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オリュンポス  作者: ハーメルンのホラ吹き
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アイーシャの帰還

不意をついた攻撃を避けられたら、


それは不意を「突いた」のか?


評価よろぴく☆


森を抜け人間が通ると思われた街路を辿れば、人間の集落に行き着いた。



「随分と小さな村なことじゃ。」



アルは村の規模の基準を知らない。


しかし間違いなく自分が展開できる聖域に比べれば小さい。



ある程度街に近づくと、出入り口の前にいた人間の一人がこちらに近づいてくる。


皮の鎧を着込んだ人間の兵士のようだった。。



「君!アイーシャちゃんかい?」


「はい!」


「良かった。ご両親が心配してるよ。今連絡を回してるから、少し待ってね。」


「うん!」



男が何やら話せば、アイーシャが嬉しそうにしている。



(...此奴らに敵意はなさそうじゃな。)



「そちらの御方。村の子供を救って頂いたとお見受けします。感謝します」


「あ!アルは私たちの言ってること分からないと思う。」



今度は吾に何かをもうしてきたが、如何せん理解もできん言葉だ。


適当に手を扇いでやるとアイーシャの奴が何やら入れ知恵をしたのか、護衛が納得した表情を浮かべていた。



それから暫く門の前で待たされる。


その間アルは村の周りに拵えられた木の柵を見ていた。


彼であれば問題なく飛び越えれる。



(意味はなかろうが無いよりはマシかの。)



「アイーシャ!」


「パパ!」



そんな事を考えておれば、街の中から男が走ってこちらに寄ってくるではないか。


無精髭を生やした男を見つけると、アイーシャは男の胸の中に走り込む。


アルはこれまで繋がれていた手を見る。



(...手を離される。不思議な気分にさせられるモノじゃ。)



「娘を、娘を助けていただきありがとうございます!」


「良かったの。」



目に涙を浮かべながら感謝を伝えるアイーシャの父。


アルも感謝されている事はわかったのか、軽く微笑んでやる。



「ところであの獣人、身元を確認できそうな物を持ってなさそうだぞ。」


「子供を助けてくれるような奴だ。問題を起こすような人には思えないがな。どうしたもんか。」


「そうか?服からして貴族なら、何かしらの身分証明をできる物を持っててもおかしく無いか?」



そんな感動の再開をよそに、門番たちは事務の会話をしていた。


貴族や身元がはっきりしている人間以外は必ず身分証明が必要だ。


誰でも街に入れていれば瞬く間に治安が悪化する。


仕事と私情で揺れ動く男たち。



「ねぇ、パパ。」


「あぁ。もちろんだ。兵士様方、この方の身柄保証人には俺がなるんで、通してやってくれねぇか?」


「あ、あぁ。お前がそれでいいのならそうしておこう。」



門番たちの話を聞いていたアイーシャと父は、アルの身元保証人となる旨を兵士の二人に伝えた。


門番の二人はそれを聞いて、書類整備を進める。


こうしてアルは、無事人間の集落へ入ることができるのだった。







とある夜の街で、見覚えのある四人組の男たちが歩く。



「くっそぉ!」


「死ななかった事は良いものの、報酬も減額されて最悪だ!」


「武器も買い直す羽目になった。」


「俺たちの豪勢な晩御飯が」



悪態をつく野郎どもは、龍華花の一件でアルとアイーシャにちょっかいを出した男たちだった。


花の群集地の情報が漏れた可能性を考え、馬を走らせ王都にいる雇い主へと報告にきた。


しかし、その報告を受けて雇い主から聞かされた言葉は手痛いものばかりだった。



「何が仕事の一つも出来ないクズだよ。俺たちの気持ちも知らないでよ。」


「まぁ、仕方がねぇ。長期の依頼で簡単な仕事の割には報酬も良い。それだけ失敗は許されない内容なんだったんだからよ。」


「確かにそうだが、俺たちではアレに逆立ちしても太刀打ちは出来なかったと思うぞ。」


「他の奴らは群生地の独占に成功してるらしいし、俺たちゃ運悪すぎだろうよ。仲間一人死んだし」



最初に森の見えないところまで吹き飛ばされた男は、打ち所が悪かったのか死んでいた。


恐ろしく赤い目に真っ白な髪を伸ばし、頭の上には獣耳が着いた獣人の男。


思い出すだけで四人揃って身震いが止まらない。


そこで追って、男が行った言葉にまたもや悪寒が走る。



「もし、俺たちの代わりが雇われたらどうするよ。仮にそうなったら、俺たちは処理される可能性が高くねえか。」


「変なこと言うんじゃねぇよ!」


「そうだぞ。俺たちみたいな仕事をしている奴らは信用が大事だ。仕事の成果もだが、口を割らねえ人間性もだ。」


「あぁ。俺たちはこっちの信用はまだ失ってねぇ。一回の失敗でそこまでは行かないと思うぞ。」



男たちは自分たちのしている事が、綺麗な仕事ではないことを理解している。


実務内容は森に出て、雇い主の龍華花の独占を手伝うだけの仕事。


しかし、裏情報では自分たちの依頼主はより大きな闇に関わっている事が多い事で有名だ。


あまり下手ばっかこいてられねぇ、と四人は同時に思う。



「辛気クセェ話はやめだ!やめ!」


「こう言う時こそ良いもん食って、明日の仕事に力蓄えねえと!」


「そうだな!気が下向いちまってたら出来るもんもできねぇ。行くぞ!」



こうして四人は世の夜儲けが少ないにも関わらず、パァーっと飲み食いしたのだった。

評価よろぴく☆

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