激戦は盗賊と共に☆
少し長めです。
*第一次修正作戦完了済み。
「平原にはでたが……街道も何もないってどうしたらいいのだろうか」
おかしいな、テンプレならば街道か何かありそうなのだが。
はぁ……仕方ないので歩く事にする。
しばらく歩くと、空が暗くなってきた。
このまま平原で野宿だろうか?
正直野営はつらいので、もう少し歩いてみる事にした。
それから一時間程歩くと、暗がりの中に草のはげた道らしきものが見える。
街道だろうか?
気になって小走りで近寄り確認する。
極めてがさつなつくりだが、街道だと判断できそうな程の道幅があった。
このまま街道に沿って歩こうかと考えてたが、流石に夜道を歩くのは危険なので、ここで寝ることにした。
サッ……
「ん……朝か?」
辺りを見るとまだ暗い。
シャ……シャ……
「っ……」
音によって何かがこのテントを囲うように動いている事が分かる。
――スキル『絶対音感』を取得しました。
熟睡していて意識がハッキリしないが、気配察知により敵性反応の接近が分かる。
正直二日連続で夜襲をうけるのは辛いな……つくづく早く町にいきたい。
耳を研ぎ澄まして音を探ると、人の話声が聞こえる、盗賊か何かだろうか?
「っ!?」
風切り音と共に軍用テントに矢が刺さる、明らな攻撃だと判断し、戦闘をおこなう事にする。
この世界初めての人との出会いは……はぁ……。
相手は人……だが躊躇している暇はない、やらなければ……やられる。
昨日のようにM19 を手にとり、戦闘準備を整える。
敵の位置は前方、後方、右、左、右後方に左前方だ、数ではこちらが圧倒的に不利、矢が飛んできた方向から推測すると、相手の右側の敵は弓を持っているようだ。
他に弓を持った敵がいないとも限らないが、いたらさっき右の敵と同時に矢を放つだろう。
今回は敵の数が多いので撃った弾をすべて一撃必殺の箇所に当てなければ勝率は一気に下がる。
「よし……」
まず、前方の敵を撃つ。
「グァッ!」
けたたましい発砲音と共に人が倒れる。
確実に殺した、だが戦闘中で興奮状態の為か罪悪感はない。
次に右、そしてテントの右に回って後方を射撃する。
「なんっ!?」
「グヘァッ!」
さらに発砲音、音よりも速く二人の命を奪う。
相手が混乱状態であるうちに敵を撃つ。
テントの裏から左を……いや左前方の敵が迫っている、そちらから撃つ事にする。
「わあぁぁぁぁっ!よくもテメェッ!」
左も剣 を振り上げ迫っているが、もう遅い。
「かっ……」
相棒からはなたれるマグナム弾がさらに人の命を散らしていく。
これであと一人、左に狙いを定め射撃する。
しかし──
「くそっ、はずしたっ。」
敵は俺を剣の攻撃範囲にとらえると、剣を高速で縦に振りおろしてきた、それを右足を引き身体をずらすことで避けるが剣は横に切り返される、後ろに飛び退く事で何とか避けるものの、尻餅をつく姿勢になってしまい大きな隙ができてしまう、俺はとっさに銃口を敵に向け、剣をうける。
「おらぁぁぁぁっ!」
俺は大声をあげる事で相手を怯ませ、力が抜けた隙を突くことで銃で剣をずらしながら懐を抜け、そのまま敵から大きく離れ後ろにつけると、メニューを開いてリロードをおこなう。
敵は振り向きざまに剣をはらってくるが既に剣の攻撃範囲からは大きく離れている。
目測約10メートル、ここから先は…… 相棒の射程だ。
「っ?!」
銃口から離れた弾丸は相手の喉をぶち抜いた。
危機に陥った事による極度の緊張がとけると、俺は糸が切れたように地に腰をおろした。
「うっ……」
落ち着いてくると吐き気が襲ってきた、殺す必要までなかったのではないか? などという思いが頭をよぎる。
だがそんな事を気にしている余裕はない、血の匂いにつられて獣に襲われると危険だ。
何よりここは異世界だ、人の命の価値は恐らく高くはないだろう。
離れようと腰をあげると、右前方に馬車がとまっていた。