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着々と集合予定

 獣道のような、あまり舗装されていない道を歩く。

 普段からスライムの通り道になっているので、そこまで整備せずとも道があるらしい。

 スライムと聞いて魔女エーデルが嫌そうな顔をしていた。


 そういった話を聞いてからこの道を歩いていたわけだけれど、どうやら今までそういった場所にアジトがあるのが分かっていたり、彼らが何を作ろうとしていたのかが既に知られていたらしいと僕が話していくと、魔女エーデルが呻いて、


「それで彼らは私達が動くのを静観していたと?」

「そうみたいです」

「……そこにお姫様がいるのに、一般人な感じの私達につけて?」

「そうですね」


 僕が頷くと、魔女エーデルが嫌そうに、


「お姉ちゃんの陰謀を感じる」

「女神様が背後にいると?」

「ええ、特にユウトはお気に入りみたいだから、色々と手出ししてきそうだし、その範囲で……全部お姉ちゃんの手のひらで踊らさせられている気がする」


 納得いかないと魔女エーデルがブツブツと文句を言っていたが、そこでそれまで黙っていたヒナタ姫が、


「それで私が城を抜け出すのが結構上手くいっていたのですね。身代わりに、うさぎのぬいぐるみに魔法をかけて、私のようにみえるようにしておいたのですが、どうりでとめられたりしなかったですし、この前、外でご飯を食べるために夕食なしで言ったら大丈夫でしたし……ミミカも特に何も言われなかったのですよね?」

「はい、いつもならもっと何かを言われると思ったのですが、何も言われませんでしたね」


 といった、ヒナタ姫とミミカの言葉を聞きながら僕は思った。

 確かこのヒナタ姫は、


「あの、ヒナタ姫のその魔法は、魔女エーデルのような人によって別の姿に見える効果があるのでしょうか」

「……あ」


 気づかなかったというかのようにヒナタ姫がつぶやいた。

 つまりヒナタ姫の本当の姿が見えるように魔法をかけたなら、必然的に、偽物だとバレてしまうわけである。

 男性なら逃げ出したい姿だし、女性だと魅力的な姿になるのだから。

 

 この辺りで色々とバレてしまうのも当然だった。

 なのに何も言われず出てこれるのは、女神様が何か手助けしてくれていたのかもしれない。

 そんな話をしていて、そこで俺はそれまで歩きながら先ほど降ってきたコピー本の魔導書からアオイが顔を上げながら、


「そういえばユウトは同じ高校に行くみたいだけれど、このまま春休みが終わるまで都市にいるの?」

「いえ、一度戻って準備をしないと」

「じゃあ私達とユナとは次に会うのは高校に行ってかしら」

「そうなりますね。その時はよろしくお願いします」

「……ええ」


 そう答えてアオイは沈黙してしまった。

 そしてじっと見ていると顔を赤くして、けれど何も言えずに口ごもってからアオイはリンを見て、


「リンはどうするの? 目的は果たしたみたいだし?」

「うん、魔女エーデルを探せゲームを女神様としていただけだし。後は好きにしていいって言われているけれど、高校には私はいけないかな……それとも行けるのかな?」

「私に聞かれたも困るわね」

「あの~、女神様~、聞こえていますか~」


 そこでリンがそう叫ぶと女神様の声が聞こえた。


「好きにしていいわよ~、リンはどうしたい? 私のゲームに付き合ってくれたご褒美もあるし、その程度ならどうにでもなるけれど」

「通いたいです!」

「わかったわ~、近いうちに学生証がアオイの家に届くから」

「はーい」


 といったように、リンが僕達の高校に通うことになる。

 そんな話を聞きながら頭痛がしたように魔女エーデルが、


「お姉ちゃん、自分だって好き放題しているじゃない。これだから……ぎゃああっ」


 魔女エーデルがなにか悪口を言おうとしたようだった。

 だがそれはすぐに降ってきた新たなコピー本の魔導書でどうにかなってしまう。

 そして僕達はようやくその、台地の上へと辿り着いたのだった。


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