お食事は三人組と共に
部屋に入ると、村とは比べるべくもないほど綺麗だった。
ベッドはちゃんとツインだ。ひとまず安心した。
俺とリンは一休みした後、最低限の荷物だけを持ち、エントランス? へむかった。
おりてみると、酒場のような雰囲気で、人々が何十かの円卓を囲って食事をしていた。
「うわぁっ……すごい賑やかですね!」
「確かに、賑やかだな……」
リンは賑やかなのが嬉しいようだが、俺はうるさいのが好きではない。
部屋でゆっくり……いや、リンが喜んでいるのだ。我慢してもいいかな。
「あっ、お待ちしておりました!」
タヌミミの少女が案内してくれた席に座ると、同じ円卓に三人程先客がいた。
「はぁ~、もう嫌だぁ……」
「男のクセにだらしねぇな!」
「俺にはあんたが女だって、いまだに信じられないんだが」
「あぁ? 俺はどこからどうみても乙女だろうが!?」
「いや、あんたはどっちかと言うと漢女だろう」
「そうだよ……そもそもなんで僕が盾なのさ、そして、なんでレイナが回復なのさ」
「ルシアッ、てめぇは女に前線をやらせるってのか!?」
「ひぃぃ!? すみませんすみません! 謝るから頭潰さないで!? 助けてキーアさん!」
「……どんだけ払う?」
「鬼いぃぃぃぃ!」
……うるせぇ。食事中は静かにしろや。
「リ、リューナさん? 顔が怖いです!?」
「あ、悪い。取り乱した」
「私、何かリューナさんの気に障る事でも……」
「いや、違う! リンは何も悪くないから!」
「ほ、本当ですか?」
「ああ」
それでも不安そうな表情をしているリン。
はぁ……だから騒がしいのは嫌いだ。
「お待たせしました! お食事になります」
そうこうしているうちに、俺とリンの食事がでてきた。
「おっ、きたか」
「お、美味しそうですっ!」
内容は、パンと牛乳、骨付きの鶏肉のようなものと……ブロッコリーみたいな野菜だ。
中世の食事ってこんなのだったっけ? と思いながら口にはこぶ。
「うーん、まぁま「美味しい!」ウン、オイシイデスネー」
リンは美味しそうに次々とパンを頬張っている。リスみたいだ。
正直、肉は脂っこいし、パンは固いし……日本の食べ物に比べると、決して旨くはないが。
俺達が食べていると、俺の顔面に牛乳が飛んできた。
「プッハハハッ! 笑わせるな自称漢女野郎」
「ククッ……俺は乙女だ!? 漢女じゃねえ!」
……はぁ。
そんなのどうでも良いからさぁ。
「リューナ……様?」
少しは……。
「落ち着いて飯食えねぇのかてめぇらあぁぁぁぁ!!」
「ひぃぃぃぃぃ!? 僕は何もしてません!?」
あ、怒鳴る方向間違えた。
だが、流石に怒鳴り声には気づいたようで……
「あ……悪い、迷惑かけた」
「ご、ごめんな! うちの男どもが!」
「いや、お前もだろ」
はぁぁ……ま、とりあえず謝罪の言葉を頂いたので良しとする。
その三人はすぐに飯を平らげ、部屋へ戻っていった。
そして俺が食い始めると、周りから「あの坊主怖えぇ……」「あの、剣臣の団を黙らせたぞ……」などと聞こえてきた。
ん? 何やら凄い奴らなのか……だとしたら失敗したかもな……
「リューナ様は……マナーに厳しいのですね」
「ん、そうか?」
なぜかさっきからリンが怯えている。
誰だリンを怖がらせた奴! ギッチョンギッチョンにしてやる!
……って俺か?
あと流石にギッチョンギッチョンは無いわぁ……。




