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君との絆が奇跡になる  作者: 呂束 翠
少し変わった日常へ

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24/54

第24話 質問タイム2

キャラ紹介。信世くんと紡祇くんの出会いについて。


 メインキャラのこの二人。距離感からして幼馴染っぽいですが、別にそういう訳ではありません。

 信世くんは中学生の頃に転入した際に紡祇くんと同じクラスになりました。その時が初めての出会いになります。

 その時に二人の間で色々とあった結果、今のような関係になっています。

 ここ辺りはキャラクターに語らせたいので、もうしばらく先で話してもらいましょうか。

 

それでは、本編へどうぞ。

「なぁ、翔流。多分その魔人は知らないと思うぞ」

「そんな訳ないだろー。結構有名なやつなんだぞ」

 確かにあの魔人はネットを見ていればたまに見かけるし、パソコン使う授業があれば先生に隠れてwebで検索してやっている人も居た。実際、俺も紡祇と一緒に授業中にこっそりやって遊んだことがある。

 ネット上のみではなく、現実でもそこそこ浸透しているんだ。この世界では有名な部類だ。

「そうだな。この世界では有名な方だな」

 だが、シオンは異世界人だ。知る訳がない。知っている方がおかしい。

 その事にコイツが気付いてくれれば良いんだけれど……。まぁ、気付かないよな。

「この世界ではって変な言い方するなぁ。あれは老若男女問わずみんな知ってるもんだろ」

 それは流石に言い過ぎだ。

 呆れて溜息を付く俺を見て不服そうな顔をする翔流。

 本人を省いて話すのは埒が明かないと判断したのか、「なぁ、シオンもそう思うだろ?」と暇そうに道路を走る車眺めていた彼女に話を振った。

「え、あ、僕のこと?」

 急に話を振られて驚いたようだ。彼女からすれば、この世界は初めて見る物ばかりでそっちに意識が集中していたのだろう。話が少し逸れたらそっちに夢中になるのは仕方ない事だ。

「あれですよ。あの質問して人物を当てる魔人の話ですよ」

 翔流が適当にまとめてシオンに教える。教えられた所で知らない物だから反応に困るだろうに……。

 翔流の話を聞いて少し考える素振りをして彼女は答える。

「あ、あの魔人の話でしょ?紡祇くんが信世くんと一緒に授業中に調べてたよね」

「え、なんで」

 なんでそれを知ってるんだ。

「ほら、やっぱり知ってんじゃん」

 調子乗って肩を組んでくる翔流。いつもなら少し文句言いながら振りほどくのだが、シオンの発言に驚いてしまってそれをするタイミングを逃してしまう。おかげで翔流が鬱陶しいくらいに絡んでくる。

「なぁ信世、言った通りだったろ~?なぁなぁ。やっぱ老若男女みんな知ってんだって。あれ、話聞いてる?おーい。おーい!信世ー。しーんーやー」

 肩を組んだ上に頬を突っついて気を引こうとしてくる。

「すまん。ちょっと鬱陶しい」

 ちょっとと言うか、かなり鬱陶しい。

「あ、すまん」

 流石に自覚はしたのかすぐに離れてくれる。

 確かにあの魔人を知っていたのは意外だったが、そこまで驚くことじゃない。ただ、俺と紡祇が一緒に調べていたのを知っていたのはおかしい。あれは過去の出来事だぞ。

 もしかして、体を共有している時に紡祇の記憶を覗いたのか?

「随分と変な顔してんな。なんか良いもんでも見つけたのか?」

「いや、そうじゃないんだが」

 足を止めて変に考え込む俺を見て翔流が心配をしてくれる。心配……なのだろうか。多分何も考えてないんじゃないだろうか。

 とりあえずコイツは放っておいて、今はシオンの言葉だ。何故、昔の記憶がある。

 そういえば、最初話した時に『この世界って魔法とかないのに創作物で魔法とかが沢山あるから』みたいな事言っていたな。これはある程度この世界について知っていないと出ないセリフだ。

 どのタイミングで彼女の意識があったのか次第で、紡祇の記憶を覗いているかどうか断定出来るのだが……。情報が足らなさ過ぎてこれだけじゃあ断定は出来ない。

 現状ではあまり重要な情報ではないが、一応聞いておいた方が良いだろう。

「なぁシオン。お前、紡祇の記憶とか見れたりするのか?」

 暇そうに道端に転がる石を選んでいたシオンに話しかける。

 良い感じの石は見付からなかったのか、持っていた石ころを投げ捨てて俺達の元に戻ってくる。

「そんなこと考えてたんだ。ほんと信世君って色んな事気にするよね」

「ああ、よく言われるよ」

 考えすぎともよく言われる。

「それよりも紡祇の記憶についてだ」

「大体予想付いてるんじゃないの?」

 わざわざ言わなくても良いじゃんと言いたそうな顔だ。

 そこまで重要ではないが気になった事はなるべく早く知っておきたいんだ。大目に見てくれ。

「確認作業みたいなもんだ。教えてくれ」

 仕方ないなぁ。とぼやいて答えてくれる。

「信世君の言う通り、僕は紡祇君の記憶を見れるんだよ。まぁ、今はこの体に居るから見れないけどね」

「そうだったのか」

 大体予想通りだったが一緒に知らない情報まで付いてきた。常に記憶を見れる訳じゃないんだな。まぁ、同じ体を共有していたからこそ出来た事と考えれば当然か。

 一時的にとはいえ記憶も言動も全て見られてプライバシー皆無状態だったのは気持ちの良いことではないだろう。紡祇には秘密にしとかないとな。

「そういや、買い出しだって言ってたけどよ。今どこに向かってんだ?」

 ここまで歩いてきて今更聞くのかコイツは。

「近くに24時間空いてるスーパーがあるだろ?そこに向かってる」

「あーそういや近くにあったような、なかったような……。あ、いやあったな。うん。あったあった」

 反応からして単に覚えてなかっただけだったみたいだ。

 今回向かっているのは翔流に説明した通り24時間空いている近場のスーパーだ。紡祇の家から一番近いスーパーなので、つい遅い時間まで遊んでしまった時や少しお菓子が欲しい時に寄ることが多い。

 また、紡祇の家の近くということは裕太の家の近くでもある。裕太と翔流と俺の三人で遊んだ時に、何度かは一緒に行ったことがあるので察しているかと思っていたが別にそういうことは無いみたいだ。鈍感過ぎるだろ。

 しかし、コイツにしては珍しく良いタイミングで話してくれたものだ。

 実はスーパーまでは残り数分も立たないで到着する距離なのである。なんなら看板がもう見えてるくらいには近い。

 もう少しで着くのでシオンへの質問タイムは中止させてもらおう。

「すまないが、ここらで質問タイムは中断して良いか?」

「良いよ。次は買い物が終わった後だよね?」

「ああ。また後で頼む」

 察しが良くて助かる。

 本当は、裕太の家の件やシオンの『奇跡』の詳細や魔法の存在などまだまだ聞きたい事があるのだが、こういう話は事情を知らない他人からしたらかなりイタイ発言を真面目に話してるようにしか見えないから、店の中でするのは控えておきたい。

 特に、このスーパーでは頻繁に通っているおかげで、ほとんどの店員とは顔見知り状態になっている。時間があれば世間話だってする事もある程度には仲は良い方だ。

 そんな所でイタイ言動をしたら、今度紡祇と一緒に来た時に変な目で見られて一緒に居る紡祇が恥ずかしい思いをしてしまうかも知れない。なるべくそういうのは避けたい。

 シオンは異世界人だから、厨二病が恥ずかしいものだとかの感性が無いんじゃないかと思って説明する時間が必要かと考えていたが大丈夫そうだ。恐らく紡祇の記憶を見て学んでくれたのだろう。紡祇のプライバシーがなくなってしまったが、その結果手間が省けて少しありがたい所はある。

「おおー。これがスーパーか。やっぱり実際に見ると印象違うねぇ」

 そんなことを考えている内に例のスーパーに到着した。

 シオンは初めて実物を見るスーパーに感嘆の声を漏らしている。シオンが元居た世界がどの程度の文化レベルなのかは知らないが、彼女の反応を見る限りは少なくとも車やスーパーが珍しく見えるくらいには差があるのだろう。

 その差がプラスなのかマイナスなのかも後々聞いて判別していこう。

 二人を連れてスーパーに入る。

 さぁ、今晩の献立を考えるとしようじゃないか。

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