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14 ボランティア(3)圧倒的な魔法パワーの魔女

ボランティアの人たちは時々順番に休憩室で休むことになっていて、それは男女別の部屋のようなのだが、ハルオ君が一人で休んでいるとそこに白い霧のようなものが現れ、それがみるみるうちに人間の大きさとなり、そして一人の女の姿になったのだ。


そしてハルオ君に何か催眠術のようなものをかけ始めた。

「ハルオよ、あのマーガレットという女子にだけ冷たくするのだ。そして苦しめるのだ。分かったね。」


朦朧とした表情のハルオ君は

「了解しました。」

と言ってソファーで眠ってしまった。


そこまで見たところでプリンセスは

「これは多分異次元からやってきた魔法使いね。彼女が催眠魔法をかけて妹のマーガレットにだけ冷たくするように仕向けていたというわけね。


でもどうして面識がないはずの妹にだけこんなことをさせるのかしら。目的は何なのかしら。


この魔法使いって人の恋路の邪魔をするのが趣味なのかしら。とにかくこんなことは絶対許せないわ。皆、ここまでありがとう。あとは私が何とかするわ。あの魔法使いと直接対決することになるかもね。」


するとモンちゃんが、

「プリンセス、どうか無理はなさらないようにお願いします。あの魔法使いはおそらく相当な使い手だと思われますから。」

「心配してくれてありがとう。大丈夫よ。気をつけるから。」


 プリンセスは妹のマーガレットがボランティアをしている建物にこっそり忍び込んだ。そして廊下を歩いて魔法使いがどこにいるのかを探していると、奥の部屋から奇妙な音楽が流れてくる。


その音楽に混じって何かのメッセージが発せられていることに気づいた。プリンセスはその部屋に向かって一目散に駆けていくと警戒しながらその部屋に滑り込んだ。


するとドアがバタンと閉まった。そこには例の魔法使いの女が薄笑いを浮かべて立っていた。机が一つあり、机上にはコップが一つあり、そこにはオレンジ色の飲み物が入っていた。


「私は魔法使いのラナンキュラスさ。おまえが来るのを待っていたよ。大歓迎さ。そこのジュース、美味しいよ。お飲み。毒とかは入ってないから大丈夫だよ。ふふふ。」


「私はとっても怒ってるのよ。ハルオ君を使って私の妹を苦しめるのはどうしてなの?すぐにやめなさい。」


「やめてもいいよ。目的は達成されたからね。ククク、これはおまえをここにお引き寄せるための罠だったのさ。さるお方が、三回も計画を邪魔されて困っておられるのだ。


プリンセス、お前がすぐにアルテミス星に帰れば今後は何もしないと約束しよう。でも拒否するのなら魔法で気絶させ、強制送還するまでさ。あんたは賢いからどうしたらいいか分かってるよね。」


「私の答えはこうよ。」

プリンセスは物体移動の魔法でジュースの入ったガラスのコップを宙に浮かせると魔法使いの方へ移動させ、コップを傾けてジュースを魔女の頭にかけようとした。


しかしジュースはきっちりと魔女の口に入っていき、コップは空中に浮かんだままだ。

「ああ、うまい。せっかく美味しいジュースを用意してやったのに、よくもやってくれたね。頭にきたよ。」


するとガラスのコップは方向を変え、すごいスピードでプリンセスの方へ飛んでいった。プリンセスがそれを何とか避けるとコップは壁にぶつかって割れ、粉々になってしまった。

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