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新しい男を探せというアドバイスと、能力確認

 舞踏会というだけあって、貴族の家であったためだろう。

 壁に飾られた宝石も含めて豪華できらびやかだ。

 しかも魔法の明かりで照らされたそれらがキラキラと輝いている。


 とはいえどこかの観光地に行ったのならばそれらを楽しんだりできそうなものだが、現在のこの状況下では無理だ。

 むしろ今すぐ蹴り飛ばしたいというか、


「やっぱり頭を持ち上げる程度では駄目ね」


 あの程度では気が晴れない。

 見かけは良い男ではあったが、全部他人のせいという、しかも自分が正しい事を誇示して快感を得る、つまりは【説教】を相手にして快感を得ているようなタイプだった。

 ちなみに私は何も悪くないし、しいて言えばこの悪役令嬢リセ・ハートマインドも何も悪くない。


 それなのに何も知らず、何も手出す解せず、この婚約者という金持ちの……そこまで考えた所で自分の中の悪役令嬢リセ・ハートマインドが俯いているのに気づく。

 どうしたのだろう?

 そう思ってからそういえばこの令嬢、実はあの婚約者にほのかな恋心を抱いていた気がする。


 因みにハッピーエンドルートも含めて、この悪役令嬢リセ・ハートマインドは必ずあの婚約者に婚約破棄される。

 その後、バッドエンドルートを除いての、【逃げた魚は大きかった】という、ざまぁ、な展開が入っていたりする。

 そして私はゲーム内で何度も周回したために、ああまたか、いつものあれね、飛ばしていいかな……という気持ちも強かった。


 もっとも実際に聞いてみるとさらに酷かったのと、自分の事は棚に上げて何様だこいつ感が強かったのでつい……。

 もう少し何かほかの方法があったのではという気もしないでもないが、気づけば先に手が出てしまったのでああなった。

 それはいいとして、悪役令嬢リセ・ハートマインドに私は、


「もう少し男を見る目を養いなさいよ。もっといい男もいるしこれから出てくるわよ」

「……でも……」

「あ~、はいはい。でも今は泣いている暇はないわよ? 貴方の生命の危機と友達の暗殺計画阻止もかねて、逃げるんだから」

「ふぇ? そうなんですか?」

「そうなの。遊びで冒険者やっていたのが役に立つはね。生活できる」

「ええっとそういえば【家出】って」

「今の所それ以上のいい案は思いつかない。とりあえずは時間稼ぎよ。もう少し早ければ対策できたしそれに……」

「それに?」

「あまりにも上手くできすぎていた気がして」


 そう伝えると、何がと悪役令嬢リセ・ハートマインドが聞いてくるが、まだ確たる証拠どころか私のただの勘以外に何もない。

 だからその話は保留にして、


「それで異世界の……この世界の転移者は、何らかの能力が出るみたいだけれど、憑依の場合って能力があるの? 一応基本のこの体と貴方の知識があるからある程度どうにかなるけれど」

「どうなんでしょう、【ステータス・オープン】が出来ればそれで見れるのですが」

「何それ。【ステータス・オープン】?」


 そう聞き返すと目の前に甲高い音がして、ゲーム画面のような青い色をした半透明の光の画面が浮かび、私? の能力が浮かび上がる。

 どれもが悪役令嬢リセ・ハートマインドよりも高く、固有魔法チートは【香りの魅了】というものらしい。

 能力などの付加? ……ようは【書き換え】が出来るらしい。


「これって上書きも出来るかしら。それと他人のステータスも出せるんだ。へ~」


 悪役令嬢リセ・ハートマインドの知識から、それらが出来ると私は理解する。

 そしてこの画面は消えろと思えばそれだけで消えた。

 便利な能力である。


 そういった情報を得ながら私たちは、先ほどの舞踏会にいなかったクレアの部屋を目指す。

 そこで私は奇妙な魔法の気配を感じた。

 だからノックもせずにクレアのいる部屋を開くと、


「リセ!」


 そう呼ぶ、刃物を持ったメイドたちに取り囲まれたクレアに遭遇したのだった。

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