仲間は笑顔と共に
すみません! 戦闘も豆戦車も次話になります。
楽しみにしていた方がいらしたら、本当に申し訳ございません。
はぁ……俺が空気の読めない発言をしてから、五分程たつだろうか?
今だにリンは真っ赤になってしまっているし、俺の顔も真っ赤だろう。
このままじゃ話が進まないな……
話題をかえて、リンの行きたい所でも聞くか?
前聞いた時はどっか違うところに目的地があるようだったし。
人に頼もうと思ってたみたいだが、この村じゃ無理だろう。
「リンはどこへ行きたいんだ?」
「…………」
あれ? いつになくリンが真剣な表情をしている。
「どうした? 返事してく──」
「私は……ここにいたいです」
ここ? この村なわけないよな……
「リューナ様と……」
俺がどうかしたのか?
リンは何かを決意したような顔になっている。
「一緒に……いたい」
は……い?
聞き間違いかな、よく聞こえなかった。
「ん?……よく聞こえな──」
「私はっ……村から、追い出されて……捕まって、殴られて、蹴られて……本当に、もう死のうと思いました。 でもそんなときに、リューナ様が助けてくださったんです、食べ物をくれて、いろんなお話もできて、一緒に旅ができて……今までで一番楽しかったんです、嬉しかったんです。 だから私は……リューナ様と、いっ……一緒に、いたいです、また一緒に旅をしたいんです!」
マジか……
話の内容を聞くと……所々良心が痛む。
食べ物は餌付けしたらなつくかな……と思っただし、いろんなお話は情報収集だったし……
まさかそんなに好かれているとは、思っていなかったんだけどな。
俺から誘おうと思ったのにな~、感動のお誘い計画台無しだぜ!
まぁそんなものはたてていないが。
「俺から誘おうと思ってたのに、先に言われちゃったか」
「で、ではっ!」
「明日一緒にこの村をでるぞ、今日のうちに体休めとけ」
こんな村からは速攻で出たいしな。
そう言うとリンは、泣きながら
「はいっ 分かりました!」
タンポポのように可愛らしく微笑んでくれた。
「よし、俺は買い出しにいってくるから、この部屋からでるなよ、一人で待てるか?」
「もうっ……子供じゃ無いんですからそれくらい大丈夫ですよ!」
「え……」
「『え』ってなんですか『え』って!?」
「えっ、あっ何歳?」
「十五歳ですよ!」
「それって子供じゃないの?」
「十五歳から成人ですっ!」
はやっ!? いや、中世はそんなもんだったっけ?
「へ、へぇ~、じゃあすぐ戻るから」
そういって部屋をでると、早速買い出しへと向かう。
中央の井戸で水を水筒に汲むと、人の多い東へ歩く。
商店街らしき所にくると、手頃な食べ物を探す事にした。
「イモとかないかな……おっ?」
いろいろと見てまわっていると、美味しそうなリンゴらしき食べ物が売っていた。
値段は……そうだ忘れてた、俺は今金欠なんだ。
これじゃ買い出しもクソもない。
さーて……どうしたものか?
「そこの少年」
ん?
「なんだ?」
全身黒ずくめって……
「実はですね、吸うだけでレベルのあがる魔法粉を売っているんですよ」
あからさまに怪しすぎるだろ!?
思わずツッコミたくなるほどだ。
声から察するに男だろう。
「生憎持ち合わせがない、他をあたってくれ」
「そうでしたか、でしたら小分けにして良ければ、石貨一枚で売りますよ。 あなただけの特例です」
有名な詐欺テクニックの一つを混ぜ込んできている。だが、見え見えだな、素人か。
「とりあえず品だけ見せてくれるか?」
品をみるだけなら損はしないしな。
「勿論ですよ」
不気味な笑みを浮かべながら男が懐から取り出した物は──
「麻薬……」
「おや、ご存知でしたか」
「ああ知っている、俺はいらない」
この世界にもあるのか……麻薬。
「おや残念、ではこれにて」
去っていく男を見ながら俺は──奴らからお金を奪えないか?──と、物騒な事を考えてしまった。
ん?……いや相手は犯罪組織の可能性が高いわけだし、奪っても良いだろう。
万引きは何回かやったし、今頃悪とかなんとかは思わない。
このままお金がないと本当に餓死するな。いざとなればこの銃で……よし。
「よし、やるか」
そして俺は麻薬を売る男の後を追った。
──スキル『戦闘狂の卵』を取得しました──
カファ村にはこの世界第三の麻薬組織があります。