何かないか集中した。すると校舎の屋上に付随している時計等に何か不審な気配を感じた。

「うっ時計塔が怪しいわ。モンちゃん、来てちょうだい。」


そっと屋上へ行き、時計塔の入口から中を除くと、ドクロのマスクをしてマントをつけた黒い服装の男がいて、その側でマシーンが動いていた。男はつぶやいた。


「ククク、試運転は成功だ。今度は学生たちのいる校舎やグラウンドに光線を何度か照射すれば、学生たちはたちまち集団催眠にかかり、ミステリーラーメンがめっちゃ食べたくて我慢できなくなり、店に殺到することになる。儲かるぞ。


では今度は本番だ。ターゲットを校舎の方に向けて、スイッチオン!」

男が集団催眠装置のスイッチを押そうとした時、急にモンちゃんが空中を飛んできて、その男のまさにスイッチを押しかけている指に鋭い歯で噛み付いた。


「いててて、何だこりゃ、よくも邪魔してくれたな。」

モンちゃんはあっという間にフロアーを滑るように這っていき、パッと飛び上がるとそこに立っているプリンセスの右肩にちょこんととまった。


「お嬢さま!」

「よくやったわね。」

「これでもくらえ!」


男の指からオレンジの破壊光線が発射され、プリンセスたちの方に向かっていった。するとプリンセスの周りに得意のフラワーバリアーが張り巡らされ、破壊光線はバリアーで遮られると共に反射されて集団催眠装置の方へ向かっていき、装置に命中した途端、装置は大爆発してしまった。


「バリバリ、ドッカーン」

「3年の歳月をかけて大金を投入して開発した俺のマシーンがメチャメチャだ。許せん。リベンジだ。行け、イケメン超能力者よ!」

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