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君との絆が奇跡になる  作者: 呂束 翠
少し変わった日常へ

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第28話 計画失敗異世界人

はい、説明回です。放置してた色々な部分をここらでシオンちゃんに喋ってもらいます。

喋らずに信用させれなかったら信世君が殺します。本人としては冷や汗タラタラですね。可哀想に。

 手に持っていた買い物袋を地面に置いてシオンから距離を取る。

 周囲を観察しろ。何か企んでるならぬいぐるみと同じ様に何処かに異変があるはずだ。

 決してシオンから目を逸らさずに距離を取って安全を確保しなければ。

「うんうん、良い判断だね。動きが良過ぎて本当にこの国の人なのか疑っちゃうくらいだよ」

 壁に寄りかかって缶コーヒーを眺めながら話すシオン。

 こちらを見ずに缶コーヒーを苦そうに飲んでいるのは有利な状況だからなのか、緊張しているからなのか。どちらにせよ目を離してはいけない。

 どんな物でも操れると言っても、認識していない物に『奇跡』を使う事は出来ないはず。そして、物を認識するには目で見ないと正確に場所を認識するのは困難だ。身体の動きよりも目の動きを見た方が良いだろう。

「なんで俺が気付くまで黙ってた。奇襲も出来ただろ」

「まぁ、確かにそうだね。普通ならそれで終わらせてた。いや、普通の人が相手なら最初のぬいぐるみの突進攻撃の時点で避けれなくて終わっていたはずなんだけどね」

「どういうことだ。まるで俺が普通じゃないみたいじゃないか」

「その通り。君は普通じゃないよ。でも、それと同じくらい紡祇君も普通じゃない。それが僕の敗因になった」

 彼女の言っている意味が分からない。

 確かに俺や紡祇は普通とは少し違う所がある。

 紡祇は男なのに可愛い物が好きで、服もほとんどがレディースだ。男だけど女性らしい部分がある。だが、ただそれだけだ。普通と少し違うだけ。

 俺は頭が良いとはよく言われる。頭が良いと言っても所詮はテストで点数が高いだけのただの普通の人。身体能力は翔流よりも劣るし、特別凄い訳でもない。ただそれだけだ。

 二人共、ただそれだけの普通の人だ。

 シオンの敗因と言えば、翔流が予想外に使い物にならなかったのだと思っていたが、こんな少し違うだけの凡人が敗因になったとは思えない。

「納得出来ないって顔してるね」

「そんなに分かりやすい顔してたか?」

「してたしてた。まぁ、君のそういう所はまだ自覚しなくても良いよ」

 ガラス越しに店内の様子を見るシオン。それにつられて俺もそちらに一瞬目を向ける。

 この位置からだと丁度レジが見える。

 大量なお菓子とジュースを抱えた翔流が内林さんと談笑している。この調子だと後数分で戻って来そうだ。

「そろそろ翔流君が戻って来そうだね。手短に話すよ」

 それと、これあげる。ありがとね。と言って歩いて缶コーヒーを手渡ししてくる。

 一応受け取りはするが中身には口を付けずに持っておく。

 苦かったんだな……。

「いくつか気になる事があると思うけど、信世君が一番知りたそうな事から答えていこうかな」

 レジの様子を気にしながら一人で勝手に話し始めるシオン。

 下手に会話を挟むと翔流が戻って来る前に終わらなさそうなので黙っていよう。 

「どうしてこんなにも色々出来る『奇跡』を持ってるのに直接戦わなかったのか。どうしてもっと殺傷能力が高い能力を付与しなかったのか。どうして翔流君を殺して『奇跡』を奪わなかったのか。一度は考えたことがあるでしょ?」

 長い髪を指にクルクルと巻き付けて解いて。それを繰り返しながら話す。

「簡単な理由だよ。出来なかっただけ。したくても出来なかっただけ」

 したくても出来なかったか。俺が知らないだけで、シオンにも色々と事情があったのだろうか。

「ビックリしたよ。『奇跡』を使って信世君を殺そうとしたら体が動かなくなるんだよ。きりるんに命令してもビクともしなかった。せいぜい、君と翔流君を同じ部屋に閉じ込める為に扉を塞がせるだけしかさせられなかった。もちろん、君を殺せないなら翔流君から能力奪って戦おうとかも考えたよ。でも、信世君の時と同じように体が動かなかった。まぁ、誘惑程度なら出来たし、信世君と違って翔流君は殺せなくてもぬいぐるみ達の能力は使えたから洗脳させてもらったんだけどね」

 彼女の言い分が本当なのだとするなら、最初から殺意しかなかったのか。理由は分からないが何故か殺す事に関して動こうとすると体が動かなくなってしまったと。

 こうして試行錯誤して抜け道を探そうとしていたという事は、彼女からしたら本当に予想外だったみたいだ。予想外に予想外が重なって上手く動けなかったから、あんなにも攻略が簡単だった訳か。

「洗脳状態で動きが鈍いと言っても、あの『奇跡』だから勝てると思ったんだけどね。試しに使わせてみたら想像以上に弱くって弱くって。あまりの弱さに笑っちゃった」

 本当に翔流が想像以上に弱かったのが的中していたのはアイツの友人としては微妙な心境になってしまう。可哀想というか、哀れというか……。今度、飯でも奢って慰めてやるか。

 とりあえず、何故シオンが自分から攻撃して来なかったかは分かった。本当かどうかは分からないがな。

「なるほどな……。だから直接手を出さなかったのか」

 だが、それは今戦わない理由にはならない。

 その攻撃しようにも動けなくなるのを解決する為に体をスライムに乗り変えた可能性が残っている。

「紡祇の家で上手く動けなかったのは分かったが、それは今攻撃して来ない理由にはならないだろ。今はあの時と違って完全に別の体だ」

 前までは紡祇と同じ体を共有していた。動けなかったのも、紡祇と意識が混合していたから動けなかった可能性がある。

 だから、時間稼ぎをしてまで別の体に移動したのではないだろうか。

 紡祇の意識から妨害されるのを防ぐ為に。

「その疑問もしっかり理由があるんだよ。と言っても、そろそろ翔流君が外に出てきそうだから結論だけ言うね」

 彼女がそう言いながら、店内から窓ガラス越しに手を振る翔流に笑顔で手を振り返す。片手には溢れんばかりの量のお菓子やジュースを詰め込んだ買い物袋を3つもぶら下げている。

 外に出てくるのかと思ったが、アイツは付近にあるガチャガチャに目を付け始めた。普段だったら、すぐに店内に戻って首根っこ掴んで外に連れ出す所だが今回は放置する。なるべく長く居座っててくれよ。

「まず、一番大事な所だけど、今の僕の体は紡祇君の意思が最優先になってる。あの子が無意識に僕にさせたくない事はどう頑張っても出来ないし、あの子が命令すれば僕はそれに従わなくちゃいけない。だから、この『奇跡』で作った体じゃ君を殺すどころか傷付けるのも難しい。翔流君なら蹴ったりビンタしたり出来るけどね。特に、紡祇君がして欲しいって強く願った事は、無意識に僕ら操り人形達もしたくなっちゃうんだよ」

 スライムの体でセクハラされた時の鮮やかな国語辞典チョップはそういう理由だったのか。あの後一緒に翔流を蹴れたのも紡祇が許可していたから。むしろ推奨していたからだろうか。

 翔流がガチャガチャコーナーで遊んでもう少し時間を潰しそうなのを見て安心したのか、少し補足を付け加えながら話すシオン。

「この体はね、僕の意識があるだけで基本的には操られてたぬいぐるみ達と同じなんだよ。あの子達の中だと、きりるんに一番近いかな」

 操られたぬいぐるみの中で一つだけ違う扱いだったきりるん。アイツは他のぬいぐるみと違って本来の姿とは違う人の姿をしていた。そういった「元の姿とは違う姿」になれる点では確かにきりるんが一番近いな。

 どうしてきりるんとシオンだけが人型になれているのかも気になるが……また今度にしよう。今は時間が無い。

「まぁ、そういう訳で、今の僕は君達に敵対的な行動をしようにも出来ないし、紡祇君が生きてる限りは永遠に僕はあの子の味方だよ」

信世君は自己分析がクソ程下手な人です。この子が言ってる事が全て本当だと思わないでください。

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