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果てなき刻の旅人  作者: 鷹鴉
第零章 "Endless traveler"
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四話 探求の旅

    山の恵亭(やまのめぐみてい)


 他の宿屋よりも少し高いですが、一般的な宿の中では、他よりも豪華な宿です。


 宿の名前の通り、一階の食堂で山菜や木の実を使った料理を出していて、それらの料理はこの宿の人気料理の一つになっています。 無論、他の料理も美味しいですが。


 既に日は傾き、夕焼けが見えていました。夕方の六時ぐらいでしょうか。その宿の一階にある受付の前に、カークとクローデはいました。


「すいませーん、宿泊したいのですがー!」


 受付に人は立っていませんが、カークが呼ぶと奥から「はーい!」という返事と共に女性がやってきました。


 よほど忙しい時でもないかぎり、どこの宿もずっと受付に人が立つことはありません。人員の無駄遣いになるからでしょう。


「はーい!宿泊ですね! 部屋を二つ取るなら二人分で大銅貨六枚、部屋を一つなら大銅貨四枚ですが、どうします?」


 部屋には、ベッドが一つの部屋と、複数ある部屋があり、複数ある部屋は一部屋あたりが少し高くなります。なので大銅貨4枚なのです。


 男女で泊まる際は部屋をわけることが多いです。ただし、恋仲だったり、お金が無かったりする場合は、同じ部屋に泊まることも少なくありません。ただ――、


「では一つでお願いしますね」


 クローデが答えました。

 ただ、二人の場合は何かあったときにいちいち部屋が違うと面倒臭いから、なのですが。


 その日は、もう夜になりそうだったので、夕食をとってから部屋に入ることにしました。


「美味しいですねここの料理。山の恵亭という名前なだけはありますね」


「ああ、やっぱこいつの天ぷらはうまいな。スープも味がしっかりしてる」


 ちょうど季節が春頃だったため、タラの芽の天ぷらや、タケノコステーキなどを、二人は食べていました。スープも、味付けに頼りきらず素材の味がでていて、美味しく仕上がっています。


「この宿で正解でしたね、所長」


「ああ、そうだな」


 楽しそうな様子で、料理の味を楽しんでいるようでした。


 食事を終わらせた二人は、代金として大銅貨二枚程を支払い、部屋に入っていきました。



 部屋の中で、カークとクローデはくつろいでいました。


「ぱっと見た所、やはり大きくは変わってないな、世の中は」


「そうなんですか所長? 私には比較するものがあまりないのでよくわかりませんが」


「ああ。みた限りこれといった技術革新も起こっていないし、魔法への認識も変わっていないようだ」


 カークは、腕を頭の後ろで組み、ベッドに寝転がっていました。

 クローデも、もう一つのベッドに腰掛けていました。


「魔法には、炎、水、雷、土、風、氷、闇、光、治癒の九つの属性がある――、と、いうのが、この世界での魔法に対する"認識" または"思い込み"だというのは前に言ったな?」


「それはもう、散々魔法の練習の時に言われましたね」


「実際には、氷は水の応用だし、闇だって光の一種だ。それに、究極まで突き詰めれば、種類は三つしかない」


「たしか、炎雷光と、水風土光と、治療の三つに分けることができるんでしたよね?」


「お、良く覚えてたな。一つめはエネルギー、現象を魔力を糧に"発生"させるもの、二つめは、物質を魔力を糧に"操作"するもの、三つめは、傷の再生を魔力を糧に"大幅に促進する"するものという違いがあるんだ」


「でも"光属性"って発生と操作の両方に入ってますよね?」


「そいつはちょっと複雑なんだが。光属性が、一つめの使い方だと、一般的には光魔法と、二つめの使い方だと、一般的には闇魔法と言われてる。光属性がなんで両方できるのかは、俺にも分からんがな」


 カークが大きく伸びをしました。


「三つめが治癒だけですか。傷や軽い毒を治すことはできますが、欠損した部位の再生や、病気の治療はできないんでしたね」


「ま、仕組みを知ってても無理なものは無理なのさ。あと、多分詠唱への認識も変わっていないだろうな」


「"イメージの補助"ですね。ただ詠唱するだけでは意味が無い。ちゃんと結果をイメージしないとうまく魔法が使えませんからね」


「相当前だが、何をイメージしたのか、"ファイア・ボール"で爆発を起こした"天才"を見たことがあるな」


「………。それ、"天才"じゃなくて"天災"ですよね?」


「そうとも言う」


 クローデが、苦笑いして、勢い良くベッドに寝転がろうとして――


「痛ぁっ!?」


 ヘッドボードに頭をぶつけました。


「………。何やっているんだ。お笑いならちゃんとした舞台でやった方がいいぞ?」


「違いますよ! ああ……、痛い……。頭がヒリヒリする……」


「はいはい。氷があるから、氷を布にくるんで冷やしとけ」


「うう……、ありがとうございます所長……。痛い……」


 クローデは苦悶の表情の中、布にくるんだ氷を受け取り、頭に当てました。

 見ていたカークは、思わず苦笑いをしていました。


 しばらく経って、クローデの痛みも収まって来た頃。氷を頭に乗せたままクローデが口を開きました。


「急に話は戻りますけど、結局ほとんど魔法は使ってませんよね」


「ほら、アレだ。なんか銃を使いたくなる"ロマン"ってやつさ」


「"ロマン"ですか。私にはよく分かりませんが。美味しい物を食べられればそれでいいって思ってますし」


「まぁ、色んな土地の料理も旅の楽しみだな」


 なんだかんだでこの二人、特に旅の目的は無いようです。むしろ、旅をする事自体を楽しんでいる様にも見えます。


「ふぁああ……。もう寝ません?外も真っ暗ですし。まだ少し痛いですけど」


「そうだな、そろそろ寝るとするか」


 夜にも深くなってきた頃、疲れているらしい二人は、もうその日は寝ることにしました。




読んで下さりありがとうございます。


魔法の設定、多いです。


追記 細かい所を修正。主に魔法関連を修正


追記おかわり 後半をだいぶ、結構、かなり書き換えました。

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