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異界大戦 ~異世界転移は戦車と共に~  作者: 初鰹
青眼の少女~ミファーナ大平原~
12/29

カファの村は差別と共に

あぁ?


いや、リンの事じゃないかも知れない。


「すみません、私の背中に奴隷などはおりましたが?」


作り笑いでそう返す。


「くくっ……坊主そのフェアリアで楽しむつもりか? やめとけ、目が腐るぞっ、プッ……」


はぁ。 




リンの事だと……断定しても良さそうだ。



「すみません……その、ご迷惑を……」



後ろから震えた声が聞こえる。

リンは何も悪くはない、だがここでそう言う訳にもいかんだろう。



はぁ……どこの世界にも差別はあるって事か。

人間ってそういうもんなんだろうか? 誰かを下にしてないと落ち着かないのだろうか?

だとしたら喜んで人間なんかやめてやるが。


「生憎そのつもりは無いんで、通らせてもらうぞ」


おもいっきし嫌みをこめて吐き捨ててる。


「あぁ? 坊主少しは目上の者に──」

「リン、しばし我慢だ」 


門番の話をスルーしながらリンに話しかける。



「は、はいっ……」


怯えた声の返事を聞く。

リンはここには置いていけない、少なくとも差別の少ないところまで送り届ける。

俺はそう決めた。







 この村に宿みたいなものはあるだろうか?

とりあえず近くを歩いていた青年に聞いてみることにする。


「すまないが、近くに宿はあるでしょうか」


「奴隷同伴の宿屋かい? この村には〈熊の耳亭〉しかないよ、そこの物見塔を右に曲がればすぐだから」 


奴隷……ここではそれが普通なのだろうか。

中世ヨーロッパでは既に多くはいなかった筈だが。

とりあえずそこへ向かうしかないな。

お金は足りるだろうか?



「悪い、少しだけ奴隷の扱いでも構わないか?」 



「は、はい……本当にすみません……ご迷惑を」




「気にしなくていい、仲間……だろ?」 


「はい……でも」


「宿屋についた、話は後でだ」



扉を開けると、内装は普通のファンタジー宿屋だった。

ファンタジー宿屋が何なのかは自分でも分からないが。

二秒程すると、カウンターから宿屋の主人らしき人がきた


「いらっしゃいませお客様、部屋はいくつ借りられますか? 一部屋につき銅貨八枚になります。 奴隷用の集団部屋もありますよ、そちらは無料となっておりますのでご自由に使ってください」


金は足りるな。


「いや、一部屋借りるだけだ、これでいいか?」


銀貨を一枚カウンターに投げる。

これで残りは……はぁ……



「はい、ありがとうございます、これが6号室の鍵になります」


流石に商売人だ、態度が悪くても金さえ払えば笑顔ってことか。

へっ……商魂たくましいな。


「あぁ分かった」


俺たちは鍵を使って6号室に入る。


「おっ……」


一万円程度の宿だからどうかと思っていたが、ベッドもあり、案外いい部屋だ。

リンをベッドにおろすと、横に俺も寝転がった


「ふぅー、久しぶりのベッドだ~」


実に五日振りのベッドである。


「ほ、本当に……ありがとう、ございますっ……」


横を向くと、リンが泣きながら感謝の言葉を紡いでいく。

泣いていても可愛らしいが、笑ってるリンのほうが俺は──

って何考えてんだ俺は。


「んあっ…… さっき言ったろう? 気にすんなって」



「ですが、こんなに──」

「それより、フェアリアってなんだ」


「えっ……」


怒りからかドスの利いた声になってしまった……

まぁ差別の原因だろうし、言いたくないだろうが、聞いておかないと対策もたてられない。

正直リンをつれて町を歩けない状況は避けたい。


だがなんと言えばいいだろうか?

俺はいじめられていた頃は、嫌われるのを恐れて、言いたいこと言えなかったんだっけ。


『安心しろ、お前がフェアリアだとしても気にしない』これは嘘に聞こえるかも知れない。

『フェアリアが何だろうと俺には関係ない』これはもはや本末転倒だろう、質問の意図が分からない。




──いじめられていた時、俺が一番言ってほしかった言葉、これかな? 

と思って言ってみた言葉が、


「大丈夫、俺がお前を守るから」


だった。






……我ながら本当にアホだと思うが。 

次回ようやく戦闘に入ります。


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