ギルドカードはパンフレットと共に
「それでは、まずは冒険者ギルドについてご説明しますね」
眼鏡お姉さんの完璧な営業スマイルに感心しながら話を聞く。
「我が王国国営冒険者ギルドでは、冒険者はギルドカード色によってクラスが分けられています。
低いクラスから順に、赤、青、黄、緑、銅、鉄、金、そして王国に一人だけ存在する、銀の七つのクラスが存在します」
最高クラスが銀? こっちでは金より銀の方が貴重なのかもしれない。
「依頼を受ける際は、カウンターに向かって右手に見えるクエストボードにて、クエストを選択し、カウンターでクエストの受領を行ってください。クエスト達成時もカウンターにて、報告をお願いします。
また、ギルドを利用する上でのルールは、別途配布するパンフレットをお読みください。
なお、クエスト中に死亡されたさいには、当ギルドは一切責任を負いませんので、ご了承ください」
掲示板からクエストを選んで、カウンターに持ってくれば良いわけか。
冒険者が死亡したさいもギルドは責任をとらないのか……まぁ当たり前と言ったら当たり前なのだが。
「なお、クエスト非達成、リタイアの際には、お金をお支払い頂く事もありますので、お気をつけください。
クエストの失敗が続く場合、百日以上カードの更新にこなかった場合は、クラスを降格させて頂きます」
うーん、安易にクエストを受けることはできないって事か……クエストを受ける時は気をつけないとな。
カードの更新とはどういう事だろうか、まぁ、すぐに説明してくれるだろうが。
「次にギルドカードの説明に入ります。
ギルドカードは身分証明書としての役割と、討伐記録をとる役割を持ちます。
クエストの報告や、素材の売却時には必ずカウンターに見せてください。
また、ギルドカードは定期的に更新を行い、カードに刻まれた魔法陣の回復、情報更新などを行います。
百日以上更新せずにいた場合は失効となり、再発行が必要となりますので、お気をつけください」
ギルドカードは定期的に更新しないといけないのか、免許証の更新みたいなものだろう。
まぁ、免許をとった事は無いのだが……。
「説明はこれで以上です、質問がありましたら、カウンターにてお聞きください。
それでは、良い冒険者ライフを」
最後まで噛まずに、笑顔をたやさず説明しきるとは……アナウンサーになったら活躍しそうだ。
それにしても、無料とは随分気前が良いもんだな、てっきり登録料でもとられると思っていたが。
彼女からギルドカードとパンフレットを貰い、冒険者登録が完了した。
今日はもう遅いし、他にギルドに用も無いので、宿に戻るとするか。
「よし、宿に戻るか」
「はい! 分かりました」
それにしても、もう夕方だというのに……何が楽しくてこんなに騒いでんだろうか。
ま、どうでも──「っ!?」
さっきと同じ気配……どこだ!
周囲を見回すと、ギルドの正面扉が開かれる。
何か……来る!
「あ、リューナさんですか?」
ショートで落ち着いた銀髪……ってルシアか?




