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君との絆が奇跡になる  作者: 呂束 翠
少し変わった日常へ

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23/54

第23話 質問タイム

キャラ紹介。どうせ後から出てくる豆知識。二人の一人称について


 気付いている人も居ると思いますが、紡祇くんとシオンちゃんの一人称はどちらも「ぼく」ですが、実は表記では明確に区別しています。

 紡祇くんは、可愛らしさや幼さを強く与えやすいようにカタカナで「ボク」

 シオンちゃんは、比較的大人びた雰囲気を与えやすいように「僕」

 紡祇くんは、信世くんが好きだと言っていたソシャゲの人権キャラを意識して真似た結果こうなっています。なので、元の一人称は別でした。

 シオンちゃんに関してはまだ出せない設定があるので細かくは言いませんが、一人称についての設定はいくつか用意しています。早く出したいです。

12

 スライム娘に洗面所で着替えてもらって外に出る。俺が合鍵を持っているから家の戸締りは大丈夫だ。

 着替えてもらっている間に、俺は戦闘でボロボロになったままのリビングを『奇跡』で修復しておいたので、紡祇がもしリビングに戻ってきても、部屋は綺麗なままのはずだ。

「なぁ、信世。買い出しって何買いに行くんだ?」

「飯の具材だよ。流石に四人分は無いからな」

 ほへー。とアホそうな声を出して着いてくる。

「え、俺、今日紡祇の家で泊まるの確定してんの?」

 呆けた顔して聞いてくる。時間も時間だからそういう流れかと思っていた。

「違うのか?もうこんな時間だし、泊まるもんかと思ってたんだが」

「いや良いけどさ。親に連絡しとくか」

 スマホを取り出して親に電話する翔流。

「なぁスライム娘」

 話に混ざると面倒になりそうな翔流が良いタイミングで会話から離脱した所でスライム娘に話しかける。

 スライム娘とは言っているが、今の見た目は完全に普通の人間らしい見た目だ。着替え終わって洗面所から出てきた時には血色の良い人間らしい肌に変わっていたから、着替えている時に何かしたのだろう。全身真っ青な少女を連れて出掛けるのは流石に怪しすぎるからどうしようかと悩んでいたが杞憂だったようだ。

「そんな呼び方しなくても僕が誰なのか分かってるんでしょ?」

 スライム娘__ではなくシオンが翔流を挟んで俺にそう言う。

 特に意外でもない。見た目が変わってしまっている今の紡祇と瓜二つな見た目をしたスライムが意思を持って動きだしたんだ。このスライム娘がシオンじゃないと考える方が難しい。

「話が早くて助かる」

「どういたしまして」

 そう言ってふふっと微笑みかけるシオン。

 本人は普段通りのつもりなのだろう。子供が背伸びして大人ぶろうとしている様にしか見えない。

 まぁ、この身長にしているのは彼女の本意ではないんだろう。翔流が突っ込んで蒸発させられたせいで随分とスライムの体積が減らされていた。最初と同じ体積だったら、今の紡祇よりも少し身長が高いくらいになっていそうだ。

 そんな小学生と見間違えてしまいそうな程小さい彼女と話しやすくする為に、翔流を反対側に移動させて近寄る。

「それで、何から聞きたいのかな?」

 余裕ぶった表情をしているが声が少しこわばっている。目線も初めとは違ってしっかり俺を見ている。俺以外の何かをよそ見している暇は無いということか。

 一応警戒はしておくが、もう他に手札はないと考えても良いだろう。

 色々と聞きたい事があるんだ。答え合わせをしていこうじゃないか。

「まず一つ目だが、紡祇の姿を変えたのはお前か?」

 今回の事件で気になる事は山ほどあるが一番気になるのはこれだ。

 そもそも今日はモールで紡祇と買い物する予定だった。それが、見た目が完全に別人になった紡祇が来た所から今回の事件は始まった。

「やっぱり、信世君は紡祇君の事から聞くんだね」

「後が詰まってんだ。簡潔に話してくれ」

 これ以外にも五個程聞きたい事が残っている。ここで雑談なんてしたら、買い物して帰るまでに時間が足らなくなってしまう。

「分かったよ。まったく、せっかちなんだから」

 道端にある石ころを蹴り飛ばして文句言うシオン。体が縮んで精神年齢も見た目相応になったのだろうか。

「信世君の予想通り、紡祇君の姿がああなっているのは僕が原因だよ」

「やっぱりか」

 これに関してはほとんど分かり切っている答えだ。いわば確認しただけ。本当に知りたいのは__

「だから、紡祇君の姿を元に戻す方法も知ってるよ」

 聞く手間が省けた。翔流と違ってしっかりと簡潔に伝えてくれる。

 俺達とはぐれないようにペースを合わせつつ、転がる石ころを追ってまた蹴り飛ばす。

「戻す方法を知っているなら紡祇を元に戻してくれないか?」

 一応、元に戻してくれと頼んではいるが、彼女からすれば死ぬも生きるも俺次第になっている。断ることは出来ないはずだ。

 まぁ、断る理由も特にないから引き受けてくれるだろう。

「良いけど、して欲しい事があるんだ」

「殺さないでくれって言うなら問題ない。お前が俺達を狙うのを諦めたんだ。俺もお前を狙う理由は無い」

「ありがとう。感謝するよ」

 本音を言うと不安要素はなるべく消しておきたいから彼女は片付けたいのだが、異世界人で『奇跡』について知っていそうな彼女を片付けると、後々別件で異世界人関連で何か起きたら対処が難しいので始末しにくい。

 特に、大きな血だまりを残して家が消滅した裕太宅跡地についても『奇跡』か異世界人が関与していそうだから、彼女はなるべく手元に残しておきたい。

「紡祇君の戻し方は本人と一緒にしないと難しいから、帰った後にまた説明するよ」

「ああ、ありがとう」

 これで、紡祇の姿の件はどうにかなるだろう。

 今の紡祇の姿は、見た目こそ可愛いらしいが紡祇らしくはない。あの姿は昔から紡祇が言っている好みの姿とは全く違うものだ。今回は少し特殊だが、昔みたいな紡祇が自分の好きなように生きれない状況にはさせたくない。

 一時期はどうなるかと思ったが、解決出来そうで安心した。

「なぁ、二人とも何の話してんだ?」

 親への連絡が終わった翔流が話に合流してくる。

 急いでる様子もないので泊まりは決定したみたいだ。おかげで荷物持ちに困らなくなった。

「そういやこの馬鹿の事も聞きたかったんだ」

「あの、俺の話……」

 話に割り込んでくれたおかげで思い出した。他の質問と合わせて聞けることだったから後回しにしていたが、丁度顔を出してくれたから一緒に聞こう。

「洗脳についてかな?」

「そうだ。『奇跡』なのか、魔法的な何かなのか。どっちでやったんだ?」

「うーん……すぐ教えるのも良いけどなぁ」

 もったいぶった言い方するシオン。

 翔流は話に混ぜてもらえないと悟って、シオンと同じように石ころを蹴り始めた……のだがすぐに溝に落としてしまう。コントロール下手過ぎないか。

 それを見たシオンが自分の石を翔流の目の前に蹴飛ばしてパスする。

「よし。じゃあ、信世君の予想を聞いてから話そうかな」

 石ころから俺へと意識も視線も戻す。

「まぁ……それくらいなら話してやるよ」

 あまり雑談はしたくないのだが、この質問は答え合わせの側面が大きい。この程度なら話してやっても良いだろう。

 まず、今回の質問は答えが二択ある。

 『奇跡』での洗脳なのか、その他魔法的な何かなのかだ。

 正直、前者であって欲しいとは考えている。『奇跡』での洗脳であれば、俺や綺羅星の精神干渉系の能力と同じ対策をすれば良い。俺と翔流なら『奇跡』に対する耐性を持っているから、今後洗脳される事は無いし『奇跡』持ちの紡祇も大丈夫だ。

 俺が綺羅星にしたみたいに複数の要素をゴリ押しでされない限りはあまり警戒しなくても良い。

 だが、残念なことに恐らく洗脳方法は『奇跡』ではないだろう。

 翔流と戦ったあの時、翔流は俺の『奇跡』に適応するスピードがあまりにも早かった。もし洗脳が『奇跡』経由であった場合早い段階で解除されているだろう。他に俺が知らない人物が潜んでいない限りは間違いなく『奇跡』での洗脳はされていない。

「俺の考えは『奇跡』以外での方法を使った、だな」

「え、『奇跡』で洗脳したんじゃないのか?」

 お前はちょっと黙っててくれないかな。

 シオンがふふっと少し嬉しそうに微笑む。彼女の予想通りだったみたいだ。

 彼女のような言動をする人は自分の想像通りの事が起きたら楽しくなるタイプが多い気がする。まぁ、ゲームや漫画とかの創作物でしか見ないから、俺の考えが合っているかどうかはもう少し話してみないと分からないがな。

「あの状況から考えるならやっぱりそう言うよね」

「その言い方からして、もしかしてハズレだったのか」

 結構自信があったんだけどな。少し残念な気分になる。

「そう落ち込まないでよ」

 気休め程度に彼女が慰めてくれる。

「完全にハズレって訳じゃないよ。半分正解なだけ」

「あれか。『たぶんそう部分的にそう』ってやつだな!」

 ほんとコイツ黙ってくれないかな。

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