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異界大戦 ~異世界転移は戦車と共に~  作者: 初鰹
青眼の少女~ミファーナ大平原~
9/29

出会いはパンと共に

すみません、テスト勉強でして遅れてしまいました。


あの馬車はなんだ、盗賊が盗んだものでもいれるのか? だとしたら馬がうるさい気がするんだが……


魔法か何かで音を消したのかもしれない、いや、今考えてもしかたないな。

とりあえず中を確認するか。


「よいしょっと………ん?」


中を見ると……青髪の少女がよこたわっていた。








「えっ……おい、大丈夫か」


とりあえず声をかけるが返事はない、ただの屍のようだ。


……冗談はおいといて本当に大丈夫か?

近寄って確認すると、意識はなく、手足は縛られている。

体にもたくさんの傷があるが、幸い呼吸はしているようだ。


念の為手足の縄はそのままにしておき、床の上からテントの寝袋の上に移す。

情報の収集にもなりそうだし、早く目を覚ますといいが……



少女が目覚めるのを待つ間、馬車の探索をおこなう。


「おっ……」


馬車の中に大量のパンらしき物を見つけた。

毒があるかもしれないが、ここ最近何も口に入れていないので、反射的に頬張ってしまった。

十五個程食べた所で腹は膨れたので、アイテムボックスにパンを五十個程しまう。

飲み物は軍服召還時の水筒に入っている水を飲んでいるのだが、もうすぐなくなりそうなのでこちらも補給したい。

……俺の方が盗賊紛いの事をしているようだに感じるが、まぁ気のせいだろう。





「んっ……」


おっ……目を覚ましたか。


「此処……どこ?」


「起きたみたいだな」


「っ!?」


少女は驚いたように飛び退くと、震えながらこちらを見る。

言葉を選び間違えたか、いやどのみちこの反応だろう。


「安心しろ、俺は君に害は加えない」


とは言っても信用される訳ないか。


「これ、いるか」


少女は痩せこけていて栄養が明らかに足りない様子だ、食べ物をあたえられていなかったのだろう。

そんな安易な考えのもと、アイテムボックスから先ほど拝借(盗んだ)したパンを与える。

少女はパンを手に取るも、警戒しているのか食べようとしない。


「あなたは……だれ……?」


「俺か? 俺は……通りすがりの旅人ってとこだ、馬車の中で倒れてたお前をつれてきた」


「私が……怖くないの?」


なぜ? 何か理由があるのだろう、面倒ごとに首を突っ込むのは嫌だが。


「いや全然」


「なん……で?」


「なんでと言われても困るんだが」


「もしかして……私を……助けてくれたの?」

 

人身売買でもあるのかこの世界は……いや、あってもおかしくないか。


「お前がそう思うならそういう事になると思うが」


「あなたは……私を売らないの?」

 

「売らない」


そう答えると少女はパンをついばむように食べ始めた。


徐々に涙を目にためて、


「助けてくれて……あり、がとうっ……」


涙を流しながら、それでいて笑みを浮かべながら、 そう言った。










情報目的だった俺の良心が痛む……

ようやくヒロイン登場……

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