プロローグは女神と共に
処女作です。よろしくお願いします。
*第一次修正完了済みです。
「はぁっ……はぁっ……」
家まで後二キロ程か……あ~もっと近い高校を選ぶべきだった!
まぁ、俺が中学校でサボり続けた結果。内申点がヤバい事になったのが原因なのだが。
やりたい事しかしない! とか言っていたら、提出物を九割程出さなくなった。
自業自得だ……
俺こと石島龍奈は、その結果オタクになった。
といっても、アニメやマンガではなく、軍事分野のオタク、いわゆる軍オタ、ミリオタでと言うやつだ。
このタイプのオタクには、世に言うアニオタ程社会的に逃避されないという利点があると俺は思っている。
まぁ閉話休題。
俺は今、部活帰りで猛ダッシュ中だ。
季節は真夏、この暑い中なぜここまで急いでいるのか、別に用事があるわけではない。
早く帰って新作FPSをやりたいだけである。
と、くだらない理由で急いでいたのが悪かったのだろうか?
「なっ……」
直後に聞こえたのはけたたましいブレーキ音だった。
気づいたら、視界一面、どこを見回しても真っ白だった。
とはいっても目が見えないわけではなく、この空間に僅かに、だが確かに存在する違和感からこの空間に地面が存在すると認識する事は出来た。
確かにトラックに潰された為、あの後無事だったとは考えにくい。病院かなにかならば、天井が見えるだろうし、音が聞こえたりしてもいい筈だ。
ところがどこを見回しても人影はなく、音もしない。俺は完全な静寂の中にいる。
目も耳もやられたのか?
意識がハッキリとしなかったが、五分程が経過したと思われる頃には意識が鮮明になっていた。
「ここはどこだ? やっぱり天国か?」
全く人気のない真っ白な空間に俺の声だけが響く。
耳は大丈夫なのか?
普通に考えてブレーキ音が聞こえたってことは、ひかれて死んだ筈だ。
確かに痛みを感じたし……だとするとここは天国か?
「いいえ、あなたは死んではいませんよ?」
「っ、誰だ!」
身の危険に備えて、護身術の構えをとる、この二年の内に癖になってしまった防御姿勢だ。
俺は護身術部においてなんと三番目の強さを誇る、といっても五人しかいないのだが。
「そう警戒しなくても大丈夫ですよ」
さっきまで確かに誰もいなかったはずなのだが、目の前に人影があった。
よく見てみると……羽のはえた……女の……人?
流れるような金髪に、パッチリとした青い目、羽衣に隠れたモデルのようなスタイル。
こんなに整った美しさを持つ人は初めて見たので、思わず呆然としてしまった。
まるで天使のようだ、頭に輪っかはないが。
「ふふっ…嬉しいことを言ってくれますね」
彼女はどこか可笑しそうに笑う。
それにしても彼女は読心術の達人だったりするのだろうか?
ポーカーフェイスには自信があり、未だかつて親以外に見破られた事はない。
「いえ、私にはあなたの考えてることがわかるものですからね」
この言動から推測するに、どうやら俺は自分で思っていたより考えが表情に出ているらしい、周りが気をつかって気付かないフリをしていたのだろうか?
だとしたら結構ショックだ。
「あっ、いやっ… えっ、えーと、あなたは?」
俺の偉そうで初対面の人に発動する敬語スキルは今回も絶好調だ。
すると女は少し顔をしかめたが、すぐに戻す。
「すみません、申し遅れました。第三管区女神、ハウイと申します」
めっ……女神、だと……
「どうかしましたか?」
いやいやいやどうかしましたかも何も、神なんて本当にいたのか!? いやそこじゃないだろうそこじゃ!
いや、これはもうどこに驚いているのか分からなくなってきた!?
まぁ確かに、ハウイとか西洋の宗教の神に近い名前だし、それっぽいけどっ……
「そりゃあいますよ、西洋なんちゃらは知りませんが」
えっ……何、さっきから心の声聞こえてるっぽいんだが。
「さっき言ったじゃないですか、考えてることがわかると」
まじかよ。
表情でわかるんじゃないのか、となると本当に女神なのか?
だとしたら俺はさっきから失礼な事を言っているような気が……
「だから言ってるじゃないですか」
いや……これは夢だ、夢に違いない。
普通に考えてこんな事があるはずがない。
いや……普通って何だ?こんなことが実際にあるから神話が生まれたんじゃないのか。
だが科学的に考えてこんな非科学的現象が現実である訳ないよな。
夢だとしたら頬をつねれば……
「イタタタタタタタタタタタタタタ!!」
女神が頬をつねってきた。それはもうなんで肉がひきちぎられないのか不思議な位の力で。
「いっ、いきなり何すんだ!」
「さっきからウダウダウダウダ、目の前にいるんだから信じてください!」
「はっ、はぁ」
「それでいいんです」
女神の性格はイライラすると変わるらしい。
なーんて事を考えているとこちらを睨みつけてくる。
ここで女神の機嫌を損ねるのは得策ではないだろう、もうあの痛みを感じるのは嫌だ。
仕方がない、ここまでいわれてはひとまず信じるしかないな、俺の頬の為にも。
だが分からないことが多すぎるので、絶対に知りたい事をいくつか質問させてもらおう。
「ここはどこ?」
「神界ですよ。」
神界らしい。
勿論それが何なのか見当もつかない、考えていても返答がこないので、女神にもよく分からないのだろうか。
こんな事を考えていても仕方ないので、次の質問に移る。
「なんで俺は、ここに?」
「ひかれて死にかけていたあなたの魂をとってきたんです」
そんなこともできるのか、そもそも人は魂が入っているのか、なぜ俺はさっきからカタコトなのか、魂だけならどうして俺は頬がつねられたのか、分からない事だらけだが、何はともあれ女神って凄いんだな。
「いやぁ、それほどでも~あるかも?」
そうだ、心の声が聞こえるのか、じゃあわざわざ話す必要も無いだろう。
取りあえず一番気になるのは、俺はもとの場所に戻れるのかという事である。
「無理ですよ、あなたの体はグチャグチャですし」
ぐっ、グチャグチャなのか……詳しく聞くのはよした方が良さそうだ。
とにかく愛着の欠片もないあの体は使えないようだ。
となると俺はどうなるのだろうか?
「異世界転移させます」
異世界転移させるらし……い?
人に意見して置いてこの駄文は…頑張らなければ。