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果てなき刻の旅人  作者: 鷹鴉
第零章 "Endless traveler"
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二話 馬車の旅

 広い草原の中を、一台の馬車が走っています。

 馬車の中には荷物はあまり無く、とても商品を売りにいく様子ではありません。

 代わりに中では負傷した護衛、ライル、オリバー、そして所長とクローデが乗っていました。


「怪我人の治療までしていただけるとは……。感謝してもしきれませんよ」

「しかしあんた、治療魔法まで使えるとはな……しかも無詠唱で。驚いたぜ」


 所長は怪我をした護衛に魔法を掛けていました。


 この世界には魔法が存在していて、属性が 炎、水、雷、氷、土、風、闇、光、治療の九つに分かれています。


 人によってそれぞれの属性の適性があり、炎、水の適性持ちは比較的多いが、闇、光、治療の適性持ちはかなり希少なのです。


 発動方法には呪文を詠唱するやりかたと、詠唱しない無詠唱の二つが存在します。

 無詠唱で発動するにはかなり熟練の魔術師でないと出来ません。



「そういえばですけど、どうして騎馬相手に逃げていたんですか? 普通すぐ追い付かれるから戦うと思いますが?」


「あー………、それはああいった経験が少なくてだな…… それに魔物に襲われた後で怪我人もいたんだ」


 この世界には魔物が存在します。

 魔石を持った敵対する生物全般を魔物と呼んでいるのです。

 どうやら彼らは"ゴブリン"と呼ばれる魔物に出会ったようでした。


 ゴブリンといえばザコの代名詞だと思うかもしれませんが、ゴブリンには、武具を扱う知能があるせいで、そこまで強くはありませんが油断してはならない敵です。


 ゴブリンによる犠牲者もかなり多いようです。


「とりあえず盗賊から逃げてみて、追い付かれなかったからって少し調子乗ってたんですよ……」


「ま、結果的に助かったわけだがな」


 この二人に見つかった……、というか、この青年に目を付けられたと言うべきかはわかりませんが、彼らはかなり幸運だったと言えるでしょう。


「そういえばあんたのこと、何て呼べばいいか? そういつまでも"あんた"じゃ変だしな」


「むーん……いつも"所長"としか呼ばれてないからな……。そうだな。俺のことは『カーク』とでも呼んでくれ。」


「ああ、わかった。カークだな?」


「そういえばですけど、アインファルクまではどのくらいかかります?」


「ここからだと……この馬車でだいたい三日ってところですかね。」


「以外と近いんですね」


 基本的に馬車の速さは人が歩く速度と変わりません。


 全速力で走ったら馬への負担も大きい上に、そんなことしようものなら基本、外にいる護衛にぶちギレられる未来が一般人でも見えるので当然ではあるでしょうが。


 結局今日は、これ以上は特に何事もなく、野営の時間となりました。


「……あんた達……どこから取り出したんだよその燃料…… 結構集めるの大変なんだぞ?焚き火の燃料って……」

「この草原のどこから枯れ枝を持ってくるんですか……」


 ……前言撤回、何事かはまだありました。


 カークがどこからともなく取り出した焚き火の燃料を見て呆れるライル達が護衛ととオリバー。

カーク達は、特に荷物も持っていない上に、ここは木が少ない草原なのだから当然の反応と言えるでしょう。


「あんたらも名前位は聞いたことあるだろ?"収納袋"だよ。」


「なんで持ってるんだよ……それ中堅の商人ぐらいじゃないと買えない程高いんだぜ……?」


「こいつのおかげでほとんど金を持ってないんだ。――なんなら魔法で火もつけてやろうか?」


「……もうあなた達が何しても驚きませんよ……、引き出し多すぎでしょう……」

 

 収納袋は金貨数十枚~数百枚もする代物であり、見た目よりもはるかに多くの荷物を入れることができます。

 そして、高い物ほどより多くの荷物を入れることができます。


 さらに、中ではほとんど時間が経過しないため、商人にとっては喉から手が三本出るほど欲しい逸品です。


 大きさも、背嚢サイズから巾着袋サイズまで存在していて、二人はポーチ型のものをベルトに着けていました。


 ――今さらですが、通貨について説明しましょう。通貨は、銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨に分かれていて、十枚で一つ上の通貨と同じ価値になっています。


 通貨の中心には穴が開いていて、紐が通せるように作られています。


 あまりジャラジャラしているとうるさいし数えにくい、という理由で穴が開けられるようになりました。


 大○貨は、○貨に比べてやや大きいのと、刻まれた模様が少し凝っているのが特徴となっています。


 わかりやすく例えると銅貨一枚が約百円程です。

 

 もっとも、二人の持っている収納袋はカークが作った物なので、お金はあまり関係ないですが。


「ちなみに俺の家は、荷物は散らばっていないが、代わりに引き出しが一面にあったな。」


「所長の家は整頓されているのか、散らかっているのかよくわからないんですよ。」


「潔癖症の奴も言葉に困るわそんなの! どう反応すればいいのかわからん……」


 世界中探してもそんなところに住んでいたのはカークぐらいでしょう。 むしろいたら困るところです。早くどうにかして欲しいところです。


「……何だか今日は違うところで疲れた気がします…… 早くご飯食べて寝ましょう……」


 オリバーの疲れも当然でしょう。


 ちなみに、カーク達の持つ保存食に関しては(見た目は)普通の保存食であったおかげで、特に騒ぎにはなりませんでした。


 ただ、味に大きなの違いがあるので、もしオリバー達が食べていたら結果は違っていたことが容易に想像できます。


 そしてその日は順番に見張りを立て、眠ることとなりました。


二話目です。

ネタが尽きないか早速心配に……


追記 魔法の属性に土を追加

更に追記 風を追加、文の一部を変更。


追記 細かい所を修正

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