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オリュンポス  作者: ハーメルンのホラ吹き
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探し物

多重人格者の人格の一人が、


もう一つの人格を人質としてとったら、


それは立てこもり事件になるの?


評価よろぴく☆


川で見かけた大人の人。



思わず嬉しくなって近づいたら、赤い目で白い長い髪のお男の人だった。


でもただの男の人じゃなかった。お尻にはおっきな尻尾と頭には大きな耳が付いてた。



そういう人達のこと、私知ってるの。


お母さん言ってた。獣人って人たちだって。


わたしの村にはあまりいないけど、王様のいる街に行った時にはいっぱいいたの。



でも、まさかアルが獣人って見つけた時は思ってなかったから、


頭の中が真っ白になって固まっちゃった。



だ、だって狼とおんなじ耳に尻尾が付いてたんだもん。


怖くなって、どうすればいいのかも分からなくなって。


あと、裸だったから怒られるかと思って。



そしたらいきなり何か言われたんだ。


でも何いってるか全然わからなかった。


だって声はガラガラだし、ちゃんと聞いてもアルは全然知らないことばを話すんだもん。



私も思い切って「ここで何をしてるの?」って聞いてみたけど。


結局アルも何もわからなくて。


でもわたし知ってるよ。きっと、アルは遠いところの人なんだよ。


お父さん言ってた。遠い所の人は違うことばを話すんだって。



でね!でもね。アルはす〜ごいんだよ。


話さないのに、なにかは分からないけど、何か言ってる事がわかるような気がするの!


アルが手を動かすと何か胸がポワッとして、言ってる事がわかるの。



名前は?って聞かれたから、ビックリしたけどアイーシャって答えた。


そうしたら、アルはアイーシャってすぐに言ったんだ。



今度は、親ははどこだ!って言ってきた。


そしたらお母さんの事を思い出して、「お母さんを助けて!」って、


アルはわかってなかったみたいだけど。



そしたら、アルは何かひらめいた顔してわたしが起きた場所に連れてったの。


いきなり木の枝を拾ってきて、持て!って突き出してきた。



とりあえず持ったんだけど。


それでね!でね!アルってすごいんだよ。


マホーを使えるんだ。



街の人もお父さんもよく使ってるから知ってるんだけど、


でも、アルのはもっと凄いの!


アルがほっぺたを膨らませたらボワァ〜って口から炎が出てきて、


ビックリしすぎてポカーンとしちゃった。



そしたら今度は描けって。


ハッとして、お母さんを助けなきゃって。


だからがんばって絵を書いたの。



お母さんとお父さんを。


お母さんが倒れてる絵を。


お花の絵を。


最後はどう絵を描けばいいのか分からなくなったから、体を使ったらアルはわかってくれた。



アルは優しいから、手伝うって言ってくれたら安心して泣いちゃった。


今は一緒に手を繋いで森の中を歩いてくれてる。


アルがいれば、暗い森の中も怖くない気がする。





(手を繋がれるとは、不思議な感覚であるな。)



二人で森の中を歩きながら、アルは手を繋ぐことに違和感を感じていた。


アイーシャの求める花を一緒に探してやろうと思えば、その場から動こうとしない。


本人が動かずして、どうやって手に入れるというのか。



花は探せば森には腐る程ある。ただ、欲しい物かは別だ。


行くぞ!っと首を動かし手を拱いていていたら、手を出してきてこの有様だ。



(この星は平和なのであろうな。)



大々的に侵略を受けている星であれば、


現地人は餓鬼でも首を掻き切ろうとしてくるものだ。



そんな事を考えながら、アルは開いた方の手に微弱な魔力を集め念思を飛ばしていた。


こうすることにより、アルの魔力に当てられた魔物は近づいてこない。



魔物との不必要な遭遇を避けるためだ。近づいたら殺すという警告でもある。


この成果あってか、森を練り歩く間も魔物が近づいてくる気配は一切なかった。



「アル!」



しばらく歩いていたが、小娘が騒ぎ始めた。


意外にも簡単に小娘が求めておった花は見つかった。


群れで咲いている白い花を見つけると、アイーシャはアルの手を離し駆け寄る。



(ふむ。あれは龍華花か。)



大気や大地を流れる魔力。


中でも一際強い魔力の流れ:龍脈と呼ばれる近くに根を張り魔力を吸い上げて成長する花だった。



花を摘み取っていくアイーシャ。


小さな手が一杯になるまで摘み取ったようだが、見える範囲にはまだまだ残っている。



(いっそ全て毟ってしまうか?)



アイーシャはそんな危ない事を考えていたアルの元に戻っては、


笑顔で摘み取ったそれを見せる。



「見つかってよかったの。」



混ざり気のない純粋な笑顔はよいものだな。


喜んでくれて何より。



(アイーシャの探していた花も見つかった事だ。)


(此奴を送り届ければ人里につくであろう。来た方角へと帰るとするか。)



ここへ来た時と同じように首で行くぞ、と合図をしてやる。


アイーシャは喜んでアルの横に並んだ。



花でいっぱいになっている片手。


空いている方の手をアルに向ける。



帰りも手は繋ぎたいようだ。



(平和ボケめ。)

評価よろぴく☆

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