白い人形、一ヶ月の経過
どうもあの時の饅頭でございます。
ここまで書いてきましたが若干ネタ切れ気味になってきました。
一応一週間に一投稿を最低目標に頑張っていきますのでよろしくお願いします。
皆さんおはようございます、いやこんにちわかな?。10時頃ってどっちで挨拶していますか?。{因みに作者は24時間おはようで統一しています}
さて、只今思いっきり落ち込んだフランとレミリアの二人と後片付けに駆り出されております。……自分に非はないはずなのになんで巻き添えを食らっているのだろうか。
「う~、なんで私まで片付けないといけないの?」
「いや、あなたが一番暴れてたでしょうに」
「……ぅ~」
自業自得と言えばそれまでなのだけれどフランを見ているとこちらの方に非があるように錯覚してしまう。不謹慎ながら頬を膨らませているフランも中々可愛いと思わせるものだった。
「白~、何とかして~」
「……何という他力本願」
フランが俯いて潤ませた紅い瞳を自分に向けてくる。何故だろう、罪悪感が湧いてきてしまった。
一応7体人形を作り出して作業にあてる。
「白、ありがとう!」
作業を始めると同時にフランが嬉しそうな声を出す、そこには何者をも問答無用で納得せざるを得ないような笑顔があった。
……この笑顔は反則だと思う。
「これは優しいというべきなのかしら、甘いというべきなのかしら」
そう言いつつも同じく作業に取り掛かるレミリア、あなたも人{人形?}のこと言えないでしょうに。
お互いに顔を合わせて苦笑いする。……ん?、苦笑い?そういえば今まで表情に関して気にしていなかったけど人形でも表情があるのだろうか。いや、実際にしているからあるのだろう。
「っふふふ……え~っと白?これどうしよう?」
フランの笑いを堪えるような声を聞いて振り返ると瓦礫が持てなくて四苦八苦する人形達がいた。あ、1体が頑張ったけど持ちきれなくて瓦礫の下敷きになっちゃってるし。またある1体は持ち上げた瓦礫を持ちきれなくて自分の右足に落として左足でぴょんぴょん跳ね回ってるし。
そうでなくても運べないでいるのだ、傍から見ればほっこりするのかもしれないが当事者としては中々頭の痛い話ではある。
しょうがないので2体ひと組で作業にあてる。そうしてようやく片付けが始まった。因みに余った1体はレミリアに抱えられている。…作業はどうした。
「ふふふふ」
レミリアも機嫌が良くなっていた。フラン同様、人形を抱き上げて頭を撫でているのを見ていると姉妹だなと思う。
「さて、早いところ終わらせましょうか」
レミリアの声と共に作業が本格的に始まった。
……君たち姉妹も働きなさい……。
あれから三時間ほど経ってようやく終わった。最終的にこの姉妹は最後の最後まで作業をしなかった。……君たちねぇ……。
「さて、終わったからお昼にしましょうか」
「はーい」
そう言うと食堂に向けて歩き出す。因みにこの三時間で自分の定位置がフランの肩の上{所謂肩車だ}、もしくは抱っこされているのが普段の状態となってしまった。果たしていいのやら悪いのやら。
こんな感じで一ヶ月程過ごした。こう言っている時点で予想がつくと思うものの敢えて言わせていただきたい。
フラン物壊し過ぎだろう!?数日に一回修理に駆り出される、もとい尻拭いさせられているというのはどうなのだろうか。
ただ、その後のちょっと申し訳なさげに向けてくる笑顔を見てしまうと怒るに怒れない。何故だろう、可愛いは正義などと聞こえてきそうだが全力で否定したい、したいのだけど否定しきれないのが辛い。
因みにこの一ヶ月ただひたすらに修理という名の尻拭いをしていた訳ではない、まぁ多かったけど。一番の収穫はフランの速度に目は追いついたということか。
以前のように気がついたら~というのがなくなった、ただ体は追いつかないので対処できているかというと全くできていない。代わりに魔力を使った動作は認識速度が上がったため戦術面での効率が上がったので立ち回りが少なからず改善された。そのせいで修理とかの技能が目覚めそうで変に怖い。
それはさておき他にも変化はあった。具体的には魔力の効率と蓄積速度に加えて展開速度も跳ね上がった。展開速度があまりにも上がりすぎて久しぶりに魔力が底をついたのは記憶に新しい。そのおかげか弾がレーザーに見えるくらいの連射速度を叩き出した。
まぁ、それに追従するようにフランも強くなるから勝つことなんてできそうにないんだけどね。
フランも弾の展開速度やら強度やら威力やらが上がってて色々と手がつけられなかった。おかげで修理が大変なんだけれどかかる時間が三時間で一定というあたり自分の成長が感じられる。……何故か悲しくなってきた、なんでだろう。
「白~、今日は何しようか?」
フランがこちらを見上げ、自分の頭を撫でながら{勿論フラン本人のではないのであしからず}聞いてくる。今日は肩車の日だ。
そんな日はない、と思うのだけれどフランが楽しそうにしているのだからこのままでいいと思うあたり大分毒されてきたのかもしれない。
因みにフランの頭に上半身を乗せるようにして乗っかっている。この姿勢だと楽なのはともかく、時折フランが頭を撫でてくれるので気に入ってしまった。
レミリアには帽子みたいと言われたが自分でもそう思うので特に問題はない。
『レミリアと話に行く?』
「お姉様?、う~ん、じゃあそうしよっか」
さて、何故自分が会話できているのか疑問に思うかもしれないが勿論これには種がある。いつぞやかに手当たり次第に作った道具の中にプラカードなる板を作ってしまったのだがなんとこの板、字を書く事が出来た。もれなく魔力製である。
これを使うことで会話が成立するようになったのはかなりありがたかった。
因みにレミリアには最初お姉様と言っていたのだが本人から「あなたの姉ではないからお姉様じゃなくてもいいわ」とのお達しだったのでレミリアと名前で呼んでいる。
そうしているうちにレミリアの部屋に着いたらしい、一ヶ月紅魔館に住んでいるものの未だに迷うしどれがどの部屋か分からない。もっとも、フランと一緒にいることが多いのでさほど問題化していなかったりする。
コンコン
「お姉様~、今良い~?」
「ええ、いらっしゃい」
相変わらずの大きい扉は軋んでいるのか重量の問題なのか分からない音をたてて開く。
中ではレミリアが紅茶を飲みながら何かの本を読んでいた。なんの本だろうか。
「それで、どうかしたの?」
「ううん、何かある訳じゃないけど、白がお姉様と話たいらしくて」
「話?何かしら」
『能力ってなんだろうって思ったから』
そうなのだ、ここに来てから一ヶ月くらいいるが能力のなんたるかがさっぱり分かっていない。漠然とそういうものだという認識はあるのだがそれ以上理解していない。
レミリアは運命を操るとかなんとからしい。フランは何か聞いていないのだが恐らく戦闘に流用できるものなんだと思う。
ここで気になったのがどこからを能力というのかだ。
先の運命はさておき魔力の扱いとか魔法のなんとかとか空をどうするとか色々あるけど空を飛んだり魔力の弾を飛ばすとかは見ていると割と一般的だ。
自分の場合は人形のあれこれがそれに該当するのだろうけどもしかすると人形の妖怪にとっては一般的なのかもしれない。
それすなわち自分も能力を持っているとは限らないということでもある。
それこそが自分が能力について聞きたいと思うことになったきっかけなのだ。
「能力ねぇ、基本的に本人の特徴なんかが能力になるものだと思うわよ?」
「そうだよ、私だってありとあらゆるものを壊す能力だし」
「そんなものよねぇ……ん?壊す?」
「あ……やば」
「フラァァァン!!ちょーっと待ちなさーい!!」
バタン!!ガチャッ
ガコーン!!!
『……?』
まずフランが部屋から飛び出し扉に鍵を掛ける、次いでレミリアが扉を鍵もろとも破壊しフランを追いかけていく。
ここまで三秒とかかっていない、流石というべきか、それとも壊すなと怒るべきか。いずれにしても現実逃避一歩手前までいってしまったのは致し方ないだろう。
…………あれ?そういえばこの後何すればいいんだろう?。
結局あの後、紅魔館を迷子になって一日が終わった。目の前を槍が通過していったり真下とか真上から槍が顔を覗かせてきたときは死ぬかと思ったよ、全く。
それにしてもフランの能力が分かったときのご両親が何やらおっかない顔をしていたのだけれど一体どうしたというのだろう。
それにレミリアも何だか難しい顔をしていた。ありとあらゆるものを壊すとはいっても、それはフランの能力がそうだというだけで何ら難しく考える必要はないと思うんだけどなぁ。
フラン本人も深刻な顔しているし一体何なんだろうか。
結局明日話があるとだけ言われて眠りに就いた。
「スゥ……スゥ……んん」
『……』
自我を持ってから今までフランに抱き枕にされているものの、フランの寝顔はいつ見ても可愛い。だけど今日のフランは何かに怯えるかのようだった。
自分がどこまでフランの力となれるのか分からない、だけどフランの行く道に立ち塞がる者がいるならばこの身を持ってして排除する。
それだけが自分に出来るであろう唯一の役割なのだろうから。
さて原作の設定に沿うように幽閉目掛けて一直線のルートを辿っております。
因みに『』は白が話している{書いている?}事を示しています。予想がつくとは思いますが一応報告しておきます。
これからどうなるのか、作者がベッドから転げ落ちたりしながらも考えておりますので時折見てあげてください。