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湯上りの会話

「……ここは?」


 次に気が付いた時、俺は心地良い風を感じた。


「私の部屋だよ」


 レイチェルの声がする。


 頭上からだ。


「え? ええ!?」


 俺はどうやらレイチェルに膝枕をされているらしい。

 それと風はレイチェルが魔法で発生させているようだ。


 手は……繋いでいる。


 俺はそれを確認して、体を起こした。


「大丈夫?」


「まだ少しボーっとするけど、大丈夫。それにしても女の子に膝枕をされたのなんて初めてだ」


「私も誰かを膝枕をしたのは初めて」


 レイチェルはどこか楽しそうだった。


「でも、どうして? 手を握っていれば、ここまで密着する必要は無かったでしょ?」


「そういう気分だった、かな?」


 レイチェルは恥ずかしそうに言う。


「そ、それより、食事の用意が出来ているの。食べられそう?」


「お腹は減っているよ。それにどんなものが出てくるか凄く楽しみだ」


 王族の食事を食べる機会なんて普通はない。

 一体どんなものが出てくるんだろう。


「急ごしらえだからあまり期待しないでよ。じゃあ、行こう」


「うん……あれ?」


 俺はあることを思い出した。

 そして、血の気がサーッと引く。


「……なぁ、レイチェル、俺って大浴場で倒れたから裸だったよね?」


 今は服を着ていた。


 レイチェルがビクンとなる。


「だ、大丈夫、私以外、見てないから! アレックスの、アレックスが、アレックスしていた、って知らないから!」


 レイチェルは何かを思い出して顔を赤くした。


 って、アレックスを連呼するな!

 意味が分からない!


「いや、さすがにあの状況で裸を見られた、って怒るつもりは無いよ。むしろ、色々と面倒かけて悪かったね」


 俺が言うとレイチェルは笑った。


「そんなこと、私がアレックスにしてもらったことを考えたら、些細なことだよ。それに()()()()のを初めて見れたから、ありがとう」


「…………」


 あのさ……「ありがとう」じゃないよ!?

 でも、今回は俺が倒れたのが原因だし、不問にするしかないか…………


「それとこれで最初の貸しは返せたかな?」

とレイチェルが続けた。


「ん?」


「ほら、初めにアレックスは気絶していた私を運んでくれたから」


「ああ、そのことか」


「もう懐かしいよ。まだ一カ月も経っていないのにさ」


「君と過ごした時間は楽しかったよ。退屈しなかったしさ」


「私もだよ。ところでアレックス、あんなものが本当に入るの?」


「あんなもの?」


「アレックスのアレックスだよ」と言いながら、レイチェルの視線が俺の股間に向く。


「…………」


 ……おい、折角、良い雰囲気になりそうだったのに台無しだよ!

 本当に自分の興味に素直だな!


「……さてと食事に行こうか」


 俺は会話が終わってくれ、という願いを込める。


 でも、そんなものは無駄だった。


「ちょっと、答えてよ。アレックスのそれ、本当に入るの?」


 単語を言うのは恥ずかしいらしく、レイチェルは俺の股間を指差した。

 なぜか、俺が恥ずかしくなる。


「俺に聞かないでくれ。ど、童貞なんだからさ!」


 宣言してから悲しくなった。


「でもさ、他の男性のは見たことあるでしょ? 比べてどうなの?」


 レイチェルはズイッと顔を近づけた。


「知らないよ! だってさ、あの状態のを比べることはないって!」


「あの状態? ああ、えっと、勃……抜剣した状態のこと?」


 レイチェルは直接的な表現を言いかけて、途中で表現を変えた。


 にしても抜剣って……


「それは君の好きな小説に出て来た表現なのかな? よく咄嗟に単語が出てくるね」


 俺は言うとレイチェルは恥ずかしそうだった。


「だ、だって、子供の頃から小説を読んでいたから…………」


「まったく……さてと食事に行こうか」


「だから、話を逸らさないで。アレックスのが入るか聞いているの」


 また会話が終わることを願ったが駄目だった。


「だから知らないって! それにさ、俺じゃなくて自分で確かめたらどうだい?」


 あと少しで「挿れられるのは君だろう」と言いそうになってしまった。

 さすがにそれは一線を越えた発言な気がして、思い留まる。


 まぁ、レイチェルは簡単に一線を越える発言をしているけどさ…………


「えっ、私に野菜で処女を喪失しろ、っていうの?」


 飛躍してとんでもないことを言いやがった。


「…………さてと食事に行こうか」


「待って、完全に無視をしないでよ!? 今のは突っ込み待ちだったんだよ。あっ、突っ込むっていうのは性的な意味じゃないよ。……って、そんなに手を引っ張らないでよ!」


 今度は完全に対話を拒否する。


 早く執事さんかメイドさんのいる場所に連れて行こう。

 そうすれば、この思春期少女も少しは大人しくなるだろう。

 俺はレイチェルを引っ張って、部屋を出た。


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― 新着の感想 ―
[一言] アレックスのアレックスがいかにヤンチャでも人間の範疇に収まってるなら可能なはず
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