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君との絆が奇跡になる  作者: 呂束 翠
異世界人と男の娘とぬいぐるみと。

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第55話 厄災の魔女2

 移動先を僕達の家の真上に設定しておいた瞬間移動の魔法陣を取り出して起動させる。

 こっちに来た時と同様に、遮蔽物が全く無い空中から空中への移動なので不発にならずに飛んでいく。

「まったく……魔力隠すの大変なのに」

 移動する際、距離に応じて相当量の魔力を消費するのだけれど、その消費される魔力が大きければ大きい程、魔法を発動した際に魔力の残骸みたいなものが散らばってしまい、魔力に敏感な生き物に感知されやすくなってしまう。

 魔法使いにとって魔法は戦闘での必須スキルだ。下手に魔力が散らばって敵に感知されてしまうのは良くない。魔法を当たる前に対策されてしまう。

 そういった事が起きないように、魔力の放出を抑えたり隠す技術も当然開発されている。

 __のだけれど、魔力消費量が増えればその分放出される魔力を抑えなければいけない訳で。

 それが上手く出来ないと、移動した周辺全部の生き物にプレッシャーを与えてしまう。とお兄ちゃんが言っていた。

 ちなみにお兄ちゃんは身体能力が高いので、わざわざ魔法を使って移動する事は少ない。

 瞬間移動よりも早い移動速度だ。多分、人間じゃない。

 さて、そんな人間卒業しているお兄ちゃんなのだけども、予想通りギオンさんとホワイトさんを引き連れて僕達の家の前に到着していた。

 それと、あの侵入者な四人も一緒に。

 侵入者の目の前には、女性の生首が一つと複数の心臓が地面に転がっていた。

 全てドクドクと脈打っている。

 ……あの状態で生きてるの?

 心臓だけで生きるなんて魔王レベルじゃないと存在しないのにそれが20個以上もある。

 それに、あの生首も異常だ。

 目の焦点が合っていない。苦悶の表情とは違う、普通の人はしない奇怪な表情だ。

 まるであの時のお父さんみたいな表情をしている。

 お父さんよりも酷い表情をしている。

 正気がない、まともな判断が出来ない人間の顔をしている。

 一体何をされたんだ……というか、あの生首と心臓は誰の物なんだ。

 もっと見たい。何故あんな量の心臓が転がってるのか知りたい。

 どうやって生きた心臓が転がっているのか。

 どうしてあの生首はアンデッドみたいな呻き声を上げて泣いているのか。どういう魔法で、どういう技術であの状態で生きているのか。

 知りたい。

 全部理解して自分の物にしたい。

 もっと近くで、もっと、もっと……

「近寄るなシオン!!!」

「え」

 お兄ちゃんの声と同時に僕の顔の前で光が弾ける。

 この光は逃げる時に背中に受けた雷の魔法だ。顔の前で弾けたのは誰かが咄嗟に貼ってくれた魔法障壁のおかげか。

 お兄ちゃんの方を見ると、侵入者達がそれぞれ武器を構えてお兄ちゃんに攻撃しようとしている所だった。

「お兄ちゃんそいつら」

 僕が侵入者達の能力を伝えようとした時には既に遅かった。

 侵入者達が一斉にお兄ちゃんに襲い掛かる。

 それをお兄ちゃんは

 虚空から生成した数多の剣で全身を切り裂き、重力を操る魔法で胴体を捩じ切り、魔力の塊で顔以外の全てを貫いた。

 一瞬の出来事だった。

 無駄に大量の魔力を込めて殺意と技巧が籠った攻撃だった。

 唯一傷が浅かったのはマントの男のみ。全身は残っている。

 全身残っているだけだ。

 彼だけは異様に頑丈みたいだ。

 武器も防具も体も。何もかも一瞬で奪われ、地面に転がるしかなくなった侵入者の内3人を蹴飛ばして、マントの男の前に立つお兄ちゃん。

 お兄ちゃんに近寄るなと言われた手前、あまり前には行けないから、その場に止まって見ておく事しか出来ない。

「ったく……だから抵抗するなと言ったんだ」

「ガーディアンっっ……貴様ぁ!」

 這い蹲ってお兄ちゃんの脚を掴むマントの男。

 小綺麗だったマントも、防具に刻まれていた防護魔法陣も、あの一瞬で全て消えてしまっている。

 あの状態だと彼はもう何も出来ないだろう。

 戦えたとしても今と同じように地面に堕とされるだけだ。

 他人と比べて改にて思い知るお兄ちゃんの強さ。あれだけでも全力が欠片も出ていない。魔力は込められていたけれど、あの過剰な威力の魔法も所詮は演出に過ぎない。

 わざと空中に魔力を発散させて威力を落として発動していた。

 ほとんどの魔力が無駄になっている。

 だけど、そうでもしないと相手は死んでしまう。

 さっきの魔法は殺す為の魔法じゃないから。

 中途半端に生き残らせて、力の差を見せつける為の魔法だから。

 だから彼だけは生き残った。

 生き残らせられた。

 地面に転がった3人の生首をマントの男の目の前に放り投げる。

 その生首達も、あの女性の生首と同じように生きている。

 お兄ちゃんの魔法で無理矢理生かされている。

「俺の時みたいに手遅れになる前に王都に戻れ。『厄災の魔女』の討伐はアンタらの使命だろ」

「仲間を殺しておいて何をっ! このっ……この外道が」

「外道で良いさ。勇者様の『奇跡』ならそこに転がってる聖女様と模倣の『奇跡』使い蘇らせたらあとは全員生き返るだろ」

 『厄災の魔女』か……やっぱり、王都に出現していたあの化け物はお兄ちゃんの仕業だったんだ。

 その『厄災の魔女』の討伐がこの侵入者達の使命と言っているって事は、王都に帰らせる理由付けの為にあんな目立つ場所に化け物をわざと創った訳か。

 彼らがどういう人間かは知らないけれど、表向きはしっかりとした集団なのは分かった。

 魔王よりも魔王。疫病や戦争よりも厄物とされる『厄災の魔女』の討伐集団か……。

 そんな人間達が何の用事で来たのかは知らないけれど、僕達に危害を加えた以上は敵でしかない。

 その外道は今お兄ちゃんが全部片付けてくれた訳だけども。

 お兄ちゃんが瞬間移動の魔法陣を描いた紙をマントの男に渡す。

 アレは使い捨てタイプの魔法陣だ。一度使えば魔法陣を描いているインクが紙ごと燃やして痕跡を無くすように作られている物。

 僕達が使う魔法陣とは違って、魔導書通りのとても模範的な書き方をした魔法陣だ。

「王都近くの森まで飛ぶ瞬間移動の魔法陣だ。まだ動ける内に帰れ」

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