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君との絆が奇跡になる  作者: 呂束 翠
『奇跡』使い達
15/45

第15話 昨日の友は今日の仇

キャラ紹介。二人目。洗脳で裏切り者になった翔流くん

名前:天馬てんま 翔流かける

性別:男

年齢:15歳

誕生日:10月10日

天馬のてんから10月。日付は特に思いつかなかったので天馬のてんから10日。

身長:175㎝

体重:78㎏

能力:肉体強化

詳細:身体能力の強化。

再生能力を上げたり、あらゆる耐性を上げたり、行動速度を早くしたり、力を強くしたりと色々出来る。自身に向けて使用した場合は効果が高い。



 本日の信世くんの対戦相手です。

 本来は別グループの子の予定でしたが、物語を進めやすくしてもらう為に、信世くんグループにも多少は面識があるパイプ役になってもらいました。最初想定していたよりもかなり色々巻き込まれちゃっている可哀想な子です。

 ちなみに、素の状態の身体能力が高いのは『奇跡』の影響とかではなくただのフィジカルです。身体能力は並みの大人よりも圧倒的に高い子ですね。

 相手は肉体強化の『奇跡』持ちだ。さっき見た通り本人に直接『奇跡』を使っても効果は無い。

 ならば、着用している最後の布切れを使うまで。

 翔流が着ている最後の布切れと言えば勿論パンツだ。股間に一番密接に接している部分だ。男の分かりやすい弱点でもある。

「『股間部分を捻じ切れ』」

「初手からえげつない事するんじゃねぇ!」

 翔流の下着に向けて『奇跡』を使う。

 この程度でどうにかなるとは思わないが、少なくとも股間部分には大ダメージだろう。

 相手は速い。油断している隙に次の行動に移さないといけない。

 翔流は股間を捻じ切ろうとする下着を必死に引っ張って破ろうとしている。拘束した時のような空中に『留まる』のではなく、内側に力が向く『捻じ切る』だからさっきのようにはいかないはずだ。

「お茶飲みたかったんだろ。くれてやるよ」

 机に置いてあるお茶を投げつけて『奇跡』を使う。

「『貫いて凍れ』」

「お前ちょっ、クソ痛てぇぇぇ!!!」

 翔流は肉体強化のおかげで、複数の細い針になって刺さったお茶に貫かれる事は無かったが、衝突して体の広範囲に散らばったお茶は『奇跡』の影響で硬い氷に変わる。

 痛がり始めたのは刺さった瞬間ではなくて氷になり始めた瞬間だった。タイミングからして痛みの原因は凍傷だろう。

 突き刺しには反応は無いが、温度の低下には反応した。なるほど、肉体の強度は増すが体温変化には弱いという事か。それなら勝てる。

 絶対零度までお茶の温度を低くしようと考えたが、お茶には不純物が多すぎる。水のみを指定してもあまり意味がないだろう。逆に温度を高くしたら水蒸気になってしまって翔流の拘束を解いてしまう。水蒸気の温度で殺す事も出来なく無いが、何分気体になってしまうので俺自身にも被害が及びかねない。

 ならば、温度を上げても問題ない物を使って翔流の体を溶かしてしまえば良い。

 丁度、俺が立っている場所は台所に近い。

「『止まれ』」

 凍ったお茶と下着に向けて『奇跡』を使いつつ、何かあった時用の保険に台所の蛇口を捻って水を出しておいて、食洗器に入っている包丁を取り出して翔流の顔に投げる。

 体が凍ったまま股間を捻じ切ろうとする下着を引っ張る手を止めて、凍った体をパキパキ鳴らして無理やり体を動かして俺が投げた包丁を柄の部分をキャッチする。

 凍った程度で動けなくなるとは思って無かったが、こうも速く動き出すとは。しかも、最初よりも行動速度が速くなっている。『奇跡』を使うのに慣れてきたみたいだ。本格的に動き出す前に仕留めないと危ない。

「お前、本当に殺すつもりかよ。包丁って……」 

「『溶けてまとわりつけ』」

「まさかっ!」

 馬鹿が馬鹿なりに察したようで包丁を投げ捨てようとするが、包丁はしっかりと翔流の手に引っ付いている。それだけじゃない。徐々に真っ赤な液体になりって手から腕へと侵食を始める。

 馬鹿から悲鳴が上がる。必死に払い除けてはいるが、真っ赤な液体状になった包丁は中に投げ飛ばされても。すぐに戻って脚から胴体へとまとわりついていく。

「『気化しない限界まで加熱しろ』」

 液体の赤さは更に濃ゆくなって翔流の体を溶かしていく。

 腕から肩、胴体、脚、顔、体の至る所全てを溶かしていく。

 さすがは肉体強化の『奇跡』。体が溶ける速度はゆっくりだ。本来なら、翔流が立っている床のようにすぐに溶けてしまうのだろうが、まだ形がハッキリ人だと分かる程度には残っている。

 あの包丁はステンレス製だ。沸点がいくらかは知らないが、最低でも鉄と同じだと仮定すると2000℃は余裕で超える温度になる。一瞬触れる程度なら重度の火傷で済むが、それがまとわりついて来るなら……どこまで悲惨になってくれるだろうか。

「信世ァァァァァ!!!」

 翔流を中心に床が溶けている。良くないな。

「床が抜けちまうだろ。『宙に浮け』」

 叫んで暴れまわる翔流と一緒に真っ赤な液体になった包丁が宙に浮く。

 これなら床が抜ける事はないだろう。

 翔流が『奇跡』を本格的に使えるようになる前で良かった。俺が初めて『奇跡』使った時と同じように髪色が紅くなっていたからまさかとは思っていたが、あの馬鹿が『奇跡』を使ったのはさっきが最初だろう。

 大方、あの侵略者のシオンさんとやらに『奇跡』が使える事を教えてもらったのだろう。時間が無くてぶっつけ本番だったからあんなに反応が鈍かった訳か。急いで来た甲斐があった。

 今の翔流では、シオンが使ったなんらかの能力で洗脳されているせいで全体的に反応が遅い。おかげで『奇跡』の発動すらも遅かった。それが無ければ、拘束されても即座に動けただろうし、溶ける包丁もすぐに払って動けたはずだ。一つ一つの動作の間に必ず考える時間と、動き始める時間があったからこそ通用したものだ。万全の状態ならまず通じない。

 未だに生きて叫んでいる馬鹿を放置して、棚の中にある水筒に水を満タンになるまで注ぐ。紡祇の水筒だと500ミリリットル入るタイプではなく、俺用の1リットル入る水筒を持っていく。

 水は便利なものだ。今回は翔流を拘束させるのに使ったが、それ以外にも刃物の形にして凍らせれば簡単な武器になるし、防がれても通り抜けれる。強度は少し弱いが好きな自由度がかなり高い。

 水を無駄には出来ないのでしっかりと止めて行こう。紡祇の水道代が高くなってしまう。

 さて、次はシオンだ。体は恐らく紡祇の体を変化させて動いているのだろう。殺してしまえば紡祇も死んでしまうかもしれない。

「じゃあな『翔流が死んだら翔流以外は元通りになっておけよ』」

 さすがに荒らし過ぎてしまった。俺の『奇跡』はかなり使い勝手が良いから部屋の自己再生くらいは出来るだろう。

 現在時刻は18時55分。残り5分しかない。急いで紡祇の部屋に行こう。

お願い、死なないで翔流くん!


あんたが今ここで倒れたら、シオンさんとの約束はどうなっちゃうの?


人の形はまだ残ってる。これを耐えれば、信世に勝てるんだから!



次回……翔流くんはどうなっちゃうんでしょうね。

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