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なんて事をしてくれるのよ!

 次の日、朝早くに起きた僕は、すぐ隣の部屋から聞こえるラジオ体操の音楽に合わせて運動していた。

 この宿の隣の部屋に泊まっている御人は健康志向らしい。

 そう思いながら僕は最後に背伸びをして今日はどうしようかと思う。というよりは、


「今日で皆とお別れになるのかな? とりあえずお姫様の呪い歯と蹴るのは確実だし。あ、でも高校は一緒の人が何人かいたかな」


 そう思いながら、となると魔女エーデルとはここでお別れである。

 それはそれで寂しいなと僕は思いながら、いつものようにスコップ片手に待ち合わせの場所に向かったのだった。








 すでに皆揃っていた。

 お姫様達ともこれでお別れだなと思ってじっと見ていると、メイドのミミカに、


「ちょっと、何で姫様をそんないやらしい目で見るのよ」

「いえ、いやらしい目では見ていませんよ。こうやってワイワイ出来るのも今日が最後だなって」

「……」


 沈黙したミミカ。

 何か言いたそうだったが彼女は沈黙してしまう。

 何だろうなと僕が疑問に思っているとそこで魔女エーデルが、


「ほら、そこで話していないで、置いていくわよ」

「あ、はい。……そういえばエーデルさんともこれでお別れなんですよね。何だか寂しい気がします」

「……ま、まあね。でも私は、そう、自由な人間だし?」

「またお会いできますか?」

「それは、まあ、機会があれば」


 口ごもる魔女エーデル。

 何だか照れているようだった。

 そんな魔女エーデルを、僕は名残惜しげに見ていると、そこで何処からともなく声がした。


「あら、ユウトちゃん、魔女エーデルと別れるのが嫌なのかしら~」


 女神様の声だ。

 なのでそんな楽しそうな声に僕は、


「それは、まあ。これまで一緒に採取したりしていたわけですし。それに悪い人ではなさそうですし」

「あらあら、そうなんですか~。うふふ。分かったわ。可愛いユウトちゃんのためですもの、私頑張っちゃうぞ~」


 そこで女神様の声が途切れた。

 何をがんばるんだろうなと僕が思っていると、そこで僕は魔女エーデルに詰め寄られた。

 魔女エーデルは顔を真っ青にして、


「ちょっと、なんて事してくれたのよ!」

「え? あの、え?」

「確かにそう言ってもらえるのは嬉しいけれど、あのお姉ちゃんが関わってくるなら別だわ! ああ見えてそこそこ年を食っているから色々と感覚が麻痺していて……うぎゃああ」


 そこで何処からともなく魔道書が落ちてきた。

 アオイが目を輝かせているので、伝説の魔道書のコピー本なのだろう。

 頭を押さえていた魔女エーデルが涙目で、


「ああもう、こう見えてお姉ちゃん過保護だし孫の我儘を聞くおばあちゃんみたいな感じだから、絶対に、ユウトの願いをかなえようとするわ」

「そうなんですか?」

「そうなの! ああもう……どうしよう。うう……考えても仕方がないから問題は先送りにするわ。はあ……」


 嘆く魔女エーデル。

 そしてそんな彼女に連れられて僕達は、ある場所へと向かったのだった。


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