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果てなき刻の旅人  作者: 鷹鴉
第零章 "Endless traveler"
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六話  襲撃の旅

残酷な描写があります。ご注意下さい。

 そしてそれは、二人が門を通って数分後に起きたのでskた。


「ようお前ら、こんなところで会うとは"奇遇"だな? 新人がいきなり狩りをするのは"大変"だろう? このストーレク様達が"手伝って"やるよ」


 現れたのは、カマせ臭の漂うストーレクと名乗る強面の男と、その取り巻きであろう、数人のチンピラ達でした。


 が、カークとクローデは何も無かったかのようにそれを無視して進んでいきます。


「おい!聞いてんのかてめぇら!せっかく"手伝って"やろうってのに、無視か?あぁ!!」


 ストーレクが大声で言い、取り巻きも「そーだそーだ!」「ストーレク様の好意だぞ!」「好意は受けとるべきだよなぁ!」などと(はや)し立てます。


 が、二人は完全に無視して歩いていきます。


「盗賊のアジト、どこにあると思いますか?所長」


「そうだな、山の中の洞窟にでもあるんじゃないか?クローデ」


「分かればさっさと風穴空けにいくんですけどね。――そこのカマセチンピラ共が盗賊なら楽だったんですが」


 それどころか、のんきに物騒な会話をする始末です。


 ストーレクはその見事なまでのシカトに対し、苛立ちを抑えられないようで、


「無視してんじゃねぇよ!ぶっ殺すぞ?!」


 と言いながら、カークの肩を掴みます。

 カークはそれを軽く振り払い、距離を離しながら、


「おや、俺たちに向かって言ってたんですか。てっきりコミュ障で友達ができないから、話しかける練習をしているんだと思ってましたよ」


「狙うなら私みたいな子供じゃなくて、もっと大人の女性を狙った方が良いですよ? それとも――、ロリコンなんですか?」


 その間にも、少しずつ距離を離していくカークとクローデ。


 沸点が低いのか、ストーレクは険しい顔をしてカークとクローデを睨み付けました。。

 紳士なら笑みを保って対応したかもしれませんが、ストーレクの場合は、怒りの表情で剣を抜いて対応するようでした。


「てめぇらふざけてんじゃねぇぞ………! さっきからジリジリと逃げてる癖によぉ! ぶっ殺してやる!!」


 まわりのチンピラも、

「新人がDランクのストーレク様に敵うと思ってんのか?」

「持ち物は有効利用させて貰うぜ?ありがたく思えよ?」

 などと下卑た(げびた)笑いを浮かべながら剣を抜きます。


「もともと不意討ちで持ち物を奪おうとしていたんだろうに、今更何を言ってる」


「そのために酒場から尾行してくるなんて、女性にモテませんよ?」


 相変わらず危機感のないことをいいながら、二人も応戦します。

 とはいっても剣対銃です。至近距離ならば剣でも勝ち目はあったかもしれませんが、十メートル程離れているのならカークがホルスターから銃を抜き、射撃する方が速く攻撃できました。


「死ねやあぁぁああ!!『パシュッ』」


 真っ先に突撃してきたストーレクが斬りかかるも、その切っ先がたどり着く前に脳天を撃ち抜かれ、物言わぬ骸と化す。


「え……、嘘……だろ……?」

「ま、まさか、ストーレク様がそんなあっさりと殺される訳がない……よな…?」


 取り巻きたちが震えた声で呟いている間にも、二人は次々に頭を撃ち抜いていきます。

 四四マグナムと、四五ACPの威力は高く、しかも撃たれた頭が血塗れなのも、更に恐怖を与えています。ライフル弾だったらもっと凄惨(せいさん)な光景になっていたでしょう。


「ひいいぃいぃい!来るな、来るなああぁぁあ!!化け物ぉぉおおお!!『パシュッ』」


 ドサッ、という音を立てながら最後の一人が撃ち抜かれました。数々の死体は地面に血を染み込ませていきます。


「化け物……、か」


 カークが独りごちました。


「まったく、盗賊に襲撃かける前に襲撃を受けるとはおもいませんでしたよ」


「おかげで死体を始末する手間が増えたな。金になる物も増えたからいいが」


 街からも街道からも近く、他の人に見られると面倒なので、二人は素早く装備を剥ぎ取り、収納袋にしまいます。


 死体は魔法で掘った穴にまとめて入れ、燃やしてしまいました。


「さて、取るもん取ったし、アジトを探すか」


「でも、どうやって探します?しらみ潰しに探すのも骨が折れますよ?」


「そうだな……、よし、あちらから来て貰うことにしよう」


「どうやるんですか?」


「収納袋にでかい背嚢が入っているだろ?それに適当に物詰めて、それっぽくして背負ってれば、勝手にあっちから来てくれるだろ」


「まぁものは試しですね」


 二人は背嚢を背負って街道を歩き出しました。パンパンに膨らんではいるが、中身は紙や綿なので軽いものです。

 後はうまく獲物が餌に食い付くか、待つのみです。






 二十分程街道を歩いていると、お目当ての盗賊たち(哀れなカモ)がやってきました。

 

「おい!てめぇら!命が惜しかったら荷物と有り金全部を…『パシュッ』………え?」


「おー、やっときた。待ちわびてたんだよ?『パシュッ』」


「レディを待たせちゃいけないって、習いませんでした?『パシュッ パシュッ』」


「えっ……え?」


 二人は喋りながらも、盗賊のリーダー格以外の盗賊の脚を撃ち抜いていきました。

 いくら脚とはいっても傷は深く、放って置けば失血死するでしょうが。


 リーダー格の盗賊も、驚いている隙にあっさりと捕らえられてしまいました。


「さて、アジトの場所を吐いて貰おうか」


「だっ、誰が吐くか!ば、化け物め!」


「化け物とは失礼だな、れっきとした人間だぞ? ――クローデ」


「悪い子にはお仕置きしましょうね~。 大丈夫ですよ、ちょっと激痛が走るだけですから」


 そういうとクローデは、ナイフで器用に指の爪を剥いでいきます。


「ああ、ああぁぁあああああアアァァア!!」


「どうだ?話す気になったか?」


 その間にも、クローデは次々に爪を剥いでいきました。

 一枚、二枚、三枚と剥がされる盗賊の爪。まわりの盗賊の顔も青ざめていくのは血が抜けていくからか、それとも恐怖か。


「ぐうぅううっ! 話すわけにはっ!はぁ、いかないっ!! ぐぁああぁああ!!」


「早く話さないと、次はどこでしょうね?」


 クローデが足の爪を剥ぎながら言います。


「わかった、話すから、話すから止めてくれぇっ!」


 リーダー格の男が、泣きながら懇願してきます。

 しかし、その決死の努力も虚しく、


「ん?よく聞こえないなぁ~?」


 カークは腰のホルスターから、基本緊急用に持っているリボルバーを抜き、『バァン!』という音を響かせながら男の腕を撃ち抜きます。

 痛みと、爆音に対する恐怖が盗賊を襲いました。


「ああああああああぁぁぁああアアアアアア!!」


 男は大きな悲鳴をあげて、命乞いを始めます。


「お願いだっ!もうやめてくれっ!知ってること全部話すからっ!助けてくれっ!!」


「おっと、そこまで言うのなら良いだろう。ただし、嘘をついたら――分かっているな?」


「ああ!正直に話すから!助けてくれぇっ!!」


 カークは悪魔のような微笑みで言い、男は必死に命乞いをします。


「まず、お前らのアジトはどこだ?」


「こ、ここから北西に進んで、十分程行った所だ!」


「次に、お前たちは何人ぐらいで活動していた?」


「おっ、俺たちを合わせて二十人ぐらいだ!」


 男が、泣きながら震えた声で答えました。


「最後に、金目の物はアジトにどれくらいある?」


「け、結構あるはずだ、全部売れば金貨三枚ぐらいにはなるはずだっ!」


「そうか、協力ありがとうな。――クローデ」


 カークがそういうと、クローデが、他の盗賊たちを射殺しはじめました。


「な、なんでだよ!助けてくれるんじゃ、なかったのかよっ!!」


 男が必死の表情で訴えますが、


「ああ、助けてやるさ、――苦しみからな」


「あ……」


 カークは、絶望と涙を浮かべている男の頭を撃ち抜きました。


「こっちも終わりましたよ、所長」


「よし、さっきと同じように、装備を剥いで、燃やすぞ」


「わかりました」


 盗賊たちもストーレクたちと同じように装備を剥がれ、魔法で掘った穴に入れられ、燃やされます。


「お、中々良い防具持ってますね。これ、売れば銀貨1~2枚ぐらいはするんじゃないでしょうか?所長」


「お、そいつはいいな、中々の収穫だ」


 高く売れそうな物を見つけると一喜しながら、二人は死体の処理をしていきました。


 数分後、その場所は血の痕も消され、数人の灯火が消えたとは思えない程になっていました。


「よし、アジトに向かうか」


「ええ、たくさん収穫があるといいですね」


 二人にとって天国の、盗賊にとって地獄の時間は刻々と近づいていました。


追記 リボルバーの描写を変更。

基本非常用で腰に付けてるように変更

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