初クエストは超視力と共に
すみません! 時間を大きくあけてしまいました!
更新再開します。
「すみませんすみませんすみませんっ!」
「いや……別になんの迷惑もかけられて無いし、別に気にしなくて良いけど……」
さっきから何度も謝ってくるのは、目を覚ましたリンである。
寝ぼけていたリンは食事中に覚醒。寝ぼけいた事を恥じているのか、さっきからこの調子だ。
こちらとしてはなんの迷惑もかけられてはいないし、何も気にする事は無いんだが……。
「本当に……許していただけますか?」
「別に怒っていないから、気にしなくて良いって。まぁ……可愛かったしな」
「かっ、かわっ……」
あ……。
俺は……何を言っているんだ?
たぶん、俺も寝ぼけていたのだろう。そうに違いない。うん。
リンは先ほどから赤くなって固まっている……こうなったら復活するまで、暫く放っておくしかないか。
前に弁当を食べていた時に分かった事だが、リンは誉められるとすぐ赤くなって固まるようだ。
俺はリンが再起動するのを待って、冒険者ギルドへとむかった。
それから暫く、俺達は初クエストに【シェーヴル草の採集】を受けてきた。
シェーヴル草がなんなのかは全く分からないが、簡単で危険度の低そうなクエストだ。
カウンターでオススメされたので、安全性が高い……筈だ。
草についてはまぁ、グランに聞けばいいだろう。
……最近グランに頼ってばかりだな。
昨日と同じ道を暫く歩くと、グランのいた門が見えてきた。
今日はいるのだろうか……いなかったらどうしようもないが……。
「さて、グランはいるか?」
リンに聞いてみる。と言っても、まだ人も確認できない距離だ。
もしかしたらわかるかも……と思ったが、流石に無理があるか?
リンは目を大きく見開き、門の方をじっと見ている。かなり集中しているようだ。
おかげで真っ直ぐ歩けていないので、肩を支えてなんとか真っ直ぐ歩かせる。
「あっ、グランさんが見つかりました!!」
「本当か!? 俺には遠くに門がある事しか分かんないけど……」
俺には人影すら見えない……目がいいどころの話じゃないぞ?
「本当です、信じてください! 生まれつき目だけは良いんです!」
「へ、へぇ……凄いな」
「いえ…一日に何回か目を凝らすと、あまり遠くが見えなくなってしまいますし……」
「いや、それでも凄いよ」
正直凄すぎる……魔法か何かだろうか?
なんか周囲の人がこっち見てるし……軍服で歩いてたらそりゃ珍しいか。
「おっ、やっぱり今日もきたお前ら!」
「ああ、シェーヴル草の採集クエストを受けてきた」
「あー、やっぱりか……」
,
あれ、この反応……まずったか? 何も知らない新人に難しいクエストを受けさせるみたいな?
……でもそれじゃギルドに利点が無いよな?
詳しく聞くと、
「いや、別に危険じゃねぇけどな。数が少なくて探すのが面倒なんだ……」
との事だ。
なるほど、面倒で誰も受けないクエストを受けさせると……確かに合理的だ。
合理的だが……素晴らしくセコいな。
「はぁ……でも採りに行くしかないからな。どんなのだか教えてくれ」
「ああ、それは分かったが、本でも買った方が良いぜ。良い店知ってるから教えてやる」
本か……魔法の本もあるかな。
グランは良い情報を沢山持ってんな……ここに長く住んでるのだろうか?
「おおっ、ありがとなグラン……それともう一つ、俺に剣術を教えてくれないか?」
「い、いや……素手で十分だろ……それに俺は好き勝手に剣振ってるだけで、教えられる事は何も無いしな」
好き勝手に振ってるだけであれかよ……。
思わず苦笑いしていると、袖がクイクイ引っ張られた。
横目で見ると、頬を膨らませてリンがむくれている。確かにもうそろそろクエストにいった方がいいかな?
「分かった、じゃあもう行くから、戻ってきたら店の紹介頼む」
「へいへい……あっ、シェーヴル草はこの門から南に行った林にある、黄色い花を囲うようにグルグル草が巻いてる奴だ。迷子になるなよ、嬢ちゃんに迷惑かけねぇようにな!」
「流石に迷子にはならないから安心しろ!」
「ふふっ……グランさんっ、ありがとうございました!」
ふぅ……よし、初クエスト頑張るとしますか!




