第45話 お寿司とかお肉とかと合わせて食べるアレ
今回は軽いキャラ紹介。シオンちゃんのおかげで存在がチラッと出てきたシオンちゃんのお兄さんです。
名前:シオンの兄
性別:男
身長:185cm
・何でも出来る人。身体能力や魔法の扱いは異世界クオリティで相当高いのもあるが、頭の良さも相当な物。彼が1人で出来ない事は誰も出来ない。
・劣化していてもチートしている『奇跡』よりも分かりやすいチートキャラ。まぁ、まだ姿見せてませんけど。
・重度のシスコン
名前は決めていますが、物語内で出てないのでまだ秘密です。また、詳細な身体能力等も秘密です。
現状出ている設定で言えるのは、信世君の完全上位互換くらいですね。
「シオンちゃんシオンちゃん」
「んー、なに?」
紡祇君に肩を揺さぶられて現実に意識を戻す。
「翔流が一緒にやりたそうな目してるから混ぜても良いかな」
彼がそう言って指を指した方向には、スナック菓子を片手に持って台所から僕達を羨ましそうに見ている変態の姿があった。
あんなに分かりやすく混ざりたそうな顔してる人初めて見た。顔に書いてあるとはまさにこの事か。ブラックライトとか当てたら「一緒にやりたい」って文字が浮かび上がってきそうだ。
彼にはこの一日で何度もセクハラをされた実績があるから、あまり近寄りたくないのだけれど……。ここで拒否してしまったらそれはそれで彼が面倒な事になりそうだ。
「仕方ないなぁ……。隣には座らないでよ」
「だってさ翔流。離れてるなら良いってよ」
「うっほほぉぉぉい」
奇声を上げて近寄ろうとした翔流を、近くにいた信世君が偶然手に持っていたタオルを鞭のように撓らせて頬だけを綺麗に引っ叩く。
タオルから到底出るような音ではなかった。あれはきっと、タオルの見た目をした鞭だ。ほぼ凶器だ。
その凶器に近い威力を込めた一撃をノーガードで受けた翔流君はというと、頬を抑えて床にうずくまってしまった。
随分痛そうだ。あっ、ほっぺ真っ赤になってる。可哀想だけどちょっと面白いな。
「かけなんとかさん大丈夫?」
「大丈夫だ……問題ない」
信世君の隣で料理する様子を見ていたきりるんが、台所から心配そうに声を掛ける。
名前を覚えられていない辺り、きりるんにもあまり好印象は持たれていないようだ。
「信世よぉ……濡れたタオルで叩くなよ……結構痛いんだぞ」
包丁やタオルを置いて近寄ってきた信世君に涙声で抗議する彼。
「もう夜遅いから奇声は出すなよ」
「……承知した」
その抗議の声はあっさりと流され、信世君に軽く注意を受けるだけで終わってしまった。
その間にうずくまってお菓子が潰れそうなのを見た紡祇君が翔流君の手から奪い取って僕の隣に座る。
「はい、シオンちゃん。一緒に食べよ」
「あ、うん。ありがと」
笑顔で戦利品を持ってもぐもぐとお菓子を食べる紡祇君。この風景はこの一日で彼の醜態は日常のなんてことない情景の一つになってしまったみたいだ。
無様である。あまりにも可哀想で無様である。翔流君の自業自得とはいえ、あまりにもオーバーキルではないだろうか。
と、同情はするけれども僕が彼の心配をする理由も無いので、紡祇君が翔流君の手から奪い取ったスナック菓子を2人で一緒に食べながら翔流君の醜態を眺める事にする。
紡祇君が空けてくれたお菓子の袋からポテチを一つ取り出して口の中に放り入れる。
お口の中に広がる植物由来の風味。ただでさえ揚物の一つで味が濃ゆくて凄まじいカロリーのポテトに合わせて、馴染みのない痛みとは違った舌への刺激。単純な辛味とは一味違う辛味で脳が悲鳴を上げている。
パッケージが緑色だから緑黄野菜の風味かと思っていたのだけど……一体何味なのだろうか。というかこれは本当に食べ物なのだろうか。
紡祇君が持っているスナック菓子のパッケージを確認すると、そこには「わさび味」という表記があった。
たしか、彼の記憶の中にも「わさび」とやらを食した記憶はあった。主に生魚を食べる時に使っていたはずだ。
生魚に使う味をポテチに……作った人は正気なのだろうか。ていうかやばい後から舌に辛味がじわじわやってきて涙が。頭がツーンってなって痛い。
「シオンちゃん、大丈夫? 泣いてるよ」
「大丈夫。このくらいで泣く僕じゃないもん。うん……ちょっと水貰っても良いかな」
顔を見られないようにそっぽ向いて涙声お願いする。
決して泣いている訳じゃないんだ。ちょっと水でも飲んで喉を潤したいだけだ。
紡祇君が「仕方ないなぁ」とぼやいて、道中に這いつくばっている翔流君のお腹を踏んで台所にあるコップと冷蔵庫からポットと取り出して戻ってくる。そのついでと言わんばかりに翔流君の横腹を軽く小突く彼。
「お茶だけどごめんね」
わざわざ隣に座ってコップにお茶を注いで貰う。
コップから伝うキンキンに冷えた麦茶の感触だけで、これを一気飲みすると頭が痛くなるのが目に見えて分かる。
「ありがと。助かるよ」
ちまちまと飲みながら2人で床のシミみたいになっている翔流君を見下す。
にしても、翔流君はずっと床のゴミになっていて辛くないのだろうか。
彼の『奇跡』があれば、あの程度の怪我なら自動で発動している分だけですぐに痛みも青アザも無くなるはずなのだけど……。
現に、彼の引っ叩かれたであろう右頬は綺麗な素肌の色になっている。手で抑えているから少し見えづらいけれど、隙間から見えるその肌は健康的な人間のそれと同じだ。
もしかしたら、僕が元の世界で見た時よりも『奇跡』の能力が大幅に落ちているのかも知れない。
そもそも彼の持っている『奇跡』は他者に身体能力や再生能力向上の能力を付与して集団で戦うのに向いている能力だ。
そういう能力のおかげか、他の『奇跡』と比べて派手さに欠ける。
1人だけで戦うのなら、単純に自身の身体能力を上げる『奇跡』の方が圧倒的に強い。まぁ、そちらの能力は翔流君の持っている『奇跡』と違って再生能力があまり高くないから、持久戦には弱いという欠点があるけども。
その他の身体能力向上系には少ない再生能力が、通常時でも自動的に適応されているので、今の翔流君があーいう風にくたばっているのは不自然なのだ。
こうやって見下しているのもセクハラの意趣返しみたいな所はあるけれど、大切な『奇跡』に何かおかしな事が起きていたらマズイので一応確認しておかないと。
試しに本人に聞いてみようか。
「ねぇ翔流君。もう痛み引いてるんでしょ」
ピクッ。
彼に質問した瞬間不自然に体を震わせた。
あ、冷や汗出てる。この野郎何か企んでるな。
「さっきから気になってたんだけどさ。顔抑えてるけど、指の隙間からチラチラ見てるよね。どうして?」
彼の腕に鳥肌が立ち始める。
分かりやすいなぁこの子。
何でずっと指の隙間から覗いてるのかは分からないけれど、確実に何か企んでいるので彼を蹴る為に立ち上がる。
彼の目の前まで歩く。
さてどこを蹴ろうか。横腹は見飽きたしな。顔面にでもかましてやろうか。
そう決断して少し距離を取って助走を付ける。
そして、いざ蹴ろうとした所で__
「ちょっ! ちょっと待ってくれ。一旦話をさせてくれ」
彼が勢いよく起きあがって制止の声を上げる。
とはいえ勢いはそうそう消せない物で、僕の勢いを付けた右足は彼の顔の数ミリ前で止まってしまう。
あとちょっとだったのになぁ……。
「……チッ。わかったよ」
言い訳をする気力があるみたいなので、渋々蹴るのをやめて近くの椅子に座る。
その間に、翔流君は這いつくばった姿勢から正座に変える。
「それで、言い訳って何? 変態さん」
わさびって、他の食材じゃそうそう無い味わいですよね。
私はお肉にわさびを付けて食べるのも大好きですよ。あと、納豆とかにも合いますよね。
あー、たこわさ食いてぇ




