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オリュンポス  作者: ハーメルンのホラ吹き
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囚われの神

覚醒剤は依存性が高いから麻薬です。


大麻はそれぞれ意見があります。


でも中毒性が高いものが麻薬なら、


おっぱいも絶対に麻薬です。


評価よろぴく☆


「.....................」



光が遮断された真っ暗な空間で、座り込んだ男が一人。


男は何も語らず、飲まず、何も食わず。


数百億年の時をそこで過ごしていた。



男の名はイルクル・アルダザイム・ジエルクファ・アルティアー。


オリュンポスと言われる悠久の時を生きる種族の星において、【禍威の混沌狐】と畏怖される存在。


しかし、それも過去の話。



男は【常世の終焉】と呼ばれる神界対戦において、


複数の神々によって封印された太古の(忘れられし)神となった。



男が座るこの横にも縦にも永遠と続く暗黒空間は、神々がイルクルに施した封印。


対象者の魔力を原動力に半永久的に効力を発揮し続ける《無限牢獄》と呼ばれる封印魔法だった。


対象によってその拘束力が左右される《無限牢獄》は、中から抉じ開けることは不可能。


封印が消滅するときは、対象が滅びた事を意味する。


死を宣告する封印。



イルクルは静かに自分の消滅の時を待つ。


その時は、これから数億、さらには数十億年先の話になるかもしれない。


しかし男には待つ事の他なかった。






数十億年がたったある日の事。


今まで一点を意識することもなく見ていたイルクルの目が、何十億年の時を経て意識を持ち直した。



視線がゆっくりと、ある方向に動く。


しばらく何も言わずに、ただ暗黒空間のあり続けるそこを目視していたイルクル。


しかし、今度は何百億年動かしていない重い腰をゆっくりとあげ、立ち上がった。



「か・ん・じ・る。」



話すのも数十億年ぶりだったのか、口調も滑らかとは言い難い。



先ほどから視線を向けている方角に歩き始める。もちろん、何処へ着くなんてことはない。


前後左右上下に永遠と続く真っ暗な空間なのだから。



しかしイルクルの目には、希望の光とも言えるものが宿っていた。



「て・ん・い・ま・ほ・う」



まともに何かを捉えていないため、使っていない目は退化してしまったかもしれない。


耳も長らく使っていないために、聴力もなくなっているかもしれない。


しかし、彼の野生は確実に外からの魔法干渉を察知していた。


封印魔法《無限牢獄》は内部からの破壊は不可能な最上位の魔法だ。


しかし外からの干渉があれば話は別。



歩みを止める。見えない手を握りしめ、足の感覚を確かめる。


そしてイルクルは体の中に残った魔力を練り上げた。


周囲に強大な圧を生み出す。



「で・れ・る」



体にまとわりついた強大な魔力を、封印術が吸い上げようとする。


そんなことは構わないと、イルクルは魔力を練り続ける。


体から血が滲み出ると、腕を伝って手先に集まる。


血は次第と刀を象り、その刀が発する圧力は体から滲み出るものとは比べ物にならない。



「で・る!」



魔力の練りが最頂点に達した瞬間に、男は手に持った刀を振り下ろした。


まるでガラスが割れたかのように空間に罅が入り、破片がパラパラと地面に降り注ぐ。



表情筋が動いた。


イルクルがゆっくりとその空間の罅に手を触れると、消えたかのように引きずり込まれる。


罅から溢れ出た眩い光は闇に包まれた封印空間を隅々まで照らしつけ、


暗黒空間は脆くも消滅した。



その日、男は自由の身となった。

評価よろぴく☆

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