宿屋は○耳と共に
門でグランと話した後、グランに書いて貰った地図の通りに【狸の里亭】へとむかう。
地図が正しければ、もう一つの門を抜けて、【アルセイユ武具店】の角をまがればいいはずだ。
「それにしても広いな、流石は王都、といったところか」
スラムのような街を抜け、二つ目の門を潜る。すると、先程より街並みが大分豪華になった。
大通りのような広い道の左右には、様々な家らしき建物が建っている。
住宅街か何かだろうか? そういや、いとこもこんな街に住んでたっけ。
「そうですね、私もこんなに大きな街は初めてです!」
リンは物珍しそうに街を眺めている。
「ふーん、リンの故郷はどんな所なんだ?」
「凄くいい所ですよ! みんな優しいですし、自然も多くて、何より強いんです!」
へぇ、いい所なんだな……ん?
「つ、強いのか?」
「はい! 私の父上はたった一人で国を滅ぼしたんです!」
結構物騒だな……
てか国を一人で滅ぼすとか、リンの父さんって何者なんだよ!?
「えへへ……あ、このお店の角を左ですよね?」
顔を赤くして照れているが、素直に可愛いと思えない。
怖いよ異世界、本当怖いよ。
そうこうしているうちに、武具店についたようだ。
「ああ、この先だから……あれかな?」
葉っぱのような形をした、大きな看板が見える。
「狸の里亭……はいあの建物です!」
良く分かるな……目がいいみたいだ。
「よし、行くか!」
「はいっ」
××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××
「大きいな」
「大きいですね」
建物に隠れて見えなかったが、近寄ってみると、狸の里亭は三階建てはあろうかという大きさだ。
「失礼しま~す」
「あっ、お客様ですか?」
そう言って飛び出して来たのは……
タヌミミの少女だった。
「ど、どうかいたしましたか?」
「い、いえ……そうです」
う~ん、せめてネコミミとかさ……何故に狸……微妙に萌えない。
「はい、部屋はいくつにしますか?」
部屋は別に一つで良いだろう。
「で、ではっ、ベッドもダ「ツインでお願いします」は、はい……」
なんなんだこの人、絶対「昨晩はお楽しみでしたね」とか言ってくるタイプだろう。
いや、言いたいだけでなかなか言えないタイプか?
リンが顔を赤くしているが、心配する事は無い。なぜなら俺はロリ「ウフフッ」ひっ!?
……/いつの間に読心術を覚えたんだよ。それに毎回般若が出てくるし、やっぱり般若族が何かなのか?
「一部屋でダブ「ツインです」ツ、ツインですと、銀貨一枚になります」
どんだけ期待してんだこの人、こんなのが受付で大丈夫なのこの店?
料金は前より少し高いぐらいだな、これくらいが相場なのだろうか?
俺は銀貨を丁寧に渡す。
「はい確かに、これが304号室の鍵です。お部屋は三階になりますが、日が沈む頃にはお食事を用意するので、ここにおりてきてください。期間の延長は銅貨一枚です」
「ああ、了解した」
三階か……階段が面倒くさそうだな。
とりあえず一休みするとしよう。