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3 力

 とんでもない破壊力だ。弱点は直接肌に触ることと、少々時間がかかることだな。警戒している相手からは取れそうにない。ああ、そもそもストック1つだけのようだ。そりゃそうか、何個も使えたら強すぎる、一応制限があるわけね。コピーしたスキルを消すことも出来る、消すかどうかの選択肢が現れた。もちろん今はいいえを選ぶ。このユニークスキルより上ってなかなかないだろうな。


 最後に通信ケーブル。相手の力をそのままコピー、扱える。神器を扱うことが出来る。レベル上げが可能、気に入ったジョブをみつけ、レベルが低かったとしても、自分で鍛え上がることが出来るようだ。


 これも試してみる。手のひらから出てきた透明なケーブルの先端を相手のどこでもいいので身体に突っ込む。こちらは地肌でなくてもよし、服や鎧があっても通過しそのまま刺さるようだ。ケーブルの感触はないようだ。こちらはこっそりできそうだ。


 能力の吸い出し完了。その力を使うと、奥底から力が湧きみなぎってきた。レベル、ジョブ、ステータス、武器技、すべて爺さんと同じ。


「こいつを使ってみろ」


 神斧槍フォーチュンヘブンを投げてよこす。手に取ると頭の中に武器技と「攻撃力アップ」が表示された。


「スピリットファイア」


 斧槍に闘気を充満させ、地面を叩く。前方が爆発しながら広範囲にえぐれる技。これもストック1、いつでも消せる。


「俺とほぼ同じ力だ、俺専用のはずだが本当にお前でも攻撃力アップが発動するようだな。全く同じ力だから神器が俺と見分けがつかないのか、こんなこともあるんだな」


 だが力の使い方がなっちゃいないなと、爺さんが走って村に戻り、練習用の斧槍を持ってきた。これを使い、指導が始まる。憧れの人と同じ力を持ち、あこがれの人からの指導。ロアとしては感無量のようだ。


 修行は朝まで行われた。今まで冒険するときに爺さんの動きを見てきたから覚えるのは早かった。まだまだだが、ある程度戦えるほどにはなったとお墨付きを貰った。その場に座り込み満足した表情で俺に語りかける。


「楽しかったよ、ロアと転生の人。俺はあんたらに力を授けるために産まれたのかもな。はは、年をとるといかんな。そら、先に村に帰ってくれ」


 頷き村へ帰る。家族はまだ起きてないなと慎重に侵入し毛布に潜り込む。すぐ起こされ朝食を食べる。流石に眠いな、よく遊んでいる広場へ行って眠ることにした。


 昼頃起き、家に帰る途中、村長の息子が慌てた様子で村の外へ走っていくのが見えた。何やってんだあの人は。そういえば爺さんが嫌いだったな。何もかもあの人が上手だった。あんまり考えたことがなかったけど俺と爺さんが仲がいいから俺を嫌っているのかもしれないな。まあ、どうでもいいけど。


 昼ごはんを食べて、爺さんの家へ向かう。もっともっと聞きたいことがある。爺さんの家の前に見たことがない女の子が来ていた。あれはエルフの子かな、見た目の年齢は15歳くらい。ロアとしてもエルフは初めて見た。家の前にいる村人と話をしていた。


「一目会うことも出来ない?」

「悪いねお嬢ちゃん。さっきも言ったが爺さんの体調が悪いんだ。今日のところは帰ってくれ」

「仕方ないか」


 家から離れていく女の子。爺さんはかなりの有名人で、たまにこうして人が会いに来ることがある。さすが元勇者。2日前にも女の子が来ていたな。しかしこれでは俺も会えそうにないな。


「体調悪いの?」

「ロ、ロアか。そうなんだ、悪いんだ。だから今日は帰ってくれ」


 そういうことならと、俺も大人しく帰る。朝まで頑張ったからな、疲れが来たのかも。あ、でも爺さんの家に置きっぱなしで忘れていた本、今日友達に返す約束だった。うーん、本を持って帰るくらいなら問題ないよね。爺さんから聞いていた、秘密の入り口へ。ふふ、驚くかも。板を外し中へ入ろうとしたところ、家の中から人の声が聞こえてきた。


「しかし急だったな。まさか老衰で亡くなるなんて」

「ああ、朝食を持っていったらベッドで息を引き取っていたらしい」


 爺さんが死んだ? 信じられないという気持ちで、中の会話を聞く。


 どうやら、この状況は予定通りのことのようだ。爺さんもいい年だ、いつ亡くなるかはわからない。そこで、今回のように急に死んだ場合は、次の衛兵が街に到着するまで死んだことを隠すよう爺さんが指示していたようだった。


 この地域はまず魔族に襲われないと言ってもいい地域ではある。西側に魔族領があるが、分厚い山脈によって進行は不可、南側は山脈と海。だが念のため、誰も守るものがいなくなった村が襲われないようそういった配慮をしたようだった。


「年の割に元気だなと思っていたがまさかな今日亡くなるとはな」

「穏やかな顔だったらしい」


 爺さんの家から離れ家に帰った。


「どうしたんだいロア、顔色が悪いよ」

「体調が悪くて、晩御飯はいいや」

「わかった」


 部屋に入りうつ伏せになり目を瞑る。もっといろいろなことを教えてもらいたかったな。鼻をすするが液体がとめどなく流れ出る。寝藁が濡れてゆき、いつの間にか眠っていた。


 夢に爺さんがあらわれる。これだけは言っておきたかった、頑張りすぎて死んだわけではない、お前のせいではないと。俺の代わりがあらわれて安心して寿命を全うしたのだと。だから元気なお前を見せてくれと言われた。

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