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15 ボランティア(4)ラナンキュラスの意外な弱点

「可愛い顔に傷がつかないようにわざと外したのさ。感謝しな。それにしてもおまえの魔法はその程度なのか。さあ、気絶させてやるよ。」


その瞬間ラナンキュラスの額の辺りから青い魔法光線が発射され、プリンセスに向かってきた。


プリンセスは得意の花柄のフラワーバリアーを身の周りに張り巡らしたが、何と青い光線はバリアーに染み込むようにして通過し、プリンセスの方へ向かってくる。


ラナンキュラスの魔法はプリンセスのそれとは比べ物にならな

いくらい圧倒的なパワーをもっていたのだ。


「うっ、何というパワーなの。私のバリアーが侵食されていくわ。こ、このままでは…」


絶体絶命と思われた時、入口の方から黄色い魔法光線が発射され、ラナンキュラスの青い魔法光線を遮った。他の部屋でボランティア活動をしていた妹のマーガレットがただならぬ気配を感じ、駆けつけていたのだ。妹のマーガレットは、攻撃的な魔法光線を使うことができたのだ。


「お姉さま、私のためにこんな無理をなさるなんて。さあ、私の手にお姉さまの手を重ねてちょうだい。そうすれば4倍のパワーになるわ。」


二人が手を重ねた状態でマーガレットの手から黄色い魔法光線がラナンキュラスに向かって発射されたが、ラナンキュラスは両手を差し出し、そこから強力な黒い光線が発射され、二人の魔法光線は弾かれ、黒い光線がジリジリと二人に迫っていった。


このままでは二人とも危ない。もうダメかと思われた時、ドッカーンという大きな音がして二人は弾けてひっくり返ってしまった。


何事が起きたのかよく分からなかったが、そこには何といつも研究室に閉じこもっている爺がいたのだ。そしてラナンキュラスの両肩から小さなフクロウたちがぶら下がっているではないか。


「そこにいるのはわしの孫たちじゃ。わしはこの魔法使いの弱点を知っておるのじゃ。孫たちよ、その女を思いっきりくすぐるのじゃ。さあ。」 


すると肩からぶら下がっていた子供のフクロウたちは両側からラナンキュラスの脇の下をくすぐり始めた。孫たちは

「ウヘヘヘ、お姉さん、くすぐりに弱いんだね。もっとやるじょ、それ、こちょこちょこちょー」


「あーっ、やめて、私はくすぐりに弱いのだ。あ、あ、あ、そこダメ、やめてくれ、あー」

ラナンキュラスの周りに白い渦巻きができた途端、それに吸い込まれるようにしてラナンキュラスは消えてしまった。


爺は

「恐らく元の異次元の世界に戻ったのじゃろう。とりあえず安心じゃ。プリンセスお嬢様、妹さんのことを黙っていて申し訳ござらん。固く口止めされていたものでのう。


孫たちはたまたま遊びにきていたのじゃが、もうそろそろアルテミス星に帰し、わしはまたシャトーで研究に没頭するつもりじゃ。二人の様子を見ていて、二人ともお互いを大切に思っていることがようくわかったのじゃ。これからは姉妹で力を合わせて、楽しく生活しておくれ。それでは。」


 それから数日経ってシャトーでは妹のマーガレットが

「お姉様、またハルオ君が優しくなったの。ハルオ君とボランティア活動しているととっても楽しいの。毎日が楽しみなの。」

「よかったわね。それでは私も至福の時を過ごしましょう。ブラームスをかけてミルクティーを飲みながら、シャーロットブロンテのジェーンエアを読むわ。」

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