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オリュンポス  作者: ハーメルンのホラ吹き
21/68

ダインとの対面

人間の言葉を理解できる犬はいるのに、


犬の声を理解できる人間はいないのか...。


え、人間って犬よりレベル下でした?


評価よろぴく☆

アルが夜の奇襲にあってから一週間が経とうとしていた。


彼はいつも通り木の上でのんびり生活を満喫しいる。


唯一変化した事と言えば、魔力が発されていないこと。


《魔力感知》をやめたことだ。



「花を飾るだけの壺。文字を書くだけの道具に、体に毒ながらも飲み続ける酒。人間は不思議なものばかり作りよる。」



《魔力感知》を使用していた理由は周囲の安全を確認していたのではない。


オリュンポスに無く、下界には存在するモノ。


人間の持っている物に興味があったからだった。


ここにきて1ヶ月と少しが経った今、アルはこの村にある全てのものを把握済み。


退屈するようになっていた。



「最近では愚者の類いも寄って来ん。どうするか?」



そんなアルが暇つぶしとしていた事も、できなくなってしまった。


アルが住処としている聖樹の地面。


そこにはずらりと刃物や弓、様々な防具が並べられている。


これらは全てアルに挑戦しようとしたワーカー達のもの。


それらの武器や防具は、この村では見ない素材で作られている。


魔物や珍しい素材をふんだんにに使用されているため、暫くはアルの注目を引いた。


しかし、それも直ぐに飽きてしまった。



「戦に関しても骨のある奴がおらぬ。ふむ…。」



戦闘においても余興にも満たずに終わる。


アルとしても不完全燃焼ばかりでは面白くない。


それからというもの、アルの耳に止まった襲撃者は一も二もなく首を飛ばされている。


大幅に手加減を施してはいるものの、それに反応さえできない人間には時間を与えない。


所持品は取り上げ、死体は処理。


立てかけておけば、また寄ってくるという寸法だ。


しかし、ここ数日はなかなか来そうな雰囲気もない。


どうやら新たな余興を考える必要がありそうだった。



そこでふと少女の顔が思い浮かぶ。



「アイーシャに顔でも出してみるとするかの。」



村で危ない噂が飛び交っている。


その所為で村の子持ちの大人は自分の子供だけで外に出したくはない。


そう言ったことになっているのを理解していた。


そこで、しばらくあっていないガッシュとスザンヌに会うのも丁度良いと考えたのだった







村の若い女性の間で時折語り種となる人物がいる。


稀に街に現れる獣人の殿方だ。


髪は白く長く美しく、目は見つめられれば顔が火照る程鋭く赤い。


背丈は高く、歩く姿には一種の神性が感じられる。


服は体の輪郭がわかりにくい服を着用しながら、その衣服の中にある肉体が思い描いた芸術美のように鍛えられていることを女性たちの肉体は感じ取っていた。


目が肥えている商人たちでさえ、衣に施された刺繍を見れば釘付けになる。


それながら頭に供えられた大きな耳は、愛らしさも併せ持っている。


世界中の女が惚れ込んでしまいそうな要素を詰め込んでいるような内容だった。


その噂の男性が珍しく今日は中央通りを歩いていた。



「あ、見てみて。彼が歩いてるわよ」


「あ、ほんとだ!」


「はぁ〜。格好いい。」



独身女性はやっていることを止め、まるで崇拝するかのような目で男を見る。


見惚れているのは皆人間の女性だったが、その男には種族を越えた魅力があった。


そんな目線を諸共せず、男は真っ直ぐとある建物へと向かう。


とある建物の入り口に足をかければすぐに声がかかった。



「お、アルじゃねぇか。久しぶりだな。」


「あら、アルさん。お久しぶりです。」


「暫くじゃな。息災か?」


「あぁ。毎日忙しくて大変だがな。」


「本当ね〜。でも新しく宿で雇った新人さんがきたの。それからは大分楽になったわよ。」


「そうかそうか。気丈にやっておるなら良い。」



宿の亭主であるガッシュと女将のスザンヌが快く迎えてくれた。


スザンヌは病弱の時から比べて健康そのもの。


苦労して龍華花を手に入れた甲斐があると言うものよ。


アルはあたりをキョロキョロを見回し、二人に向き直る。



「アイーシャは元気か?」


「聞かなくともアイーシャは元気良くやっとる。」


「今はお店のためにお使いに出てもらってるわよ。暫くしたら帰ってくると思うわ。」


「そうか。では待たせてもらうとするか。」



アルはその持ち前の耳の良さからアイーシャが宿に居ないことを知った上で敢えて質問した。


《魔力感知》にて人間の生活を覗き見していただけあって、小さな表現が重要と理解していた。


ガッシュはアルがアイーシャに関することを話すと敏感だった。


手を繋いで歩いていたことを、いまだに羨ましく思っているのだろう。


スザンヌは夫の過剰な反応を気にもかけていない様子だ。



軽く世間話を始めるガッシュとアル。


以前村で流行っていた疫病。


それが王都、そして王国全体で猛威を奮いつつあるとの噂がある。


スザンヌのかかっていたもので、魔力供給異常を引き起こしていた疫病だ。


「その節は本当にお世話になりました」っとスザンヌが感謝を述べる。


アルは偉ぶることもなく感謝を受け入れる。



アルは気にしていなかった。


龍華花の件はアイーシャが見つけ、自分は横で歩いていただけなのだから。


そして気にしていなかった。王都での疫病など自分の関係のないことだから。


それよりも以前からあった不思議が勝った。



(ふむ。吾の育てた樹が聖樹になる前にも病原体なるものはあらんかったが?)



アルは《魔力感知》にてその魔力が覆っていた全ての物を把握していた。


そのアルが病原体を感知しなかったのだ。



(本当なら村の人々には何かしらの誤解が生じているようじゃの。)



続いて街中の死体や地獄の門の話などを聞く。


それらは既に自分の住処から聞こえてきていたことなので、興味を引くような内容ではなかった。


だがアイーシャが危険な目に会うことを心配して雇った新人の男には少し興味を引いた。


スザンヌはか弱き女性として治安が悪化することには賛成出来ないようだ。


ガッシュに関してはアイーシャに危害が加わることを考えただけで鼻息が荒くなっている。


この分であれば、吾と森で行方不明になっていた時も正気を保てていた事やら。


アルはガッシュに対して思う。



(ガッシュの奴はアイーシャになると少し過保護よの。しかし、此奴らの安全を脅かそう愚か者が現れれば...。その時は魂を破壊してくれよう。)



アルもアイーシャやガッシュを守ることに関しては同じ意見だった。


そのまま会話に花が咲いていると宿に近づいてきている気配を感じた。



「あ、アルだ!」



良く知っている気配だった。


アイーシャはアルを見つけると嬉しそうに近寄ってきた。



「久しいな。随分と成長したのではないか?」


「うーん。どうかなぁ。」


「かかかっ。童の伸びは早いからの。人間なら尚更の事よ。」


「へ〜。人間以外はもっとかかるの?」


「勿論、何年もかかる物である。」


「へ〜。アルって物知りだね。」


「吾は其方の数えれぬ程生きておる。知っていることが多いのも道理よ。」



数も数えれないと馬鹿にされたと思ったアイーシャは頬を膨らまして怒った。


だがそれでもアルと話せて嬉しそうだった。



(さてと、此奴が新入りか?)



アイーシャの横で立っている大男を見上げる。


ガッシュとスザンヌの話に何度も出てきた一時的な手伝いらしい。


にしては随分と良い堅いをしている男だ。



(はて?此奴、どこかで見たか?)


「あの...変なのはわかってるが。どこかで会ったことがあるか?」



これにはアルも驚いた。


自分と同じことを相手も思っていたからだ。


相手に思考を読まれないための対策は何重にも行っている。


それを見通してきたのであれば、この男は脅威になりうる。


即座に魔力を伸ばし相手の体内に干渉した。


魔力量は乏しい。干渉に対する抵抗も一切ない。


他の神の祝福を受けていることでもなければ、《権能》を感じられない。


なんの変哲もない人間種だ。


考え過ぎだったと即座に判断した。



「ほうか?吾は其方を知らぬぞ。随分な色男を知っているようじゃの。」


「あら、お上手。」


「おめ〜、そりゃ誰の話をしてんだ。おめーが色男なら、そんときゃぁ俺は絶世の美男になるじゃねえか」



アルが冗談を言えばスザンヌが感心する。


横から笑い声でガッシュが参加し、冗談で盛り上がり場は笑顔で包まれる。


そこからはアイーシャも混ざり歓談に思いをふけた。


時間は他人と共有すると流れが早く感じるものだ。


いつの間にか今晩のお客が現れる時間になった。


アルは宿に人間が増えてきた事に気付き椅子を立つ。



「え〜。もう言っちゃうの?」


「邪魔したな。」



アイーシャが不満を口にする。


アルは娘を助けた恩人だ。宿に一泊二泊するぐらいであれば快く受け入れてもらえるだろう。


しかしアルからすればあり得ない話だった。



「またいつでも来い、悔しいがアイーシャはお前の方が好きだ。」


「お父さん...何言ってるの?」


「まぁまぁ。アイーシャはお父さんのことも好きですよ。アルさん、またいつでもいらして下さいね。」



ガッシュはだいぶアルと打ち解けた。


アイーシャ関連では精神的に撃ち抜かれたらしい。


今後は問題が発生しなさそうだ。


馬鹿な事を言っている自分の父を見て、父親の印象が下がるアイーシャ。


元々嫌っていなかったが、今回は確実に印象が下がったようだ。



「また気晴らしに来るとする。」


「おぅ。いつでも来い。」


「バイバーイ。」


「今度はお食事でも一緒に。」



それを最後にアルは宿を後にした。


非常に満足した顔だった。







アルが去った宿は夜の活気を取り戻しつつ会った。


ガッシュとスザンヌは忙しく夜飯の準備に取り掛かる。


その中には表情の曇った一人の大男。



「ねぇ、ダイン。大丈夫?」


「あぁ。心配するな。少し頭痛がするだけだ。」



ダインはアルとの会話に殆ど混ざることができなかった。


何故かあの獣人の姿を見ると頭痛が激しくなる。


それに、以前会った様な気がした。心がモヤモヤする。


しかし男が知らないと言えば、俺のことを知らないのだろう。


しかし、何かがモヤモヤする。



「済まない。ちょっとガッシュとスザンヌに今日は休むと伝えてくれ。」


「わかった。早く治るといいね。」


「あぁ。」



ダインはそのまま労働の対価として借りている一室で早めに休憩をとるのだった。

評価よろぴく☆

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