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君との絆が奇跡になる  作者: 呂束 翠
メイド喫茶『とらんす♂』

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第64話 閑話 メイド喫茶『とらんす♂』4

 思えばナンパ……もといアルバイトの勧誘で最初に出会った日も女の子に見える格好していたのに一発で男と見破ってきた人だ。すぐに看破するのは不思議ではないけど見抜くまでが一瞬過ぎて恐ろしい。


 信世も性別を一瞬で当てられて動揺している__なんてことはなく、いつも通りの圧が強めのキリっとした目をしている。むしろ説明する手間が省けて助かるみたいな事考えていそうだ。


「今日は人手が足らないんですよね。店長さんが良いと言うなら今日だけでも私が出ます」


 あれっ、ボクそんなに説明したっけ。信世にはロクに説明しないで連れて来て女装させただけなのにどうして把握してるんだろ。


「ねぇむぐっ」


 何気に一人称を変えて会話している信世に訳を聞こうとすると先んじて口を抑えられてしまう。

 説明は不要という事だろうか。


 無言のまま客席の机に置いてあるメニュー表を手に取りパラパラと最後のページまで流し見して机の上に戻す。

 今ので読み切ったのは突っ込むまい。勉強会の度に何度もその特技を見せられてるからいちいち驚いていられないのだ。


「メニューを一通り見ましたが全て紡祇に強請られて作った事があります。彼……ここでは彼女かな。彼女と同程度のクオリティなら作れます」

「それ本当?」

「そうですよ。家でよく一緒に作ってたので信世ならここの料理全部作れます」


 最後にボクの一言を添えれば……きっと、多分、いや絶対に行ける……気がする。

 実は信世には料理の参考の為に、このお店とほとんど同じレシピを一通り作って貰ってそれぞれのレシピで気を付けるべき所とか盛り付けのやり方とかも一緒に考えた事がある。当然信世の頭の中にも同じレシピが共有されている。

 つまりは調理場においては即戦力っ!


 後は食材や食器の把握位だけど信世の記憶能力ならそれくらい何てことない。

 さっきの女声出した時みたいに多少のヒントさえあればすぐに順応するから不測の事態にもすぐに適応しちゃうし、見た目もボクに負けず劣らずの可愛さで完璧! もー、文句の付け所なんて無いはずっ!!


「接客は流石に難しいですがお二人の分、私が調理場に専念します」

「…………キッチンだけでもやってくれるなら確かに二人でも回せる。見た目も声も文句無い。何よりも私の好みにも合う」

 最後のは余計なんじゃないかな。


「店長……どうですか?」

「………………」

 しばらく考え込む店長。

 やっぱり、入って日が浅いボクが友達連れて来て従業員にして欲しいだなんて勝手な事し過ぎたかな……。

 あくまでここはお店なんだ。娯楽を提供するお店で社会の一部。高校生になったばかりの子供が出しゃばり過ぎて店長が困っちゃったんだ。


 今更ながらの後悔と不安が押し寄せてくる。

 不安を感じ取ってくれたのか、信世が何も言わずに頭を撫でてくれるけど……やっぱり不安なのは変わらない。


 そんなやり取りを見た店長が気を使ってくれたのかニコッと笑い掛けてくれる。

「従業員がこんなに頑張ってくれてるもの。ダメとは言えないわ」

「でも……」


「いーの。むぎむぎが頑張ってここには居ない私好みの男の娘を連れて来てくれたのよ。感謝しない訳ないじゃない」

 店長好みかどうかは完全に偶然です……ていうかストライクゾーン広いですね。


「君、名前は?」

「深森 信世です」

「じゃあ、今日一日このお店ではみもりんと名乗って頂戴。キャラ付けするなら無理ない範囲でお願いね。道具の場所教えるから付いてきて」

「はい」


 自然な流れで信世をキッチンに案内しだす。

 これってもしかして__


「あ、あのっ……本当に良いんですか?」

「勿論。今日限定だけど採用よ」


~~~~~~


 さてさて、無事に信世が今日限定のメイドさんになってくれましためでたしめでたし~。

 なんてあるはずが無く。

 開店して数時間。店内はいつも以上の回転効率でご主人様が来ていて大変な事になっていた。

 幸い、店内は意図して狭く作っているのでメイドさんの数が足らないなんて自体にはギリギリなっていない。


 ギリギリ……本当にギリギリ人が足りている状態。意図して狭くしている店内のお陰でギリギリ回してるだけであって、こちらとしては30分から1時間おきに交代するみたく入って来る多種多様なご主人様とお話ししたり、チェキ撮ったり、オムライスに文字描いたりとか……まぁ、色々している。

 それは勿論ボクだけじゃなくて店長もだけど……このお店の中で一番接客をしているのはボクと店長じゃない。


「ご主人様のお仕事が上手くいきますよ~に♡ おいしくなぁれ、もえもえきゅん♡」


 新規のご主人様にご奉仕している背の高くて可愛いくあざといみもりん。普段は目線で人を殺せそうなその目にはかつてない生気が宿っていた。

 数年一緒に居るからそれが上っ面の物だとは分かるけれども、それでも信世にしては異常な生気を宿した言動で内心若干引いてしまう。


 どうしてこうなったのか。その経緯は数時間前にさかのぼる。

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