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異界大戦 ~異世界転移は戦車と共に~  作者: 初鰹
冒険者達の集い~王都アルセイユ~
24/29

模擬戦は護身術と共に

久しぶりの戦闘ですが……銃を使用しません。


愚痴をなんとか振り切り、グランのいる門が見えた頃には、すでに日が落ち始めていた。

もうちょっと早く起きれば良かったな。


「おーい、グラン! いるか!」


「おっ、早速相談か、リューナ?」



グランが手を振っている。。


「ああ、冒険者になるにはどうしたらいいかを聞きたいんだが」


「冒険者か……腕に自信は?」


「まぁ、ある」


「まぁ……か。不安だな」


確かに……まぁ、じゃダメか。


「実戦経験はあるから、大丈夫だと思うが」


「うーん……よし、俺と模擬戦をしようか!」


模擬戦か……いやダメだ、銃は一撃必殺だ。銃が使えないとなると護身術しかない。


「いや、俺の武器は殺傷性が高すぎる」


「いや、それじゃダメだ。殺しちゃいけないって場面もあるかもしれないぞ?」


うっ……確かにそうだな、やってみるか。


「分かった」


「おう! じゃ、早速ここで始めようぜ……武器はあるか?」


「いや、いらない」


グランは一瞬訝しげな顔をするが、すぐに真剣な顔になり、鞘に納められたままの剣が向けられる。


「リューナ様……怪我しないで、くださいね?」


心配そうにリンが見つめてくる。

まぁ、可愛い子にそう言われちゃ、頑張るしかないだろう。


俺は護身術の構えをとる。


「よし……いくぞ」


──『戦闘狂(バーサーカー)の卵』発動──



「お、おうっ!」


まず、オレ流護身術の目的は、相手に怪我を負わせて逃げる事だ。

人間の弱点で、特に狙いやすい所は、目、耳、鼻、首、股関節、膝裏、スネなどだ。

まずは相手の視界を目掛けて攻撃する。それと、回避に五感の殆どを使う事だ。

グランにむかって一直線に駆け出し、大きく手を振り上げた。

「うおぉぉぉぉ!」

そこでグランの剣が手首に迫る、だがこれは囮、すぐに引いて回避する。本命は足蹴だ。

グランの右スネを目掛けて蹴り上げる。

「ぐっ……」

よし、狙い通り──「うおりゃぁぁぁ!!」上段──返された斬激をしゃがんで避ける。

速えぇぇ……切り返しにしては速すぎるだろ!? なんとか避けたが、グランの剣の技量は相当なようだな。

だったら「りゃゃゃあああ!」右か──左足を下げ、縦の斬激を避ける。

危なっ……考える前に下がろう、あれに当たったら只じゃすまなさそうだ。

横っ飛びでもう一太刀避けると、後ろに飛び退く。

──『死線予測』を習得しました──

「お前……やるじゃねぇか!」

「ありがとグラン……お前も、門番にしては強すぎるだろ」

俺は常人の三倍の身体能力らしいが、あの剣速はやばいだろう。

「へへっ、これでも俺は元Cランク冒険者だからな」

つまり、今の俺はCランク冒険者と互角か……戦闘経験の浅い俺で此処まで戦える理由。

それはやはり、常人の三倍の身体能力が理由だろう。

頭部を動かす事で相手のバランス感覚を奪う【頭点移動】を利用して攻撃するか。

──アクティブスキル『思考加速』を習得、『支点移動』を回復しました──

そのためには懐に下から入り込む必要がある。グランが上段突きをするように仕向けられるか。

「うおりゃあぁぁ!」下段払い──垂直飛びで回避する。

今度はグランから来たか……考える時間を与えなければ勝てると踏んだわけか。

だがこの勝負──俺の勝ちだ。

〔護身術は守る技術〕護身術部のスローガンだ。

「うらぁぁぁ!」右払い──これをわざと後ろに避ける。

距離をとれば相手が突きを行う可能性が高くなる。

「おりゃぁぁぁぁ!!」よし、突きだ──顔を横に逸らして回避する。

懐に入り込む。とった!

「はぁっ!」右手でグランの顎に掌底を放ち、寸での所で止める。

この勝負、俺の勝ちのようだ。





……ってなんで戦ってたんだ、俺?



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