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#0 神頼み!
この男、千原紅葉、20歳。
体重130kg、フリーター。ファッションセンス皆無の話し下手。
およそモテる理由の見当たらない男としての最底辺、地面を舐め回す勢いだ。
もちろん、生まれてこのかた彼女の1人もいない童貞である。
「今日で俺も20歳かぁ。彼女もできない童貞のまま、10代終わっちゃったなぁ。」
なんの努力もしていない。当然である。
「よし!近所の神社にでも願掛けに行くか!」
ここ三国町は、繁華街へのアクセスもよい閑静な住宅街である。
紅葉の暮らすマンションの近くにも、地元に根付いた古い神社がある。
恋愛、結婚、安産などでマニアの中では有名らしい。
神社のマニアとは。という疑問はおいておこう。
どんな世界にもオタクというものはいるということだろう。
TシャツGパンという、いかにもモブないでたちで鳥居をくぐった紅葉は作法も気にせずまっすぐ賽銭箱の前へと向かった。
「よし!今年からは本気だすぞ!神よ!俺の本気を見よ!行け!諭吉!」
愛用のダサいマジックテープ式の財布から一万円札を取り出し、賽銭箱に投入する。