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【君との絆が奇跡になる】全てを言った通りに出来る能力を手に入れたので、襲撃してくる異世界人を返り討ちにして無双したい件  作者: 呂束 翠
『奇跡』使い達

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第21話 初陣3 キャラクター紹介2

キャラ紹介。二人目。洗脳で裏切り者になった翔流くん

名前:天馬てんま 翔流かける

性別:男

年齢:15歳

誕生日:10月10日

天馬のてんから10月。日付は特に思いつかなかったので天馬のてんから10日。

身長:175㎝

体重:78㎏

能力:肉体強化

詳細:身体能力の強化。

再生能力を上げたり、あらゆる耐性を上げたり、行動速度を早くしたり、力を強くしたりと色々出来る。


 本日の信世くんの対戦相手です。

 本来は別グループの子の予定でしたが、物語を進めやすくしてもらう為に、信世くんグループにも多少は面識があるパイプ役になってもらいました。最初想定していたよりもかなり色々巻き込まれちゃっている可哀想な子です。

 ちなみに、素の状態の身体能力が高いのは『奇跡』の影響とかではなくただのフィジカルです。身体能力は並みの大人よりも圧倒的に高い子ですね。

「焦んな。『奇跡』を使わなくても教えてやるよ」


 しっかり話そうとするその姿勢は大変感心だ。だが、今そんな反応されるのは良くない。

 俺の『奇跡』で命令された人間は命令された事を行っている時は表情が無くなり目が死んだ状態になる。そして、命令された事が終わるとしばらくの間は次の命令が来るのを待つ状態になる。

 単純な命令だけならそれで充分なのだが、綺羅星や連れてきた男達にはある程度自立した行動してもらいたいので綺羅星の『奇跡』で俺の為に察して動く様にした。だからアイツらの目は死んでいないし、自分の意思で多少は行動する。


 目が死んでいる状態は俺の『奇跡』が通じている証でもある。

 こいつの目を見てみろ。曇り一つ無い少年漫画の暑苦しい熱血キャラみたいな目をしている。

 コイツに俺の『奇跡』が一切通じていないという事だ。完全に耐性付けやがったな。


「そんな怖い顔するなよ。美形の怒った顔は怖いんだぜ?」

「話を逸らしてないで教えろ」

「へいへいせっかちだなぁ。教えてやるから座りな」


 舌打ちして座るその前に、台所の冷蔵庫から麦茶の入ったポットと一人分のコップを持って、胡坐をかいて床に座る。


「え、俺のは?」

「終わったら飲ませてやる」


 キンキンに冷えた麦茶を一杯飲み干して床に置く。一方翔流は汗だくのまま、これまた汗だくの男達に四人がかりで四肢を掴まれている。見ているだけで大変暑苦しい。

 この馬鹿にしては珍しい不機嫌そうな表情と奴の話を肴に茶でも飲もうか。


「ただし、俺は雑談をするつもりは無い。『お前の能力とあの女にされた事全て簡潔に話せ』」

「信用ねぇなぁ……」

「雑談してる暇は無い。さっさと話せ」

「おーおー怖いねぇ。お前の顔に免じて話してやろうかね」


 空になったコップに麦茶を入れ直して、座りはするがすぐに動ける様に右膝を立てる。

 下手に話し掛けるとすぐに話が逸れて別の雑談に繋がりかねない。大人しく馬鹿の一人語りに読み聞かせを聞かされる学生の気分になってやろう。


「俺の『奇跡』は『肉体強化』。本来もっと強力な能力みたいだけど、シオンさんが笑っちまうくらいには俺に宿ってる能力は弱いらしい」


 無言のまま翔流の話を聞く。

 肉体強化。「〇〇を操る」で統一した名前にするのであれば「自身の体を操る」か。俺が体の動きを止めさせた時に加速し続けていたのは『奇跡』に対する耐性だろうけれど、一番の要因は『奇跡』を使用して停止させる力を超える力で動いていたからだろうか。

 スピードとパワーの強化を持つチート能力……俺が使えば大した事にはならなかっただろうが、元の身体能力が並外れている翔流には最適解とも言えるような能力だ。先に動いておいて良かった。


「あ、それとシオンさんってのは」

「紡祇を乗っ取った女の事だろ。さっさと次の話をしろ」

「へいへい。んで、次は何だっけか」

「シオンにされた事を全てだ」

「あーそうか。全てか……」


 翔流にしてはかなり言い淀んでいる。何をされたかは大体予想出来る。

 あり得ない位に泳いでいる目、エアコンが効いていたはずの紡祇の部屋から出た後なのに外に出ていたかのような量の発汗、ぐしゃぐしゃになったままの髪の毛に、体から染み出る女性の汗の臭い。

 一体何をしていたのか。翔流風に言うなら一体ナニをしていたのか。

 馬鹿で変態のコイツがこういう状態なのはほとんど答えが出ているものだ。


「……お前、二人っきりで何を」

「あーあーー! 俺も信世みたいな魔法っぽい能力欲しかったなぁ! 言葉通りに色々出来る能力とかスケベし放題じゃねぇかよぉ! なぁ?」


 叫んで誤魔化す馬鹿の顔面目掛けてコップ一杯の麦茶をぶちまける。


「頭冷やせ猿が」

「ひでぇよ」

「それで、お前はそのシオンさんやらと大変楽しい事して惚れ込んで、惚れた弱みに俺を殺しに来たって感じか?」

「ま、そういう事だな」


 一応友達やっている身の上だから手加減していたが、惚れた女の為に殺そうとしてくる奴には手加減なんて必要無いんじゃなかろうか。

 ……今からでも下半身だけでも捻じ切ってやろうかな。


「そんな怖い顔するなよ……別に俺はお前を殺そうだなんて思ってないしシオンさんからもそんな事頼まれてない」


 俺の不穏な気配を感じ取ったのか翔流が焦ってぺちゃくちゃ話し出す。


「俺が頼まれたのは足止めだけだよ。お前が来てからざっと30分くらい、時間を稼いで欲しいんだとさ」

「30分か」


 壁掛け時計を見てみるとここに来た時と比べて15分経過していた。

 残り15分。何を企んでいるか分からないが時間がない。


「説明ご苦労。『動くな』」


 今度は翔流本人にでも翔流の服にでもなくて翔流を捕まえている男達に『奇跡』を使う。どこまでの強度になるかは分からないが相当な硬さにはなるだろう。俺が紡祇の部屋に行くくらいの時間は稼げるはずだ。

 翔流の横を通り過ぎ紡祇の部屋に向かう。


「おいおい。まだ肝心な事伝えてねぇぞ」


 負け犬の遠吠えというやつだ。自分から時間稼ぎしている事をバラす馬鹿に構っている暇は無い。

 それともバラしても問題無いくらいには時間が過ぎているという事だろうか。念のため壁掛け時計の時間がずらされていた可能性を考えてスマホを見る。

 時間は壁掛け時計と同じ時間を指している。

 なんだ。何もされてないのか。

 安心してリビングを出ようとドアノブに手を掛けるが__


「何だこれ」


 扉が動かない。

 隙間から外を見てみると、廊下は銀色のもふもふで一杯だった。


「俺を踏んづけてた狼覚えてるか? アイツだよ」


 背後から服が破けるような音とゴトリと大きな物が落ちたような音がする。

 急いで後ろを向くと翔流を拘束していたはずの男達は手足を掴んだ時のポーズのまま床に転がっていた。ついでに裂けた短パンとシャツが宙に浮いている。服や男達の拘束を解いてパンツ一枚になった翔流はキンキンに冷えた麦茶を一気飲みして頭を痛めていた。

 拘束だけで済ますんじゃなかった。動けないように致命傷を負わせるべきだった。


「なぁ。ふざけんのも大概にしろよ」


 惚れた女の為にやっていると言えば聞こえは良いがやっていることは友人を殺そうとしている女の為に動いている犯罪の助長でしかない。

 悠長な態度で飲み物を飲んでいる奴の面を見て腸が煮えくり返る。


「お前がやってる事は人殺しの手助けだ」

「そうみたいだな」

「友達を殺そうとした女の手助けだ」

「その通り。ごもっともな意見だ」


 そうやって事の重大さを何も理解しない、理解しようとしない、自分の事しか考えない、馬鹿共と同じその表情が、不快で仕方がない。

 不愉快で理解不能で無様で無能で不気味でそんな見え透いた考えが、見えても何も無い空いた頭が。嫌いだ。


「お前の行動で俺が殺されるかもしれない。そうは思わなかったのか」

「あぁ……思ったさ」

「紡祇が乗っ取られて好き勝手されている事に何も思わなかったのか」

「……ああ」


 何よりも不快なのは、俺があの女に殺されるかも知れない事じゃない。

 紡祇の体がずっと他人にされるがままなのが許せない。

 紡祇の意識が知らない女に奪われて友人に色仕掛けかなんだか知らないが勝手な事されて、今も何かさせられているのが許せない。

 それを邪魔するコイツが許せない。

 こんな馬鹿を俺は許さない。

 こんな馬鹿は友人じゃない。

 友人じゃないなら生かしておく理由はない。


「馬鹿は死ななきゃ分かねぇって言うよな」

「そうだな。死ななきゃ分かんねぇな」

「なら言いたい事は……馬鹿には分からねぇか」


 邪魔で残念な馬鹿にはここで退場してもらおう。


「テメェはここで死ねッ!!」

「いいぜぇ15分間経ったらな!」


 コイツはもう友人じゃない。

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