試験結果
ここから先の物語は今まで以上に実在しないものとかが登場する予定なので、ファンタジー要素が少しは強くなると思います。……たぶん。
試験休みが明け、試験結果が張り出された。
初等部の結果は模試なので個人にしか基本配られず、張り出される事はない。だが、中等部と高等部はそれぞれの校舎に全員分が張り出される。
ずらりと長い紙には一位から順番に生徒の名前と総合点がびっしりと書かれている。
オレは一位のところに名前が書かれていた。
どうやら今回は全教科満点だったらしい。
次席は水無月さんだった。オレとは十点差だった。
「おはよう、西雲君」
試験結果を眺めていると水無月さんに声を掛けられた。
「おはよう、水無月さん」
「今回も厭味のごとく一位なのね」
少し棘のある言葉に苦笑した。
「水無月さんだってかなり高い点数じゃないか」
「何それ、厭味? どうせ次席よ」
「いや、厭味のつもりはないんだけど……」
きっと何を言っても厭味のようになってしまうんだろう。もうこれ以上は言わないようにしよう。
「それで、結果は他の人のも見るの?」
「あ~。高等部は後は会長くらいだよね。取り敢えず見ていこうかな」
オレがそう言うと、水無月さんと一緒に三年生の試験結果を張り出している場所に移動した。
会長は理数系が少しばかり苦手なようで試験対策の時に散々オレに聞いてきた。
これで成績が悪かったらオレも嫌だなと思いながら会長の名前を探していく。
すると、水無月さんとオレは同じタイミグで会長の名前を見つけ、二人して固まった。
会長の名前は一位のところにあり、点数も満点だった。
オレ、教える必要なかったんじゃないか?
なんとなく素直に喜べない自分がいて、そそくさとその場を後にした。
オレの後ろには当然のごとく水無月さんがついて来ていた。
「西雲君は生徒会室に向かうの?」
「ううん。職員室だよ」
「どうして?」
「内海先生に生徒会メンバーの成績表を催促して、それを保管しておかないといけないから」
オレが簡潔に言うと水無月さんは「そう」と言ってオレについて来た。
なんでついて来るんだろうと思いながらも、オレは結局水無月さんと職員室に向かった。
「失礼いたします」
そう言って職員室に入り、目的の人物の方へ向かう。
「ああ、西雲……と、水無月か。珍しいな」
内海先生が水無月さんを見て目を丸くした。と言っても、細い目だからそれほど丸くもなっていないけど……。
「成績表をいただきに来たんですけど」
「ああ、これな」
そう言って内海先生がみんなの分の成績表を渡してきた。
「今回はみんな頑張ったみたいだな」
「ええ、会長がまさか満点取ってるとは思いませんでした」
一位を取る事は度々あったが、満点で一位は初めて見た気がする。
「あ~。まあ、珍しいな。
初等部の連中も頑張ったみたいで模試の成績は良かったみたいだぞ。睦月野は満点だったし、他も学年十位以内に入ってる。
中等部は長月と師走田が同率一位で、霜月は十位以内、神在は元の成績考慮したらかなり健闘した方だったな。五十位以内には入っていたよ」
その結果を聞いて少し口の端が緩んだ。
「そうですか。それなら良かった」
みんな試験前に頑張っていたから、それが実を結んだようで良かった。
「まあ、期末で悪かったら意味はないから次も頑張れよ」
内海先生はそう言って手を振った。
「はい。では、失礼いたします」
オレと水無月さんは一礼をして職員室を後にした。
「西雲君って自分の事じゃないのに喜ぶのね」
「えっ? ああ、だって、みんな頑張ってたのを知ってるからね」
そう言ったオレはどういった顔をしていたんだろう。水無月さんにあんまりその顔で歩かない方がいいと言われてしまった。
そんなにみっとも無い顔をしていたんだろうかと思いながら生徒会室に二人で向かった。
生徒会室に着くと会長がいた。
「あっ。おはよう、葉月ちゃん、花音ちゃん」
にっこりと微笑んで挨拶してくる会長に「おはようございます」とだけ返した。
「成績表もらってきてくれたの? ありがとう!」
「今回はみんな頑張ったようでわりといい成績でしたよ。会長も別にオレが教える必要はなかったんじゃないですか?」
オレは成績表をファイリングしながらそう言った。すると、会長は頬を少し膨らませた。
「今回私の点数が良かったのは葉月ちゃんが教えてくれたからだよ。必要なくなんかないもん」
「そうですか」
淡々と返したが、少しばかり頬が熱くなりそうだった。
それを誤魔化すように違う話題を振った。
「それより、これから忙しくなりますよ」
「あぅ。みんな締め切りはちゃんと守って欲しいよぅ」
会長が嘆く。嘆きたいのはオレもだ。
これからを考えると憂鬱だ。
今日からしばらく天気も悪くなるようで、余計に頭が痛くなりそうだった。
無事乗り越えられればいいけどと思いながらオレは溜め息を吐いた。




